不登校だった唯一の友達は、俺への告白が好きみたい
愛:おはよ、〇〇。課題やった?
不登校だった愛季さんと、友達になって2週間。
もっと前から出会ってたんじゃないか!?
と思えるほどの、友達になった。
少しずつ、クラスに馴染めてきてるっぽい。
〇:課題やったよ。真面目だし
愛:えらっ!私、わかんなくて…
〇:課題写す?
愛:いいの?
〇:もちろん
愛:ふふっ、ありがと!
愛季は、課題をもらって答えを写し始めた。
普通の友達との会話だ。
2週間前に、プリントを届けに行って
次の日に学校に来て
友達になってくださいっ!って、公開告白的なのをされて
今だと、普通に友達。
でも俺が、愛季の唯一の友達らしい。
誰かの、唯一になれるのは嬉しいもんだ!
と、つくづく思う。
♢
愛:〇〇ってさ、私以外に友達いるの?
屋上でご飯中。
唐突な質問をぶっこまれた。
危ない、水を吹き出すとこだった。
よし、ここは少し嘘をつこう。
〇:一応いるよ?
愛:ふーん。いいね〜
〇:まぁ、この高校には友達いないんだけど
愛:えっ、そうなの!
ちょっと、ふてくされてた顔から一変。
ご褒美をもらった、子犬のような顔。
なんで嬉しそうなんだよ…笑
愛:じゃあ、私と友達になれてよかったね!
〇:愛季こそでしょ
愛:お互いに、唯一の友達なんだ〜。笑
〇:いや結構、死活問題だよ?
愛:ん?どうして?
愛季は、卵焼きを口に入れた。
だって、ね?
4月から、ぼっちだった俺が気づいた問題。
〇:まず、友達が休んだら終わること
愛:あっ、たしかに…
〇:ずっと一緒にいささること
愛:それはそうだね
〇:他の人に絡まれて…奪われでもしたら…
愛:考えただけで寂しい…
ほら。
これが、ぼっちで学んだこと。
意外と、ぼっちだから学べることもある。
愛季と友達になってからの方が、楽しいけど。
〇:愛季かわいいし、すぐ友達できるよ
愛:そうかな?からあげもーらい!
〇:できるできる。卵焼きもらーい
愛:でも私、〇〇以外の友達の作り方わかんないし
〇:作り方ねぇ…
愛: …別にわかりたくもないし…
愛季は、ぼそっ、となんか言ったけど聞こえなかった。
聞こえてないってことは、聞かなくても損じゃない
ってことのはずだから、気にしないことにした。
青空の下で食べる、友達とのご飯は美味しいな。
まぁ、屋上にくるの禁止なんですけど。
ん、愛季の卵焼きうまっ。
♢
愛:ねぇ。さっき、女の子と話してたよね?
愛季と一緒の帰り道。
メンヘラ彼女、が言いそうなことを聞かれた。
話したけど…あれは…
・
"〇〇君さ、谷口さんと仲良いの?"
授業と授業に挟まれてる、少しの休憩時間。
俺の机に、珍しくお客さんが。
女の子2人。
愛季は、お手洗いか。多分。
〇:仲良いのかな?
"私さ、谷口さんと話してみたくて…どうしたらいいかな…?"
〇:んー、話しかけてみれば?
"だから、そのやり方を教えて欲しいの!"
〇:いや、俺も知らないし…
"話になんなーい。行こっ"
なんやねん。
ほんの少しだけ、じろっ、と睨んでやった。
・
〇:あの女の子達は、愛季と仲良くなりたいんだってよ?
愛:ふーん。そっ
〇:え、友達欲しいんでしょ?
愛:誰でもいいわけじゃないですー
怒ってるのか、不貞腐れてるのか
ぷくっ、と頬を膨らませている。
まぁ、あんな、めんどくさいやつらと友達になっても、か。
愛:私は、〇〇だけがいればいいんですー
〇:ん、また告白?
愛:不登校だったから、友達が多くても困るしー
〇:友達は少なくていいの同意
愛:だから私は、
愛:〇〇だけが、いてくれれば充分なの。私から離れないでね?ってこと
また、されちゃった。
告白。
でも付き合ってはいない。
友達からいえる、告白、のはず。
そのはずなのに、ちょっとだけ、心が…揺れた。
〇:まぁまぁ、俺は友達できないから
愛:ふふっ、それは安心だね!
〇:バカにしてるな?笑
愛:してなーい。…こともないかも?笑
愛季の表情は、笑顔に戻っていた。
ただ、それだけで、すっっごく嬉しかった。
これって…友達への思いなのか…?
と疑うほどに。
♢
愛:ねぇ〇〇!私、友達できるかも!
3日後の朝。
教室に来て早々、愛季がとっても嬉しそうな表情で言った。
まぁ…そりゃあ…愛季はかわいいから普通か…笑
〇:よかったじゃん
愛:ほんとに?
〇:え、なにが?
愛:ふーん。つまんないの!
愛季は、ふんっ、と自分の席に座った。
俺が愛季の方を見ても、全然、向いてくれない。
むしろ、頬杖をつきながら外を眺めている。
友達ができちゃった、か…
って、なに考えてたんだ俺!
愛:嘘だよ。私に友達できるわけないじゃん。
ぼそっ、と言った。
でも、それはたしかに聞こえた。
聞こえたけど、愛季は振り向いてくれなかった。
ここから2週間。
愛季とは普通に話していたが
前ほど、心の距離が近くなくて、
少し、友達という存在から離れたような気がした。
♢
愛:やっぱ私、友達いらないのかも
お昼休み。屋上。
友達になってから毎日、愛季と一緒に食べれている。
空気はどんよりとしている。
空も、空気も、澄んでるのに。
〇:え、友達いらないって、
愛:そもそも!ずっと不登校だったし!学校が合わないのかな、って…笑
〇:そっ、か。学校どうすんの?
愛:学校は…やめない、かな…
〇:そう、ならよかった…笑
なぜか、安心してる自分がいた。
ぼっちになるのが怖いから、なのかな。
それとも…他の理由が…
愛:まぁ…学校をやめたくない理由ができちゃったから…
〇:へぇー、どんな?
愛:すごい自分勝手だけど…
愛:私、〇〇と友達以上の関係に…いや…こんな遠回しだとだめだよね…
ん、?
愛季は立ち上がって、呼吸を整え始めた。
大きく息を吸って、
愛:私、〇〇が好きっ!!恋に落ちちゃったっ!!
…え?
箸で掴んでいた卵焼きを、ご飯の上に落とした。
愛季の顔は真っ赤。
大声で叫んだからなのか、恥ずかしい、のか。
ほんと愛季は…告白が好きみたい。
〇:えーっと、
愛:だから!私もう友達いらない!友達は〇〇だけでいい!でも、〇〇とは恋人になりたいのっ!
〇: …えーっと、
愛:恥ずかしいけど…
愛:だって〇〇は、私を、不登校から救ってくれたんだもん。そして学校を楽しみな場所、にしてくれた。朝から帰るまで、ずっと楽しくて、幸せで、
愛:私、気づいた。全部、〇〇のおかげだったの!
愛:気づいたらもう……私、〇〇がいないと、だめになっちゃった。笑
人生初の、ちゃんとした告白。
嬉しいけど、顔が熱くなってるのがわかった。
あっつい。
はずかしい。
呼吸が上手くできない。
でも、それでも、
〇:俺、なんか、嬉しいや。笑
愛:ふふっ、なにそれ…笑
〇:うん。俺も愛季が好きだと思う
愛:思うってなに!?
〇:あっ、ごめん…彼女できたことないから…好きって感情が曖昧で…
愛:ふふっ、なんか〇〇らしいね。笑
愛季のひまわりのような笑顔。
心が一気に、ぎゅんっ、と止まりそうになった。
もしかして…これが、好き、って…
愛:〇、〇〇っ!
〇:は、はい!
愛:わ、わたしでよければ…その…あの…
〇:う、うん
愛:つ、つ、つき、あ、あっ、
唾液を飲み込んだ。
多分、あれが、くる。
ちゃんとした、告白が、
愛:あぁ!やっぱ無理っ!!
〇:んあ?
愛:告白、恥ずかしすぎて、できない……//
〇:なんだよそれ…笑
お互いに、顔が真っ赤だけど笑いあった。
笑いあって、一旦、お昼ご飯を再開した。
そうだ、別に、明日だって会える。
だから、急がなくていいのかな。
もっと一緒にいて、好き、って感情がわかったら
ちゃんと俺から、愛季に言おう。
愛:あぁ!〇〇の卵焼きもーらい!
〇:じゃあー、俺は、
愛:なに交換する?
〇:よし、愛季のほっぺもーらい!
愛季の、ほっぺを優しくつまんだ。
はっ、とした表情。
愛季の目が、ぱちぱちしている。
愛:っ……いきなりはずるいっ…!///
愛:けど…〇〇なら…ほっぺ食べられても嬉しいっ…笑
あぁ、やっばい。かわいい。
この表情、独り占めしたい。
もしかして…これが…好きって感情…なのか…?