久々のデートなのに、彼女の雰囲気が少しおかしいような…
天:久々のデート楽しみだね?
彼女の天と一緒に2ヶ月ぶりのデート中。
今は目的地まで車で向かっている。
もちろん俺が運転をして。
天:水族館っていつぶり?
〇:んー、初デートどこか覚えてる?
天:私の家で勉強会
〇:さすが。その次が水族館じゃなかったっけ?
天: …そうー、かもね!
助手席で少し愛想笑いを浮かべている。
絶対覚えてないやつじゃん…笑
〇:あの頃、すっごい楽しかったよなぁ…笑
天:ん、?あ、うん、そうだね。笑
〇:最近、デート行けてなくてごめんね
天:大丈夫、お仕事忙しいんでしょ?
〇:うん、まぁちょっとね…
天:うん、無理しすぎないでね
少しちょっと気まずい空気。
無音に耐えきれず俺は音楽を流した。
好きなアーティストのプレイリストを。
天:これ…ハッピーエンドだよね…?
〇:うん。back numberが聴きたくなって。嫌だった?
天:ううん、大丈夫…笑
〇:なんか怒ってる…?
天:ううん、怒ってないよ。大丈夫。笑
天はそれっきり口を開かず、窓越しに外を眺めていた。
車の中ではback number の曲が次々と流れていた。
・
天:この魚かわいいぃ…
水族館に入って色んな魚を見ている。
天のテンションは戻ったようで一安心。
〇:天、魚好きだったっけ?
天:うん、お魚は好きだよ
〇:食べるのが?
天:うわっ、水族館でそれはモテないよ〜?
〇:それは困りますねぇ
天:私がいるんだから大丈夫でしょっ!
〇:たしかにな。笑
天は嬉しそうに笑って俺の指を絡めてきた。
いつぶりだろう、恋人繋ぎするの。
相変わらず天の指は綺麗だった。
〇:それにしてもカップル多いな
天:デートスポットだからね
〇:なんか…懐かしいな…
天:えっ、?
〇:俺達もああいう時あったよな、って…
天: …そうだね…笑
溢れかえるようにいるカップルを2人で眺める。
俺達もカップルのはずだけど。
天は絡めてた指を離していって、なにもなかったかのように歩き始めた。
なにも、変なことは起きていないのに。
・
天:イルカショーっていつぶりだろうね…
天はあれっきり気分が下がったまま。
理由を聞きたいけど、少し怖かった。
でも勇気をだして聞いてみることにした。
〇:ねぇ、俺なんかした?
天:えっ?
〇:せっかくのデートなのに暗いから…
天: …あのさ、〇〇もしかしてだけど…
" 今からイルカショーが始まります!早速、イルカちゃん達の登場でーす! "
天:あっ、イルカショー見よっか!
〇:いや天、それより、
天:イルカってほんとかわいいよね…
俺の話なんて聞いていない。
そしてタイミングが悪い。
イルカショーは楽しそうに進む中、俺の気持ちはどんどん暗くなっていった。
天の気持ちは、わからぬままだった。
・
天:久々のデート楽しかったね…!
帰りの車の中。
少し行くのが遅かったからか、もう16:00。
帰りは音楽をかけずにいると
重たい空気に耐えれなかったのか天が口を開いた。
〇:楽しかったね
天:うん、〇〇も楽しいならよかった。笑
〇:なんか曲流していいよ
天: …じゃあこれにしようかな…
天が流したのは、行きと同じback numberだった。
俺も天も好きなアーティストだったからな…
わたがし から始まって数曲流れていた。
天: …やっぱ悲しいね…
〇:ん?
天:いや、染みるなぁ…って…笑
〇:たしかにね、俺もすごい染みてる
天:やっぱそうだよね…。
アイラブユー を聴きながら運転をしている。
すると、隣から鼻をすする音が聞こえた。
ぐすっ、をそのまま音にしたような。
一瞬、助手席の天の方を向くと、
〇:え、天…なんで泣いてるの…?
天:ごめん…我慢するべきなんだけど…ごめん…
〇: …俺でよければ話聞くよ?
天:じゃあ…私の想いちゃんと伝える…
〇:うん、ゆっくりでいいよ
少し曲の音量を下げて、天の声に耳をすませた。
天:やっぱ私…〇〇と別れたくない…
〇:うぇっ?
天:だってまだ大好きだし…〇〇は別れ話するつもりなんだろうけど…私は別れたくないよ…。
ちょっと待ってくれ。
運転の方に頭が回らないぐらい、どういう事だ。
やばい、普通に事故りそう。
手をハンドルじゃなくて頭に置いてしまいそう。
〇:えっ、天、どういうこと?
天:だって…お仕事忙しいのも私に会いたくないからの嘘だろうし… back number をしんみりとした顔で聴いてるし…カップルみて懐かしがってるのもそういうことだろうし…
〇:あー…そういうことか!笑
天:なに笑ってんの…こっちは笑い事じゃなくて!
〇:ごめんごめん。笑
勘違いがすごくて思わず笑ってしまう。
曲は 瞬き が流れ始めていた。
〇:ごめん、俺別れ話するつもりないよ?笑
天: …えっ…えぇっっ!?
〇:まさかそこまで勘違いされてとは…笑
天:なんだ違うんだ…よかったっ!
〇:全部、別れ話とは関係ないよ。普通にデート楽しんでたな。笑
天も安心したのか、いつも通り大声で笑い始めた。
2人して笑いあった。
曲は、 花束 が流れ始めていた。
〇:やっぱ花束が一番いいよなー!
天:今の私達にぴったりじゃない?
〇:たしかに。笑
天と楽しく一緒に歌った。
セリフっぽいところは、お互いに言い合って。
そしてまた大きく笑った。
さいっこうに幸せなドライブだと思う。
〇:そうだなぁ…
天:んー?
〇:今日さ、天の家行っていい?
天:いいけど…なんで急に?
〇:天に寂しい思いさせてたから勘違いしたんだし、俺が悪いな、って。だからお家デートもしちゃおうよ
天:今から?
〇:今から
天:久々に家で2人きり?
〇:久々に家で2人きり
天:ふふっ、いいよ。お家でふたりっきり!ね。笑
〇:あれ、いけないこと考えてる人がいない?
天:それは〇〇も一緒だから大丈夫です〜
〇:バレちゃってんのか。笑
今度は優しく笑った。
花束が終わって、次の曲も終わりに入っている。
天:次、なんの曲来るか予想しない?
〇:いいよ、やってやるよ
天:勝ったら、コンビニでアイス奢りね?
〇:いいよ?高いのもありだからな
天:じゃあ私は〜、怪盗 かな!
〇:いや、ここは ハッピーエンド だな
流れていた 僕の名前を が終わり、次に流れた曲は…
〇:あぁくそっ…怪盗じゃん…
天:やった、私の勝ち〜!アイス奢りね。高いやつ!
〇:よく当てられたな…しょうがない、買ってやろうではないか
天:ふふっ、
天:〇〇のハート、私が盗んじゃおうかな〜?
〇: …もう行かなきゃな〜んて〜♪
天:あぁ無視しないでよ!
また笑いあった。
水族館よりドライブの方がメインになっちゃったけど、久々のデートはとてつもなく楽しくて
幸せで溢れました。
この後は、アイス買って天の家で…2人きりなんで色々と…いたしました。