タイトルに「異形」。ここまで来ると、無知なんだか悪意なんだか:《アリババ経済圏、異形の膨張続く 6億人の情報収集》(日経新聞)

タイトルに「異形」を入れるだけでおどろおどろしさが増す。それを狙った、相変わらずの日経クソ記事。

データをかき集め米IT(情報技術)巨大企業を超える速度で成長するアリババだが、その繁栄は共産党一党支配と密接に絡み合う。

というなら、「民間企業」アリババが手にした個人情報が実際にどれくらい、どうやって共産党管理下の「政府」に渡されているのかを証明すべきでしょう。だが、ここにはその具体的記述はない。

残念ながら、それをきちんと調査して、証拠付きで記事にしたメディアは世界中でまだ一つもなく、「中国共産党下にある国なんだから企業はダダ漏れで手渡しているに違いない」という、おどろおどろしい妄想をふくらませることで読む人の不安をあおってるだけ。特に日本はサービスの恩恵に与っていないのであおりやすい。でも、これがビジネスシーンをその報道の対象にする「公共メディア」のやることなんだろうか?

日本の島からこういう記事を読むだけだと、そうやってすべてを吸い取られている中国人ユーザーたちはただの間抜けに映る。だが、彼らはバカでも間抜けでもない。社会全体がアリババなどのサービスによって発展し、便利になっているから使っている。その利便性は日本の社会を超えている。

その証拠に、中国で暮らしている日本人を含む外国人だってこうした記事を日常的に目にしながら使っている。便利だからだ。尋ねれば、「どう使われているかと聞かれたら不安だけど、でも便利だもん。自分は不都合被ったことないし」という答えが返ってくる。これは、日本でPayPayに群がった人と同じ感覚。

じゃあ聞くが、日経はPayPayブームに警鐘を鳴らしたか? 個人情報がまたいっぱい企業に流れましたよ、いいんですか?と読者に尋ねたか? あれは日本のソフトバンクがやってるからいいのか? 日本政府は「民主政府」だからソフトバンクが集めた個人情報を取り込むことはしないからいいのか?

だが、そのソフトバンクと孫さんはアリババに投資してて、その重役なんだがねぇ。

警鐘を鳴らすのは大事。でも、あっちの国を証拠もなしに妄想し、こっちの国では持ちつ持たれつでわっしょい、はおかしいでしょ? ネットの世界はつながってるんだよ?

※これを流したあとに、こんな記事がTwitterに流れてきたので貼っておく。


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