<国際アドラー心理学会2024>参加記(5)
セクションミーティング
学会の日程が残すところ2日となり、この日は自由に一般演題を見てまわった後、セクションミーティングに参加した。これは「研究と理論」、「セラピー(成人)」、「セラピー(子供と若者)」、「カウンセリング」、「教育」のテーマから任意のグループを選んで参加し、参加者同士で意見や情報交換をする場となっていた。時間は1時間だった。
それらの中から「カウンセリング」を選んで参加した。このグループは全員で6名と少人数だったが、その分それぞれが発言する時間も与えられて、ざっくばらんな雰囲気で進んだ。カウンセリングの前提や定義の問題意識を共有し、3年後の国際学会までに継続して議論していけるよう、WhatsAppの連絡先を交換した。この記事を書いている時点で、実際にオンラインでミーティングをする予定も決まり、継続したつながりができつつある。
ポスターセッション(The Great Poster Slam)
日本の学会のようにポスター発表もあり、日本からも1組が参加した。一風変わっていたのは、ポスター発表が始まる前に、ホールの舞台でそれぞれの発表者が5分間のプレゼンを行ったことである。
日本のポスター発表者は、現在日本アドラー心理学会で展開している子育てプログラムEOLECTがテーマだった。発表者が舞台上で紙芝居のようにスケッチブックをめくりながら概説し、それに合わせて日本人の学会参加者全員で舞台に上がり、協力してプレゼンを行った(自分はスケッチブックを持つ係だった)。オーディエンスの反応も良く、プレゼン終了後のポスター前でも多くの意見交換がなされた。
Gala
Galaは祝賀会・パーティを指し、今回はケルン大聖堂近くにあるレストランで、ビュッフェ形式の懇親会が行われた。会場ではDJが音楽を流し、名曲の合唱やダンスもあって、非常に和気あいあいとした会だった。食事は野菜中心で、ビュッフェにしては割とクセの強いメニューだったように思う。
途中、台湾から来ていた大学の先生に話しかけてみたが、なかなか英語の意思疎通がうまくいかず残念な思いをした。大学でアドラー心理学を教えておられ、たくさん学生もいるのだと教えてくださって興味深かった。
集合写真はこの時に配布された。退室は自由で、まだまだ続きそうだったが途中で出た。
帰国
学会参加者の中には最終日まで残らない参加者も割といたようで、ホールに集まった人数は初日と比較して減っていた。最終日の午前で国際学会が終了し、次の日の朝に帰路についた。日本に着くとすっかり真夏の気温・湿度となっていて、ヨーロッパの心地よい気候が余計に際立って感じた。
さいごに
振り返ってみると、最初にトラブルはあったものの、大きな事故なく終えることができた。終始感じたのは、英語でコミュニケーションができるのとできないのとでは交流の幅の広がりが全く異なり、また視野の広さにも大きく影響することだった。もし次回参加することがあれば、「ひさしぶり!」と自分から声をかけられるくらいにはなっていたい。主体的に参加していくには、もう少し自分で壁を超える力を身に着けねばと強く感じた。
世界のアドレリアンは本当にあたたかい人たちばかりで、会場の内外では笑顔が絶えず、どことなく共通した目標に向かっている空気があった。
学会の後半に発表を聞いていた際、強いスコールが降ってきたので、ここでも司会をしていたMarinaが窓を閉めようと席を立った。自然に自分もそれを手伝ったのだが、それを見て言葉を交わさなくともニッコリと笑いかけてくれた。そうした何気ないやりとりが嬉しい思い出にもなった。
若い人もちらほら見かけたが、やはり日本と同じように、アドラー関係者の平均年齢は高い。次の世代につないでいくための工夫が必要なのは、どの国でも同じかもしれない。
次回以降も参加し、せっかくできたつながりを発展させていきたい。そのためには、まずは発表内容を考えるところから始めなければならないし、英語力も鍛えねばならない。アドレリアンらしく、仲間の中で育んでいきたいと思う。
最後まで読んでいただきありがとうございました。