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「ボルテスVに全てをかけ」た 『ボルテスV レガシー』

 実写映像化に求められることについてよく議論される。多くの場合話題にあがるのは「原作への敬意」。だがそれは必ずしも作品のクオリティを担保するものでもないのも確かだ。
 ただ個人的に、一つとても重要だと思うものがある。それは原作が持つワンダーを素直に信じているかどうかだ。
 例えば「ウルトラマン」で、ウルトラマンが怪獣とプロレスしてるのがかっこいい、とか。
 「スターウォーズ」で、フォースとライトセイバーがかっこいい、とか。
 正義の味方「仮面ライダー」がかっこいい、とか。

 得てしてリメイク作品は、そのワンダーに対して冷笑的になり、無暗にダークにしたり地味にしただけで「ハードで大人向け」だとか「リアリティ」だとかそれらしい面をするがそんなのはリメイク元の本質を無視した大いなる欺瞞だ!ギィィィィ!!!!!(憎しみ)

 では近々に日本で公開されたリメイク作品、『ボルテスV レガシー』(以下『レガシー』)はその点でどうだったか?

 結論から言えば完璧だった。完璧にに信じ切っていた。ただ信じすぎて「ボルテスVって……かっこいいよなァ!ケヒャ~~!!」と叫んでドスを振り回しながら、ふらふらした足取りで、しかし凄まじい速度で走って来るような鬼気迫る作品だった。
 そう、ボルテスのかっこよさを心から信じている。制作陣がボルテスのことを好きであるということもさることながら、その「ボルテスV」というワンダーが映画を構成する全てから伝わって来て、幸せだった。合体シーケンスをしっかり尺を裂いて描き、主題歌が日本語で歌唱されてる元と同じ曲なのは、ボルテスVに全てを賭けすぎだろ!!!!とも思ったが、そこはそれ。

 ただ悲しいかな、その上で粗が目立つのも事実。ドラマパートの単調なカメラとか序盤のキャラのやりとりの面白くなさとか、戦闘以外のほぼすべてのパートでテンポが悪いとか、そもそもボルテス以外のCGがちょっとチープで、路上での戦闘がアサイラムの質感だったりとか、原語版だと演技の迫力がもう少し欲しいと思ってしまったりとか、いろいろ気になるところはある。少なくとも、ボルテスが好きではない人にいきなり見せる者ではないと感じた。この劇場編集版は。
 ただこれは、元がテレビドラマを無理やり編集したものだから、劇場でみただけで全部を知れたわけではないし、全90話の構成がどうなっているのかもわからない以上、作品全体の出来はまだまだ不透明と言わざるを得ない。
 どうやってアニメ版の全40話を全90話に膨らませたのかは本当に気になる。

 「ボルテスV」はハードなドラマで歴史に残った作品だ。もちろん、そこもこの作品の白眉なのだが、今日本でリメイクされたら、そこを最も重要視して描かれるだろう。もしかすると、そこにばかり重きを置いて、ボルテスというメカもリアリティというなの地味さにまみれてしまうかもしれない。
 だが『レガシー』は、ボルテスをかっこよく描いた。ディティールをよりメカニカルにしたという変更こそあったものの、配色やスケール感のイメージをそのままにし、オリジナルのボルテスのイメージを保持してみせた。
 本作は、とにかくボルテスがかっこいい。ボルテスが良く動く。そこに全てをつぎ込んで、ひたすらに、ボルテスVに命を預けている
 それは制作陣が、きっと彼らが過去に見た、テレビの中の「ボルテスVというロボットのかっこよさ」と、それを「❝かっこいい❞と感じた素直な心」を信じ切っているから、ということに他ならない。

 自分はそれが、何よりも嬉しい。

 そんな『ボルテスV レガシー』だが、11月12日(火)より、TOKYO MXにて20話にわたって“超電磁リスペクトTV版”が放送されるそうだ!!

 テレビの前でみんなでボルトインしような!!!!!!!!!!!!!!!な!!!!!!!!!!!!!!!なァ!?!?!?!??!?!?!!??!ケヒャ~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


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