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短詩詰め

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短詩を適当にホイホイ投げ込んでます。
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2019年5月の記事一覧

無彩色

そこは無彩色の世界。
その片隅で私は茫然と立ち尽くしている。
私は1人では踊れないからただ見ているだけだから、ヒロインになんてなれない。
世界の中心に立ち止まった、少女たちは誰もが誰かに見初められて、手を引かれて踊り出す。
勇気を出して踏み出し、残り少しの一歩を誰かに導かれただけなのに何かが変わるのだろう。
少女たちの顔はどこか輝いて、目の奥には有彩色の世界が広がっている。

私にもいつかあの世界

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ひとりぼっちの新生活

「おはようございます。」
そんな些細な挨拶なのに、どうしてこんなにさびしくなるんだろう。
「おはよう」って言えば、「おはよう」って帰って来た日々を懐かしく感じる。
「さようなら」楽しみだったまた明日も、
「お先に失礼します」に変わって、明日が来なければいいと思う。
「ただいま」と家についても、そこはしんと静まり返っていて、
ここはあの頃とは別世界であると思い知らされる。
「いただきます」と一人で食

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「仕事は楽しいですか」

電車に乗って、代わり映えのない日々をすごしている。
毎日同じ場所に行って、同じようなことをして。
毎日が輝いていた、あの頃とそれは変わらないはずなのに。
挨拶代わりに帰ってくる、キーボードの音に、心も、夢も、希望も、枯れ果ててしまった。
 
「仕事は楽しいですか」
私を知らない誰かが、今日もまた私を傷つける。