【ぶんぶくちゃいな】「不明白播客」:チベット族教育学者が語る「習近平はいかにチベット語教育を破壊しているか」
今ちょうど、日本では「中国の教育」が大きな注目を浴び、それを巡る議論が日々展開されている。
そんなとき、もう一つの「中国の教育」を巡る話題が流れてきた。このメルマガですでになんどかご紹介してきた、米紙「ニューヨーク・タイムズ」記者の袁莉さんが主宰するポッドキャスト「不明白播客」からだ。袁莉さんのご許可を得て、チベット人教育学者のギャロ氏インタビューを日本語訳してお目にかける。
今回の背景をまずご説明したい。
今年、青海省ゴロク・チベット族自治州にあった「吉美堅賛民族職業学校」が、7月15日に閉校した。それを伝える海外のメディアによると、学校所在地を管轄する現地政府からの圧力で閉鎖に追い込まれたという。
同校は青海省ゴロク州の中心地である瑪沁県にあり、同州生まれの僧侶、ジグメ・ギャルツェン氏が1994年に創設した。創設時は瑪沁県人民政府やゴロク州人民政府の大きな支持を受けたことが記録されている。学んでいるのは義務教育を終えた高校教育段階の学生たちで、閉鎖までチベット族居住地区の各地からの学生ら1400人余りが学び、教師約60人が教えていたという。
「不明白播客」ではこの閉鎖について、2回のインタビューを放送。1回目はNGOボランティアで、かつてこの学校で教えていたという漢人女性が、チベット族社会の風習や学校内の様子、また学生たちについて具体的に紹介していた。その内容はこちらで聴くことができる。中国語の聞き取りが可能な方は是非。
本メルマガではその2回目、同地出身のチベット族教育学者、ギャロ氏のインタビューをお届けする。
中国国内における少数民族政策は多少、もれ聞いたことはあっても、具体的に理解しているといえる日本人は圧倒的に少ないだろう。なので、今日本で中国において政府が推進する教育政策に関心が向けられているときに、知識として情報として、まさに今夏起きたこと、そしてその背景について理解することは良いタイミングではないかと思う。
以下、筆者による注釈や補足を[]で書き足したので参考にしつつ、ぜひ読んでいただきたい。
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