241015 【artscape寄稿】香港映画界が紡ぐ「香港人らしさ」 ──新しい香港映画の波がやってくる

すみません。お知らせが遅くなりました。美術系情報雑誌「artscape」で、香港映画の話を書きました。ここ数年、香港映画が熱い!です。

昨年もそうでしたが、今年の6月の香港滞在でも、とにかく時間を惜しんで映画館に足を向けました。待っていれば、Netflixなどのオンデマンドで観れるようになる作品もあるのですが、やはり香港の映画館で周囲の観客のどよめきを聞きながら観るのとは、「臨場感」が違うからでした。

敢えて「コロナ後」に出現した今の香港映画は、まずここ20年余りたびたび謳われてきた「大規模投資」から離れ、もっと「香港人らしさ」を追求するものが多いです。また、香港の歴史や今の香港人の記憶に残る映像や時代を背景にストーリーが進むものがむちゃくちゃ増えている。香港人はそうやってかつて「香港人たち」が歩んできた道を反芻しているのだと思います。

生身の香港人を知らない日本人には、わかりにくい作品が増えた、と感じる方も少なくないはずです。表情やちょっとした場面に組み込まれたキーワードを読み取れないと、映画の意味やテーマすらわからないかもしれません。

ただものすごく単調に思えるストーリーに、実は何度も香港人の心を震わせるセリフやシーンが織り込まれていて、それが爆発的に話題になり、大ヒットする――という流れがここ数年で主流になっています。それを、わからないなりに日本人が追体験することで、香港人が、今では口に出すこともできなくなってしまった、心の内に抱えているものを理解するきっかけになるやもしれません。

記事の最後でもお知らせしましていますが、ちょうど今月末からは東京国際映画祭が、そして11月に東京、大阪、福岡で香港国際映画祭と大阪アジアン映画祭主催者とのタッグイベント「making waves」も開催されます。

記事では、あまりこれらのイベントで上映される映画に寄せて書いていません。というか、執筆時には上映作品がまだわからなかったので、とにかくここ数年話題になった作品を取り上げ、昨今の流れをご紹介することに専念しました。この二つのイベントで上映される作品もありますが、今後なにかの機会に目にできるかもしれない作品もあります。

すでにイベントチケットは発売が始まっており、一部はあっという間に売り切れてしまい、わたしも手に入れることができなかったのですが、もしお時間が許せば、チケッティングオフィスでの発売「敗者復活戦」を狙ってみてください。詳細はウェブサイトでどうぞ。

まずは、わたしの記事で予習をどうぞ。

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