【ぶんぶくちゃいな】日本語専攻学生のプライドに見る日中関係の5年間

突然だが、5年前の今頃、日本と中国はどんな状態だったか覚えているだろうか?

5年前…2012年…そう、2012年9月に起きた日中国交回復後最大級といわれた反日デモの直後だ。ここまでいえば思い出すだろう、当時の日本では連日、「破壊行為」だとか「暴力的なデモ」だとかがワイドショーで取り上げられ、対中感情が戦後最悪なレベルに陥っていた。

その一方で、日本のニュースメディアのほとんどは衝撃的な反日デモの理由を「中国の政治闘争にあり」として、一所懸命、同年11月に予定されていた中国共産党大会報道を続けていた。ちなみに、5年に1度の党大会は今年10月18日に開幕する。

当時、たしかに中国で営業活動をする日系企業や日本人は頭を抱えていた。彼らのすべてが石つぶてを投げられたわけではなく、いや、周囲の中国人に気遣ってもらうという体験を個人的にしていたはずだ。だが、ビジネスのように人前で「日本」を名乗る場での風当たりの強さはかつてないほどだったからだ。実際にわたしの知り合いにもあのムードが続いた結果、中国での事業を諦めて撤退した人たちが複数いる。

一方でちょうど5年前の日本では「中国人デモ隊がどんなに暴力的に日本を攻撃したか」ばかりが報道され、破壊や衝突ばかりが強調されて伝えられた。実際に現地で暮らしていた我われが目にしたのはそれだけではなかったが、メディアは「目立つ」ものが好きだ。その「目立つ」ものばかりがこぞってメディアで取り沙汰された。

そして、デモとその報道はその後の日本人の中国観を大きく変えてしまった。

だが、実際、あの反日デモのきっかけとなったのは「尖閣諸島の国有化」だったことを覚えている人はどれだけいるだろう。

そうなのだ、日本人の脳裏にはあの「暴力的な反日デモ」はまだしっかりと記憶されているはずだ。だが、それがなぜ、どんなふうに起こったのか、については、たぶんほとんどの人がもう意識しなくなっている。言われてみれば…程度になっている。

時代というのは、そういうものなのかもしれない。そういう意味で5年というのは短いのか、長いのか。

だが、今号で取り上げたいのは、5年前のデモの話ではない。その5年後の同じ9月に起きた出来事についてである。

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