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好きという感情の答えは貴方が教えてくれた。


僕の好きな物、趣味。それは本だ。

暇があれば本を読む。

本を読めば色んなことがわかる。

自分の知らない世界を教えてくれる。

だから本が好きだ。

そんな日常でいつも通り本を返しに図書室に行った


〇:失礼します。

女1:こんばんは

図書室にはよく来るため図書委員とは顔見知りだ。

〇:本を返しにきました。

女1:はい、どうぞ。本棚に返してきてください

〇:ありがとうございます。



〇:次はどれにしようかな、、って、なにしてるんですか?

後ろからずっと気配を感じていた。

??:君を見てるだけだよ?私久保史緒里!よろしくね!

〇:久保さん、、

史:同い年だから史緒里でいいしタメでいいよ!

同い年なのか。いきなり史緒里はハードル高いな。

〇:史緒里さんでいいですか?タメはこれからで

史:まあいいよ!で、なに借りるの?

〇:あー、そうですね、んー、

ミステリー長編のどれにしようか、、

史:悩んでるなら私のおすすめ教えてあげる!ちょっと待っててね!

それはありがたい。図書委員のおすすめは面白いに決まってる。


史:はい!これ!タイトルは

「学校の屋上で交わした約束。」

え、これって、、

〇:恋愛小説、、?

史:うん!その小説ね作者の実話なんだって!すごいよね!

恋愛小説は普段読まないジャンルだ。

史:もう借りちゃったから!読んでね!

〇:もう借りたんですか、。

僕は渋々帰ることにした。

その日の夜のうちに史緒里さんにおすすめされた恋愛小説を読んでいた。

面白いけど、恋愛経験がないため感情がわからない。

好きということが。


・・・次の日 図書室


〇:失礼します、本を返しにきました。

史:お、いらっしゃい!で、どうだった?

〇:面白かったです。でもミステリーの方が好きです。

でも、恋愛小説の良さも知れた。

史:そっか、まぁいいや!ちょっと話あるんだけどいい?

〇:いいですよ。返却お願いします。

話し相手がいないから暇なのだろう。


史:あのね、図書委員って私ともう一人いたんだけど。はい、本棚に返しといて。

〇:ありがとうございます。

史:その人ね、図書委員やめちゃったらしいの。

図書委員とかって途中でやめれるんだ、、

史:だからやめた子の代わりとして〇〇君を任命します!

〇:え、いやです。

史:拒否権はありません。先生にも言ったもん!

終わった。やるって一言も言ってないのに


〇:わかりましたよ。。やります。

史:やった!じゃあ早速仕事教えるね。

そこから図書委員の仕事を教わった。

史:ざっとこんなとこかな!

〇:思ったよりありますね。

思ってた10倍ほど。これを一人でやるのは大変すぎる量だった。

史:まだ時間あるし少し話そ!

そこから本のことや趣味について話した。


史:あ!いいこと思いついた!

〇:なんですか?

史:私達って本の好きなジャンルが違うじゃん?

僕はミステリー・サスペンス。史緒里さんは恋愛・感動系。


史:だから1週間に一回おすすめの本を交換しよ!名付けて「交換小説!」

お互い新たな本を読めるのはいいことだが

〇:本の交換って校則的に大丈夫ですか?

史:本当はダメなんだけど、図書委員の特権ってことで!

〇:そんなのありなんだ、、

初めて聞いたぞ。そんな特権。

史:ありなの!じゃあ早速今日からやるから本選んできて!

〇:いきなりですか、、

史:いいからやるの!


悩ましいがこれでいいか。

史:ちゃんと選んできた?

〇:一応選んできました。

史:じゃあはい、交換!

いざこうなると、これでよかったのか?でも借りちゃったし、

史:ミステリー小説読んだことないから楽しみ!

〇:これは、恋愛小説、?

史:もちろん!

〇:ですよね、、

恋愛小説の良さを知ってるからいいが、毎回はきついな、

史:じゃあ1週間後に本返してね!

〇:わかりました。

史:あそういえば、感想を紙に書いて本に挟んどいて!またね!

まるで僕は史緒里さんに振り回されているようだった。

そこから僕と史緒里さんの交換小説が始まった。


時にはお互い読まない歴史物にしたり、

感想に本とは関係ない自分のことを書かれていたり

なんだかんだ僕も交換小説が楽しみになっていた。

新たな本を読めるこの日常が。

そして、史緒里さんと会える放課後が一番好きな時間になっていた。


・・・そんなある日 〇〇の家


今日も史緒里さんと交換した本を読もうとした。

〇:戦刀。 史緒里さんが歴史物か。珍しいな。

本を開くと一枚の紙が落ちてきた。そこに書かれていたのは

「明日の放課後、屋上で待ってるね」

この一言だけだった。

この一言が気になっているからなのか、ただ体が疲れているからなのか

今日は本を読む気になれなかった。


・・・次の日の放課後


僕は放課後になるとすぐに屋上へ駆けていった。

僕が屋上につくとそこには史緒里さんがいた。


史:もう来たの?はやいね笑

〇:当たり前じゃないですか。はやく図書室行きましょうよ。

史:その前に少し話があるんだけど、いい?

話、、屋上、、もしかして、、

〇:いいですけど、少しだけですから。

史:ありがとう。あのね私

僕は緊張なのか心がどきどきしていた。



史:明日転校することになったの。かなり遠いとこに。



緊張は一瞬でほどけた。その代わり心に穴が開いた気がした。

〇:さすがにいきなりすぎませんか、?

史:そうだね笑 けどもうどうすることもできないんだよね笑

〇:いつ帰ってくるんですか、?

史:わかんない笑 親の都合だから、笑

もう会えないかもしれないと遠回しに言われてる気がした。

史:私荷造りあるから帰るね!ばいばい、!



〇:あの!今日は一緒に帰りませんか、?



史:え、、うん!笑 一緒に帰ろ!

少しでも長くいたい。できればもっと、、


・・・帰り道


二人の間には沈黙が流れていた。
 
史:一緒に帰ろうなんて珍しいね笑

〇:そうですね。。

僕はいつも通り会話ができなかった。

史:そういえば君の名前知らないや!教えて?

そういえば言ってなかったか

〇:僕は田村〇〇って言います。

史:〇〇君か、いい名前じゃん!

なんか名前呼ばれると恥ずかしいな、、

そこから史緒里さんのおかげでいつも通り話せた。

史:もう着いちゃった、、

気づけば史緒里さんの家まで来てたらしい。

史:〇〇君!私の代わりの図書委員、見つけるんだよ!

〇:考えておきます、

僕に作れるのか?友達もいないのに。

史緒里さんの代わりなんて、、どこにも、、


史:あともう一つ!


史:本のタイトルってね、その本の第一印象だからちゃんと見るんだよ!

僕にはどういう意味かさっぱりだった。

〇:わかりました。覚えておきます。

史:それでよし!じゃあ、またね!〇〇君。

そのまま史緒里さんが見えなくなるまで見届け
僕も家に帰ることにした。だが、すぐ寝てしまった。

本を読むこともないまま。


・・・そこから数日後


史緒里さんは本当に転校してしまった。

史緒里さんがいなくなっても僕は図書委員の仕事を一人でやっていた。

そしてもう一つ気づいたことがある。

本を一人で読むのも楽しい。だけど、何か物足りなかった。
僕はふと思った。


〇:いつの間にか史緒里さんに恋してたのかな、、

先生:そうだったのか。

〇:え!?

心の中で言ったつもりだったのに、声に出してたらしい。
しかも、それを先生に聞かれた。最悪だ。

先生:聞くつもりはなかったんだがな。すまない。

〇:別にいいですよ。それで、どうしたんですか?

悪気はないらしいし、僕が悪い。


先生:そうそう。高校生小説コンテスト来てるんだがやらないか?

〇:やりませんよ。

先生:そうか。久保なら毎回出てるんだけどな。笑

なんだとこの先生、今すぐ数分前に戻りたい。。

〇:やりますよ!

先生:これが用紙と説明書な。

〇:わかりました。

なに書けばいいかわからん、、


先生:ん?その本なんだ?

その本は最後に史緒里さんと交換した本だった。

〇:図書室のどこかの本です。

先生:いや、そんな本知らないな。俺は歴史物なら全部読んだからわかる。

戦刀。あからさまに歴史物だ。

そういやこの先生歴史が担当だったな。忘れてた。

〇:え、じゃあこれは、

先生:久保がわざわざ買ってまで渡したかった本じゃないか?

でも僕は歴史物は読まない。恋愛ならともかく。

先生:単なる予測だから、あてにするな。本人に直接聞いてみたらどうだ?

〇:わかりました。考えておきます。

先生:作文の期限一週間後だから、急げよー。


僕と史緒里さんは連絡先を交換してない。

図書委員と交換小説で繋がっていた関係だったから、連絡先を交換する関係なのか
交換していいのかわからなかった。

〇:読んでみないとだよな。

その時まだ手を付けていなかったこの本を初めて読んだ。


中身は歴史の説明的なものだった。

わざわざ買って渡すものだとは思わなかった。

〇:あ、それより作文やらないと

早速ペンを持った。だが、

〇:なにを書けばいいんだよ、、

僕は想像力がない。空想の物語なんて書けない。実体験なら、、

その時ふと思った。

〇:史緒里さん、、

すぐにペンを持った。そこから僕と史緒里さんの実話を書いた。

二人の名前は

田村〇〇 は 松田海斗
 
久保史緒里は 山﨑ひより

このように変えた。



小説を書き始めてもうすぐ一週間になるころだった。

〇:やっと書き終わった。あとは、タイトルか。

タイトルを考えてる時、史緒里さんの言葉を思い出した。

{史:本のタイトルってね、その本の第一印象だからちゃんと見るんだよ!}

第一印象か。その時ふと最後に交換した本、戦刀。を見た。

戦刀。インパクトはある。歴史好きは惹かれそうだ。

かなり悩んだが、僕と史緒里さんの出会い。

僕の思い出の本になぞらえたタイトルにした。


・・・一週間後


先生:小説できたか?

〇:はい。お願いします。

先生:もし大賞とったら取材くるから、愛の一言でも考えといてな笑

まだいじってくるのか、、

〇:仮に取材が来ても愛の一言は言いません。

先生:そうか笑。お疲れ様

この時心の中では大賞なんてとれるわけないと思ってた。


・・・1ヶ月後


僕は図書委員の仕事を黙々とこなしていた。

先生:〇〇いるか!?

ここは図書室だぞ。静かにしてくれよ。

〇:いますよ。そんなに慌ててどうしたんですか?

先生:落ち着いて聞くんだぞ?

あなたが落ち着いてください。


先生:田村が書いた中編小説が大賞に選ばれたんだ!


、、、えぇぇ大賞!?!?

〇:僕の作品が大賞ですか?同姓同名の人じゃなくて?

先生:正真正銘〇〇の作品だ!よかったな!

これは僕一人の大賞じゃない。史緒里さんのおかげだ。

先生:明後日、早速テレビの中継が来るらしい!

〇:取材じゃなくてテレビですか?

先生:そうだ。最後に一言あるから考えとけよ。

〇:わかりました、

なに言えばいいのだろう、史緒里さんも見てくれるのかな、

その日からずっと緊張していた。

なにを話そうか、それだけが頭を埋め尽くしていた。


・・・明後日 テレビ取材日


僕と先生は玄関で取材陣を待っていた。何を話すかは決めた。

先生:そ、そんな緊張せずに、が、がんばれよ!

〇:先生の方が緊張しすぎです。深呼吸してください。

僕だって緊張している。しっかり話せるか不安だ。

〇:でも、やるしかない。

先生:ん?どうかしたか?

〇:いえ、なにも。ほら来ましたよ。

ついに来てしまったのか。

先生:今日はわざわざありがとうございます。

取材陣:いえいえ、今回はおめでとうございます。

〇・先生:ありがとうございます。

どんどん緊張感が増してくる。

取材陣:では、早速準備しますね。


・・・数分後


取材陣:ではアナウンサーの方に入っていただきます。

ア:よろしくお願いします。

本番を意識すると、心拍音が高くなる。

取材陣:ではいきます。3・2・


ア:今日は今年の高校生中編小説で大賞に選ばれた田村〇〇君の学校にお邪魔してます!

本番が始まった実感が湧いてくる。

ア:まずは生徒会のみなさんに学校の魅力を紹介してもらいます!

生徒会の話は耳に入ってこなかった。


ア:いろんな魅力が知れたとこで、〇〇君に質問をしていきたいと思います!

質問、?そんなの聞いてないぞ?!

ア:まずは、大賞を取った感想をお願いします。

〇:作文的なのが苦手だったので、嬉しかったです。

これが大賞を取った人の言葉だと思うと、、

ア:そうなんですね!次に、タイトルが話題になっているのですが意味とかはあるんですか?

タイトル。僕が一番悩んだ場所だ。小説のタイトルは

「君がくれた一冊の本から」


〇:この小説は僕の実話を書いたお話です。

ア:え、そうなんですか?!初めて知りました、

〇:実はそうなんです。タイトルの意味は、初めて借りたあの一冊が僕たちを出会わせ、繋げてくれたと思ってます。君がくれたあの一冊から。

なぜか今僕は落ち着いて話せている。史緒里さんのおかげなのかな。


ア:実話ってことは、好きな人がいるってことですか?

〇:そういうことになりますね、笑

ア:いいじゃないですか!

改めて言うと恥ずかしいな、

ア:じゃあ最後に伝えたいことがあればお願いします!

〇:はい。

ずっと思っていたことを言おうと決めた。


〇:転校した大切な貴方に向けて伝えます。
  僕は貴方が好きです。

〇:なので!もう一度だけ、一日だけでいいので
会いたいです!お願いします!


ア:愛の一言ですね、きっと伝わりましたよ!

〇:ありがとうございます、笑

ア:こちらからは以上です!また来週~!

取材陣:okでーす!

やり切った、、いきなり疲れてきたな。


先生:おつかれ!結局愛の一言だったんだな笑

〇:やめてくださいよ笑

先生:お!よく笑えてるじゃないか!

え?僕が笑った?そんなわけ、、

先生:久保と出会って、本当に明るくなったな。

これも史緒里さんのおかげなんだ、

〇:ほんとに出会えてよかったです。


・・・そこから数日後の放課後


あれから学校中が僕の小説の話題をしていた。

ゆっくり本を読むこともできないほどに。

今日も図書委員の仕事をしようと図書室にいくと


??:いらっしゃい!人気者の〇〇君!


〇:え、史緒里さん!?なんでここに、、

そこには僕の好きな人が立っていた。

史:親に無理やりお願いして放課後だけ連れてきてもらった笑

〇:そうなんですね、会えてうれしいです笑

史:え!〇〇君が笑ってる!

〇:僕だって笑えますよ笑

やっぱ史緒里さんと話すのは楽しい。

そこから史緒里さんの転校先の学校の話とか、新たな本の話など

二人で楽しく笑っているこの時間がいつまでも続いてほしい。

強くそう思った。


史:やっぱりここの図書室は落ち着くね。

〇:僕もわかる気がします。

史:あのさ、見たよ。〇〇君のテレビの中継。

嬉しいような恥ずかしいような、なんとも言えない気持ちだった。

史:小説も読んだけど、あれ私達のことだよね?

〇:そりゃあわかりますよね。。

史:もちろん。あと、松田とひよりって聞いて母音一緒だ!って笑

〇:そこまでばれてましたか、、

実は小説に出てくる二人は僕たちと母音が一緒にしてるんです。
 
ローマ字にしてみると

本来の名前 TAMURA SI   ORI
小説の名前 MATUDA HIYORI

史:たくさんミステリー小説読んだんだもん!

〇:お互い様ですね笑

史:そうだね笑 でも、やっと私の気持ちに気づいてくれたんだね。

どういうことだ。理解が落ち着かない。

〇:私の気持ちってどういうことですか?

史:え、言わせるつもり?!

言わせるというか、わからないんだよな、

〇:テレパシー的なもの持ってないですよ。



史:あーもう!〇〇君のことが好きってこと!




すき、〇〇君がすき、、 

〇:え!?史緒里さんが僕のことを好き!?

史:そんなに驚かないでよ。私だって恥ずかしいし、、

彼女の顔はタコみたいに真っ赤だ。

〇:え、あ、ありごとうございます。

史:あー!やっと言えた!で、私に言うことないの?

言うこと、多すぎてなにから話そうか、、

〇:じゃあ図書委員が一人になって大変だった話します。

史:そういうことじゃなくて!

〇:これ以外の話いいですか?んーじゃあ

史:そういうことでもなくて!

さっきから何がしたいのかわからない。


史:ずっと告白待ってるんだけど、、

〇:え、?

史:これだと私が告白してるじゃん!

言われてみればたしかにそうだな、、

史:もういい!私帰る!

〇:え、ちょっと!

僕は史緒里さんの腕をつかんでいた。



〇:ごめん。気づいてあげられなくて、

史:別にいいよ。。

今ここで言わないと絶対後悔する。そう思った。


〇:僕史緒里さんが好き。だから僕と付き合ってください。


史:うん!私でよければお願いします!

お互い気恥ずかしくなってしまった。


史:〇〇君!

〇:ん?

史:本は返却しても、私への気持ちは返却したらダメだよ?


どういうことだ?気持ちを返却?

〇:、、どういうこと、?

史:えー!私の決め台詞が、、昨日から考えて、
恥ずかしいの我慢したのに!!

〇:ほんとにごめん、

史:ううん。なんか〇〇君らしいから許す笑

〇:なにそれ笑 でも、ありがと笑



〇:そういえば史緒里さんが最後に渡した本なんだったの?

史:あれは私の気持ちを表してたんだけどね

どういうことだ?歴史が私の気持ち?

史:仕方ないから説明するね。あれはタイトルが
大事なの!


史緒里さんの説明はこのようなものだった。

戦刀ーいくさがたなー これをローマ字で書くと

IKUSAGATANA 

これを反対から読むと

ANATAGASUKI

あなたがすき。となる。なんてロマンチックなんだ。

史:ってこと!

〇:すごい、まったく気づかなかった。

史:ミステリー好きの〇〇君なら気づいてくれると思ったんだけどね笑

滅相もございません。。


史:あ、私もうそろ帰らないと。

僕は最後に渡さないといけないものがある。

〇:史緒里さん、はいこれ。

史:戦刀、? これって、私が渡した本?

〇:うん。交換小説でくれた本だから。中には感想もあるから。

またしばらく会えなくなる。なら、せめてこれだけでも。

史:ありがとう!ちゃんと読むね!

これで僕と史緒里さんの交換小説は終わりを告げた。


史:〇〇君!高校卒業したら絶対会おうね!約束!

〇:わかった。絶対に約束叶えるから。

史:じゃあまたね!

僕は見えなくなるまで手を振った。


感想にはこの一言だけを書いた。

「また会いたいです。」

僕はこれで充分だと思う。

こうして僕は史緒里さんと付き合い、また離れ離れになった。

だが不思議と寂しくはなかった。

そこから月日はあっという間に流れ

・・・大学一年生の春 4月9日


僕はあれから高校を卒業し、近くの大学に進学した。

今日は大学初日の日。ゆったり歩いてると後ろから声をかけられた。

??:あの!

〇:はい?

??:乃木大学ってどこに、って、え!?〇〇君!

〇:え、史緒里さん!?

そこには高校の時とは雰囲気が変わった史緒里さんがいた。

史:あれ?かっこよくなった?笑

〇:史緒里さんも、もっとかわいくなったね。

史:恥ずかしいよ、、笑

こんなとこで史緒里さんと会えるなんて思ってもいなかった。

史:〇〇君も乃木大なの?

〇:そうだよ。

史:一緒じゃん!ちゃんと約束も果たせたし運命かも!

僕の人生を変えてくれたのは間違いなく史緒里さんだ。
僕の好きなものは本だけじゃない。むしろ本よりも好きな人がいる。

何年か前の僕にはこの未来を予想できなかっただろう。

僕はどんなものよりも史緒里さんが好きだ。

〇:きっと運命だよ。じゃあ行こっか。史緒里。

本にも載っていなかった好きという感情の答え。

僕の知らない世界を教えてくれたのは本じゃなくて

貴方だった。

これからも僕が知らない世界を一緒に見たい。

知りたい。教えて欲しい。

好きという感情の答えはひとつじゃなくて

沢山存在するはずだから。その全部を僕に教えて欲しい。

これから先もずっと。一緒に。


史:あれ!さん付けは、やめちゃったの?笑

〇:彼女に、さん付けいる?笑

史:ううん。名前だけの方が嬉しいよ!〇〇!

〇:やめて笑 ほんとに恥ずかしい笑

fin.

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