【病棟業務メイン】病院薬剤師の一日
今回は、新卒の時に働いた病院の一日の流れを思い出して書いていきたいと思います。そこの病院は薬剤師の病棟業務にかなり力を入れていました。病棟を担当する日の流れは以下のようになります。
8:45 ~ 始業、病棟へあがる【病棟業務】
12:00 ~ 昼休み
13:00 ~ 病棟へあがる【病棟業務】
16:30 ~ 薬局に戻ってくる、薬歴などの記録や次の日の病棟担当者への引継ぎ
17:15 ~ 記録や翌日の準備が終わり次第終了
シンプルに書くとこのような流れになるんですが、これじゃあ何やってるのかイメージがわかないと思うので、少し詳しくお話していきます。
まず、朝一からの病棟業務は、前日の薬剤師が帰ってから新たに処方された内服・点滴のセットをします。入院患者の状態が変化したり、術後の経過次第で輸液が変わったり、内服が新たに始まったり、夜間の内に緊急で入院してきた方への対応です。
もちろんすぐに投与を開始したいものや朝食後から服用開始したいものは、夜勤の看護師さんがすでに対応してくれていることが多いですが、1日複数回投与する抗生剤や輸液の残りの分は、薬剤師が病棟にあがってきた際に準備します。内服薬の昼・夕食後の分も同様です。
この時、ソルデムにKCLを入れたりなど混注の必要があるものは、病棟のクリーンベンチで混注します。もちろん配合変化後の安定性などを確認して、問題ないもののみです。
夜間に新たに出た処方への対処が終わると次は、緊急入院された方の持参薬の鑑別を行います。これは何かというと、どこの病院で何の薬をもらって服用しているか一つ一つ確認し、医師に報告して入院中も服用継続するかどうかの指示をもらうためです。入院の原因となった疾患や検査・手術などの目的によって服用を中止または術前何日前からは休薬などの対応が必要なためですね。
指示を貰えたら、その患者が自己管理できるのかそれともこちらで管理するのかによって、患者に持参薬を返却したり、薬局で預かって管理します。患者に返却する場合でも、わかりやすくするために1週間分ずつ一包化してお渡ししたりすることもあります。
薬局で預かる場合には、月曜日は3階の病棟、火曜日は4階の病棟といったように、決まった曜日に決まった病棟の患者の持参薬を1週間分一包化します。
その後は、入院患者の点滴や輸液、内服薬の処方がその日に切れる場合、明日以降は継続するかどうかの確認をそれぞれの主治医に行っていきます。診療科によりますが、病棟でカルテ回診を行うのでそこで確認したり、回診を行わない診療科は、病棟に主治医が来た際に確認したり、カルテに書かれているのをみて判断します。
採血の結果次第で継続か否かを決めるような薬(低Naに対するNaClや肝機能障害に対するネオミノファーゲン等)を使用している場合は、大抵の場合、採血の予定が入っているので、薬剤師もその結果を確認して、この人のNaClは継続かな・・・とか予想しておきます。
採血の結果次第で、継続か否かを決めるような薬を使用する場合は、薬剤師もその薬が始まった時点で、次の採血はいつ入っているか、抗生剤の場合なら必要な培養はとっているかなどを確認します(もちろん看護師さんも確認してくれています)。入っていないなら主治医に次の採血はいつにするか確認したり、誤嚥性肺炎の可能性があって抗生剤を使うなら喀痰培養をお願いするなどの対応をします。培養の結果が出たら、主治医に報告して抗生剤は今のまま継続か、それとも他の抗生剤に変えるかの確認も行います。
採血の話をしたのでついでに話すのですが、採血で肝機能障害、腎機能低下、貧血、脱水、低Na、低K、高Na、高K・・・など何らかの変化があった場合、それらを起こす可能性がある薬剤を使用している場合は、主治医に薬剤の使用を継続するか、変更するか、中止するか、それらの変化に対する薬は使用するかの確認を行います。ここで薬剤の中止や変更などの指示があった場合には、病棟にはその日の分の薬がセットせれているので、すぐに回収し、看護師さんと情報共有します。回収が遅れて、看護師さんも中止となったことを知らず、投与をしてしまったとなることを避けるためですね。
話を戻しますが、このようにいろいろと主治医に確認することがあるので午前中は割とバタバタします。主治医も手術の予定があったり、外来があったり、患者家族とのICがあったりと常に病棟にいるわけではないので、主治医が来たタイミングを逃さないのが重要です。
こういった業務をこなしつつ、退院患者への薬の説明も行います。退院時処方は、基本的に前日までには確認して調剤しておきます。持参薬を薬局で預かっている場合は、退院後も問題なく服用できるようわかりやすい形にまとめてお返しします。持参薬の中で中止していた薬があった場合は、退院後は再開するかの確認ももちろん行っておきます。
看護師さんに〇〇さん退院するので薬をお願いしますと呼ばれたら、退院時処方・持参薬を持って患者を訪問し、これは入院して新たに始まった薬、これは持参薬、これは持参薬の中で中止したものなので今後も飲まないように・・・など説明して終了です。
大体、午前の病棟業務はこのような業務を行っています。あまり書くことがないかなと思ったんですが、詳しく書いていたら意外と長くなったので、ここで一旦終わりにしようと思います。午後の病棟業務についてはまた別の記事に書きます。
医療系ではない方はもちろん、薬学生も病院薬剤師が実際何をしているかイメージつかない方も多いと思います。これを読んで自分の進路を決める参考になればと思います。また質問・リクエストなどはX(wanwandog33x)で受け付けていますので、気軽にDMを頂ければと思います。ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。
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