WAO亭 Studio の生い立ち (加筆中)
「WAO亭って、どうやって、こうなったの?」
とよく聞かれるし、25年色々変遷していったので、備忘録がわりに書いてみた。
最初は自分の練習室 兼 オーディオルームだった
のです。1935年生まれの亡父がオーディオとカメラと車(特にF1)マニアで、幼い頃からいじらせてもらっては「なるほど、こうなるのね」というようなことを学ばせてもらっていた。
後に中学生時分、菅野沖彦と長岡鉄男というオーディオ評論家に感化され、大いにオーディオ沼にはまる。
JBL4343に強く憧れていたものの当然買えるわけもなく、レコードを楽器ケースに入れ、学校の帰り道にあるオーディオユニオンやジャズ喫茶に寄っては掛けてもらって色んなスピーカーを聴かせてもらっていた。
特にオーディオユニオンのA氏には強く影響を受け、その講釈を聞くのが楽しみな中学生だった。
1995年ごろ30歳の時に家(実家)を建て替え、深くパイルを打ち込まなくてはならず、地下室をついでに造り、長岡鉄男のオーディオルーム「方舟」にならい、WAO亭を自力で設計(強度計算などは建築屋に頼んだが)、完成。
音楽鑑賞と自分(トランペット)と嫁のピアノの練習、音楽鑑賞がメインで、まぁ数人のアンサンブルの練習できればいいかな、と。
当初は奥さんがピアノの自宅レッスンに使う日が多かった。当時は多くの生徒さんに利用してもらったりしていた。
当然人に見てもらう事など微塵も考えておらず、時折宴会に浸かってたりしてただけだった。
音響も低域の定在波が立ちにくいようにしたくらい。遮音性も夜中に大音量でオーディオ鳴らせるのと、トランペットとピアノの練習が出来る程度で、完全防音ではない。
スピーカーはTANNOY ARDEN II とスーパースワン(自作)、KEF LS3/5aの純正ユニットとネットワークを使った自作箱で悦に入っていた。
マルチレコーディングシステム導入
そして、時代が少し進み、2000年ごろハードディスクレコーダー FOSTEX VF160を買った。12万円くらいだったかな?
マイク入力は二つだけだったが、ミキサーを咬まして8入力にしたり、RME 24/96 PSTをPowerMac G4に挿してDigital Performerで編集可能に。とにかく、
「自宅でマルチ録音ができる!爆音可能!!」
ことに喜んでいた。某ホテルのブライダル関係の仕事もあり、MIDI打ち込みの得意な人にバックトラックを作ってもらい、金管楽器や弦楽器を多重録音して納品したりしていた。
当然、まだ「カメラ映え」なんて微塵も考えていなかった。
置き楽器が増えていく
「ドラム置いておいていいですか?使ってもらっていいんで、その代わり練習させてください」
「ベーアン置いてっていいですか?(以下同文)」
「ギーアン(以下同文)」
「スピーカー余ってるんですけど(以下同文)」「ミキサーあげるよ」
と次第に置き楽器や機材が増えていく。気がつけばバンドのリハーサルできるじゃん?
それでも、上記スピーカー群は鎮座したままだったので折角の広い部屋がチョッと勿体なかった。自分の宅録納品や、弦楽四重奏や声楽+Pfなどのレコーディング(自主制作)を請け負っていた。
また、リハーサルで使ってくれる人達もいて、簡易レコーディングしてサービスとして差し上げたりしてた。
2016年 大断捨離時代 ビッグバンドリハーサル可能へ
15年くらいそんなことが続き、色々な「置き楽器」「置き機材」が増えていった。
色々あって、2014年から自己のプロ集団からなるビッグバンド、WAOrchestraを立ち上げる。
リハーサルは近所の中学校を借りていたので無料だったのだが、如何せん土日しか使えない。プロ集団となると土日は逆に仕事が忙しいので出席が厳しかった。
そんなおり、長きに渡り主にピアノ弾きの嫁がレッスンで使って嫁がレッスン業務を中止。
相変わらず練習と宅録納品と宴会をしていただけだったのが、とある人間に、
某「いやぁ、片付ければビッグバンド入るんじゃないか?」
俺「大変じゃね?」
某「メンバー(ビッグバンド)総出でやったら余裕っしょ」
俺「じゃやってみるか」
・・・・二日かけて大掃除大断捨離、オーディオ機器は全て売っぱらった。タンノイ ARDEN II も売ってしまった。
結果、入るじゃん!
が、それでも自分と嫁の楽譜がギッチリだった。2台ピアノをよくやっていた嫁の電子ピアノが結構大きくて邪魔だったw
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が、ここで問題が起きる。
ライブ気味な部屋の音が好みだったのだが、流石にビッグバンドが入ると何を吹いているのか全くわからない状態になる。
高い吸音材などを買うのも面白くないので、かつてのWAO亭のアイコン「オレンジとブラウンの吸音タイルカーペット」を貼ってみた。
うん、これはいいぞ!
と、調子に乗り、くさび形の吸音材を大量に中国で買う。
また、10mロールの吸音材を二つ発注。
工場のポンプ室などの吸音に使うグラスウールが安く大量に出ていたので、50mmのものを大量に買い、ブチルゴムとシリコンコークで天井などに貼る。効果テキメン。
結果、グレーで統一していた壁はバラバラな色になったけど、安かったし、まぁリハーサル可能なルームアコースティックになる。
2017 業務用エアコン導入
が、ここでも問題発生。暑いのである(笑) 100Wのレフランプを12個つけていたので、それを当時まだちょっと高かったLEDランプへ変えてみたが、暑いものは暑い。
人間1人100W程度発熱するらしいし、遮音≒断熱なので即灼熱地獄になる。おまけに古いエアコンでエアコンから水がジャー!っと溢れてきたりして限界。
思い切って70万円(取付工事費込み)で業務用エアコンを導入。エアコンにしては高価だが、20人入るとこれくらいないと全く冷えない。
能力の割には非常に安価で、大掛かりな取付工事費も安くしてくれている。
これでプライベートのリハーサルスタジオとして徐々に稼働していく。
「自宅でビッグバンドのリハーサルができる人」となる。
2017年からしばらく、ひたすらビッグバンドなどを運営、またレンタルリハーサルスタジオとして稼働していく。
大量の楽譜などはまだそのままだった。
2020年 ZOOM iQ7 買う
幸せは長く続かないものである。
2020年初頭、新型コロナウイルスが流行。実質的なロックダウンが2020/03 - 05まで実質的なロックダウン。
大きな収入源であったレッスン業務も停止。全く無収入で3ヶ月過ごす。
やることが本当にまーったく無くなったのでひたすら練習するが、SNSを見るとみんな色んなレコーディングや録画をしている。
さりとてレコーディング機材はあるものの、PCIスロットを持つMacなんてもう無いし、レコーディングできる環境は無い。
が、ふと見ると起動もしたことがないGarageBandがあるではないか。これにZOOM iQ7をくっ付けて、ある程度取れるんじゃないか?
と思って四苦八苦すると後輩のヴィブラフォン奏者・作編曲家の窪田想士がアレンジしてくれてバックトラックまで作ってくれて、こんなのが撮れた。
よく聞くと分かるんだけど実はこれ、トランペットセクションは敢えてオーバーロードさせてる。
GarageBandでコンプ掛けて云々やってても画面が小さすぎてラチがあかないのでやってみたら結果オーライ。パッと聞きにはソコソコ。
が、所詮はなんとなく拾えるマイクでやってるだけなんで、やっぱりオーディオインターフェイスが欲しくなるものの浦島太郎状態でサッパリわからず。
2020年 レコーディング環境整備開始
2020年4月ごろだろうか、手持ちの機会で何とかならないか、と考えるに、リビングで使用していたMacはMac mini2014なのでWAO亭へ移動できない。そこで長くHDD不良でほったらかしてたハードウェアバグがある MacBook Pro 15inch mid2010 にSSDを入れてみた。
無事起動!やった!!
FOSTEX VF160があったので、出力をS/PDIFにして直接Macへ入力、無事GarageBandで認識したので、一応これでMacのGarageBandで作業が出来る!
マイクはまだBEHRINGER ECM80002本と壊れかけのShure SM57のみだった。
12チャンネルレコーディング環境整う
2020/5月ごろだろうか?
そこへ天の神、周防師匠からデデーンと贈り物が届く。
BEHRINGER FCA1616 ADA8000
割と最近まで師匠スタジオで使われていたもので、さすがにいい。全然悪くない。おまけにADAT入出力があるので、持ってたBEHRINGER ADA8000と組み合わせてアッと言う間に12チャンネル同録可能になった。
こうしてなんちゃって12チャンネルのレコーディングシステムが完成する。思えばここで止まっておけばよかったのかもしれない(笑)
ヘッドホンだけで長時間ミックスすると本当に耳がやられるのでYAMAHA HS5も同時期に購入。
時を同じくして「ラージコンデンサーは一本買っておきたいよな、やっぱ」となるものの、浦島太郎状態なので、よくスタジオで見かけたAKGブランドで12000円で入手できるAKG P220を入手。三つ回して遊んだりし始める。
2020年 初レコーディング仕事舞い込む
2020年7月、ドラムを含めたレコーディングの仕事を頂く。
マイクなんて上記のものしかないので、急いでTASCAM TM-DRUMSという4本セットを買う。15000円。
これが思ったよりいい仕事をしてくれていて、今でも特にバスドラ用は気に入って使っている。
ドラムとベースを先に録って、ギターを重ね、管を重ね、最後に歌を別撮り。絵は当てぶりで別撮り。
録りからミックスまで初の仕事がこちら。全てGarageBandなので24/44.1。
BEHRINGER FCA1616のガリっと克明な音が良く出てると思う。
2020年 PEDAL VOX 到来 ATEM Mini導入 泥沼開始
2020年7月以前より親交のあったユーフォニアム・チューバ(ヘリコンバス)・ドラム、の3ピースバンドが配信ライブをやりたい、と言ってくれた。
よく方々でやってるようだが、生配信と言っても何をやったらいいのか全く分からない。なんとなく音は録れる環境になったけど、それをどうやって絵に混ぜて出すんだ?
と調べるとなるほどBlackmagic DesignのATEM Miniなるものを買うと混ぜられるようだ。
しかし買ってはみたもののよく分からない。とりあえずHDMI入力したものに音声を混ぜたりHDMI入力を切り替えることができる機械なのだな、というのだけはわかった。
それにしても入力も足りない。オーディオインターフェイスのアウトプットを利用してATEM Miniへ入力するし、同期(演者だけがクリックを聞いて打ち込み音源を流し、聴衆には聞こえない)の必要があったので勢い余ってZOOM UAC-8を買う。
macOSの機器セット(ソフトウェアシンクみたいな感じかな?)というものを利用して運用する。しかし母艦が 10年前のノートなのでCPUがギリギリだ。
マイクもAKG D5を10本とShure SM57をとりあえず5本、後に6本買い足す。
エンコード(YouTubeなどのプラットフォームへ映像を送ること)は何やらOBSっていうものを使うようだ。
まだその程度の認識しかない。
何とか生配信コンサートを終える。精魂尽き果てた。
でも、これは自分でもっと簡便にできるようにならないか?せっかくドラムも叩けるスタジオを持っているのだから面白いことが出来そうじゃないか、とカメラ沼へハマっていく。
映像沼の淵へ立つ
少しだけスチルをかじった程度で動画はさっぱりだ。
「今時のデジイチなんて1-2万でいい動画撮れるんだろ?」
程度だ。そもそも出力にクリーンHDMI出力が必要、なんてことさえ知らない。ググりまくるもよく分からない。
分からないなりに買ったり借りたりして四台体制に。同時期にLiveshell Xを借りられ、またATEM Mini Proも買い足していった。
この頃になるとようやく映像と音声をどうやって混ぜるか分かってくる。
ただ、将来的にどうしてもWAO亭からビッグバンド収録・配信をしたかったので32chが欲しかった。
本来だったらマイク入力を頭分けしてDAWと配信ミックスを別個にやるのがベストなのだけど、DAWとオーディオインターフェイスとミキサーを考えると数十万円のコストアップになり、スペース的にも無理を感じる。
以降、DAWのアウトプットを利用するスタイルを続けている。
2021年 RME Digiface USB導入
端折るけどZOOM UAC-8にADATで8ch拡張したものを2台、macOSの機器セットで運用するも、1,2chが時折故障し、また、ゲインを見渡せないことに限界を感じ導入。
ずらりと32chのゲインを見渡せる。
CubaseとかStudio Oneとか、昔使っていたDigital Performerとか、ど定番のPro Toolsとか悩んだけれど、macOSと安定性親和性の高いであろうApple謹製のLogic Proのアウトプットで運用し続けることに決定。
同時期Mac mini 2020 (Intel i7, 6core, 64GB Memory) にリプレイス。
カメラとレンズに悩む
Lumix GH2, SONY α5100, NEX-VG10(借り物), Panasonic TM35を買ってみた。巷ではGH2が評価が高いらしい程度の認識。
単焦点の描写は知っていたけど、マイクロフォーサーズでもボケるのか?とかAPS-Cの方が有利なのじゃないか?とか妄想と実験を繰り返すも、キットレンズ程度であれば、そんなに差がないことが判明してくる。
よし、マイクロフォーサーズで行こう!
勢い込んで文化庁の補助金と持続化給付金でGH4の新品を4台行ってしまった。
レンズは別途中古の12-60mm, f3.5-5.6の標準ズーム。
よし、これなら、と思うものの今度は4カメラ以上の需要が増える。ATEM MiniとATEM Mini Proをスタックさせての運用には無理があり、また、個別カメラで内部記録するも7カメラ8カメラあると、それだけで一苦労で、ATEM Mini Pro ISOを買おうと思ったが、そんな折ATEM Mini Extreme ISOが出る。
8カメラまで行けて個別カメラのレコーダーも付いている。1,2chに時折ミドリお化けが出たりするが、カメラを再起動するなりすると治る。
17万円したが即買いだった。
2021 KVMエクステンダー導入なんちゃってコントロールルーム出来る
WAO亭のブースの横に母親の着物置き場となっていた少し大きな部屋があり、なんとか穴を開けずに別室でDAW操作とスイッチングできないか?と考える。
ふとしたことで尾上さんから「KVMエクステンダーはどうですか?」と提案される。配信界隈では常識的に使われていたもののよう。
1万円くらいで買えた。
なるほど、イーサ(LAN)ケーブルでHDMIとUSBを引っ張れるのか!と20mくらいのフラットケーブルを買い込んで繋ぐ。成功!
カメラのスイッチングはStream Deckを使って遠隔操作。成功!
そしてなんとか、自室から念願のビッグバンド配信を開始!
が、オーディオインターフェイスはまだブース内なので、あ、と思ってもゲイン調整が出来ない。
しかし嵐のような需要に改変する暇がなかった。
(加筆中)