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2020年3月の俳句。
さえずりの 真っ逆さまに 午後の海
さえずりにもいろいろな形があるようだ。
常にピーチクパーチク鳴いているものもあれば、突然天から降ってきたように聞こえてきて、またぱったりとやんでしまう、そんなさえずりを聞く季節になった。
啓蟄の 雲まねて 蜘蛛は巣をはる
啓蟄とは 二十四節気の一つ。
3月5日(または6日) に始まり、春分 (3月 20日または 21日) の前日までの約 15日間であるが、現行暦ではこの期間の第1日目をいう。
啓蟄の語源は,蟄虫啓戸 (地中にひそんでいた虫が戸を啓いて地上にはい出るという意味)。
春の暖かさを感じて、冬ごもりしていた虫が外に這い出てくるころのことである。
「啓」は「ひらく、開放する、(夜が)明ける」などの意味。
「蟄」には「冬ごもりのために虫が土の下に隠れる、とじこもる」という意味がある。
菜園に 離れてかがみ 黄水仙
春めくや 草抜く妻を ふりかえり
川沿いの小道をヘルパーさんとドラッグストアーに向かって歩いていたら、町で貸し出している日曜菜園の畑の前に車が止まっていて 初老の夫婦が畑仕事をしていた。
風はまだ冷たいが 天気がよかったので出てきたのだろう。
しかしやる気満々のご亭主に比べてしっかりとコートを着込んだ奥様の方はまったくやる気なさげに一本ずつ雑草を抜いていた。
菜畑にも 春の称号 春キャベツ
ただのキャベツに春という冠がのっただけでなにか特別のもののように感じてしまう。
春キャベツはラグビーのボールのように こんもりと葉につつまれて 芯まで甘く、この時期の人気の野菜だ。
コンビニのサンドイッチの列にも春キャベツの名をいただいた商品が並ぶ。
春眠の 空気うまそうに あくび噛む
春眠や 異国の宿に目覚めた様
さいきん午後の三時ごろに強い眠気に襲われることがよくある。
うっかり眠りに落ちて、はっとして目覚めるのだが、それがどこか遠いところに来てしまったような感覚にとらわれることがある。
もちろん物理的には眠りに落ちる前と同じ部屋にいるのだが、空気感が全く違っている。
異国のホテルの一室でめざめたような感じがして、ずいぶん長く眠ってしまったのでは。
もしかしたらもう夜中ではと思って窓を見るとまだ外は明るい。