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【読了】『日々、努力。』川崎ブレイブサンダース - 篠山竜青

僕は川崎ブレイブサンダースが大好きですが、その中でも#7篠山竜青さんは一番の推しです。

そんな彼が自身について語った本が出るということで何の迷いもなくポチって届いてすぐ読みました。

感想を記しておきたかったので普段は川崎ブレイブサンダースの試合感想がメインですが少し趣向を変えてnoteを書いてみます。

なぜ竜青さんを推すようになったか

筆者が本格的に川崎ブレイブサンダースを応援するようになったのは2020-2021シーズンからだったと思います。

ミニバスから大学までずっとバスケをやってきたのもあり、ずっとバスケ自体は好きでした。

B.LEAGUEの発足時には代々木体育館にアルバルク東京vs琉球ゴールデンキングスの試合を観に行ったりしていたのですが特段推しチームというのはなく、全体的に「バスケが盛り上がればいいな」という程度でした。

そこから数年経って、どうせならどこか推したいと思って各チームの選手を眺めていたときに川崎に竜青さんの名前を見かけて「ここだ!」と思ったことを覚えています。

実は僕の竜青さん推しは竜青さんが大学4年生の日本大学時代に遡ります。

僕自身はバスケをしてきたというものの全国なんてものは縁がないところで過ごしていました。
全国のバスケ少年たちと違わず、毎月月刊バスケットボールを見ながらインターハイやウィンターカップ特集、全中特集などを見て「スター達すげーな」とどこかヒーローのように見ていた普通の少年です。

そんな僕が大学に入って上京します。(スポーツ推薦とかなく普通の受験生です)
そして大学でもバスケに勤しむようになるのですが、当時の関東大学バスケは5部まで存在しており、1部や2部は月刊バスケットボールで見聞きした怪物達の世界で、僕は3部くらいのところの大学でプレーしていました。

雑誌で見ていたスターたちと近づいたものの、それでもまだ別世界の人たちのように感じていました。

ところが大学バスケは意外と部を超えて対戦する機会が多く、3部のチームでも年に数回は1部や2部のチームと試合をする機会があるわけです。

当然、1部2部のチームにとっては格下も格下の相手なので1軍のメンバーは出てこなかったり、試合に出てもどこか温存というか全力ではなかったり、(気持ちはすごい分かるしわざとではないですが)試合終了後のロッカーで「なんで今日俺らが出ないといけないんだっけ?」言ってたりするわけです。

「スターたちにしたらそりゃそうだよな」って思っていました。

そんな中、たまたま関東のトーナメントで竜青さんが4年次に日本大学と対戦する機会がありました。

日大の方針だったのか、万が一でも負けたら一発アウトのトーナメントだったからなのか、試合のスタートはゴリゴリのスタメン勢が出てきました。
普段プレータイムのない選手たちが出てくることが多かったので、これだけでも僕は「素敵だな」なんて感じていました。

勝利する確率は宝くじくらいなものの、それでも試合だし勝つために僕らは一生懸命プレーするわけです。
ところがまあ当然地力の差は割とすぐ出るわけで、試合も一方的な展開になっていきます。
決して舐めているとかではなく、日大の選手も徐々にプレーに余裕(悪い言い方をすれば流している)が出てきます。
そんな中でも竜青さんだけ、ずっとディフェンスもフルスロットルだし、仲間にも1部のチームとやるときくらいの熱で声を掛けているし、相手が誰であれ全力でプレーしていたんです。

極めつけは、相手(僕ら)に対する姿勢です。
地力で劣っている僕らとしては、多少強引でも攻守に強度を上げたプレーでなんとか一矢報いようとするわけです。
大学生ですからいくらか無茶なコンタクトも多かったように思います。
1部でプレーする選手からしたら怪我の危険もあるし、疎ましかったと思います。

そんな試合展開の中で一度竜青さんにぶつかってファールをしてしまい転倒していたら、竜青さんは嫌な顔ひとつせずすっと手を差し伸べて引き起こしてくれました。

今まで強豪校の選手たちはどこか自分たちのことが見えていないような印象を受けていたのですが、相手がどこであれリスペクトを持って接する竜青さんの姿に心を射抜かれました。

この時からなんとなく竜青さんの中にヒーローというか、ただバスケが上手いかどうかを超えた尊敬の念を抱いており、大学バスケも気づいたら彼の動向を追うようになっていました。

大学を卒業して実業団に入られてからは、当時はバスケットLiveのような配信サービスも無く、JBLの試合を観に行くほどのお金も無かったので疎遠になっていましたが、10年来の再会で彼と川崎ブレイブサンダースを再度推すようになったわけです。

自分語りが長くなってしまいましたが、そんな竜青さんが出した本なので飛びつくように読んでいると、当時竜青さんの中に感じた素敵さのルーツを垣間見たような気持ちになりました。

竜青さんの意外な人間性

メディアや試合会場で見る竜青さんの印象は「明るく、リーダーシップに長けた人」でした。

しかし意外にも、人見知りでつい何事も考え込んじゃうらしいです。

リーダーシップについても先天性のものではなく、様々な経験を通して後天的に獲得したと自覚しているそうです。

かといって、普段は無理して振る舞っているかというとそんなことはなく筆者的には心理的な柔軟性が高い人(もう少し小難しく言うと心理的な資本が充実している人)なんだなと感じました。

元来は人見知りで考え込みがちだけれど、自分の特性を深く理解し受容しているからこそ、コントロールできる。

それは輝かしい経験ばかりでなく、苦い経験もたくさんしたからこそ育まれたものでした。

誰しもが苦い経験を糧にできるわけではない中で、それらを着実に糧にしている竜青さんはやはり人として尊敬できると感じました。

天性のリーダーじゃないからこその魅力

自分で「後天的にリーダーシップを鍛えた」と言っている竜青さん。

天性のものでないからこそ、チームメンバーにどのように言葉を届けるか、リーダーとしてどう振る舞うとどういうことが起こるか、自分が無理せず取れるリーダーシップは何かを考え抜いてきた様子が生々しく描かれています。

近年ではリーダーシップ研究も進み、リーダーシップかくあるべしという論調からオーセンティックリーダーシップやエフィカシーリーダーシップと言われるような「自分らしさの中に各々のリーダーシップがある」という考え方に変化していっています。

この本は、まさにオーセンティックリーダーシップの育まれ方を描いた貴重な自伝だと思います。

篠山竜青ファンじゃなくても、川崎ブレイブサンダースファミリーじゃなくても、はたまたBリーグファンじゃなくても、リーダーシップというものにアンテナを張っている人におすすめです。

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