聞言師の出立 第1話
空は暗い。
薄暮の光も星もない。
身体は動かず、頬に冷たい滴が落ちてくる。
脇腹を押さえる手には、ずくりずくりと生温かいものが流れている。
寒い。
誰かが叫び、駆け寄ってくる音がする。
身体を抱えられるが、己から力が零れだしてゆくのが分かる。
目も利かなくなっていくのは、空がますます暗くなっているからか、それとも——
——ここで死ぬのだろうか。
そのとき、闇を切り裂いて、何かが輝いたような気がした。
第1話 → 第2話 (1-1)
空は暗い。
薄暮の光も星もない。
身体は動かず、頬に冷たい滴が落ちてくる。
脇腹を押さえる手には、ずくりずくりと生温かいものが流れている。
寒い。
誰かが叫び、駆け寄ってくる音がする。
身体を抱えられるが、己から力が零れだしてゆくのが分かる。
目も利かなくなっていくのは、空がますます暗くなっているからか、それとも——
——ここで死ぬのだろうか。
そのとき、闇を切り裂いて、何かが輝いたような気がした。
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