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米津玄師TOUR JUNK愛知1日目
⚠️セトリ、演出、MCネタバレです⚠️
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会場が暗転し、暗闇と静寂のなかで大きな雷鳴が響く。
赤い稲妻が走り、『RED OUT』が始まることを確信した。
静かに歩きながら米津玄師が現れ、さらに低音でのベースリフが始まった。感情が一気に高まる。
1.『RED OUT』
衣装はMVで着用していたものとよく似た白色セットアップ。時折、真っ赤な照明が米津さんの全身を赤く染める。マイクスタンドに長い両手をひっかけ、気怠そうに歌う姿がエモーショナルだ。
“消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!!“喉が潰れるようながなり声に圧倒され、祈るように見入る。
“痛覚を開いて今全霊で走っていけ 万感の思いでファンファーレまであとジャスト八小節“
ツアーJUNKの始まりに相応しい序曲。
客席から大きな拍手が湧き上がった。
2.『感電』
威勢の良いファンファーレ。舞台が一気に明るくなり、ダンサーさんも軽快に踊る。
「愛知ぃぃぃーっっっっ!!!」
米津さんのテンション高い叫び声に応えるかのように、客席からも声が上がる。さらに舞台左右に設置されている大画面に米津さんが初めて映り、客席から黄色声が上がった。
“お前はどうしたい 返事は要らない“
鋭い目でモニターをぐっと見つめ、問いかけるように手を差し出す。ここ、目力が強すぎて心臓に稲妻が走った。
3.『マルゲリータ』
紫と青い照明のなか、倦怠感をまといつつも洒落た雰囲気で歌う。時折、ふぉっ!と高い声を出したり、悪戯な顔で笑いかけるものだから、クラっとしてきた。
“XO XO“の箇所になると、その白く長い両手で包み込んだマイクを、そっと客席に向けてきた。同時に顔をちょっと傾ける姿がまた可憐で可愛いから見惚れてしまい、そこから先は闇のなか…。
マイク、あれは悪戯に突き付けられた刃物だったのか…。
MC①
「どーも米津玄師ぃぃたっっ!!!」(語尾不明のテンション)「あいちぃぃっっー!来たかったよ!!どーも元気かい?」「愛知と呼ぶか名古屋と呼ぶか…微妙なラインだよね…フッフッフッ笑…あーなんか嫌な話しかもしれんねフッフッ笑…」「まぁ…最後までよろしくー!!!」
(切り替え速い)
4.『アイネクライネ』
米津さんのライブのなかで、一番見応えがあると個人的に思っている。俯いてギターを弾きながら、感情がどんどん入り込み、髪を振り乱す姿を祈るように見守る。まるで泣いているかのようなギターの音。切なさが伝わってくる。
5.『LADY』
スクリーンが爽やかなブルーと白に変わる。ピアノリフはしっとりしたジャズ風のアレンジだが、次第に音源と同じ軽快なメロディに変わる。合わせて米津さんが長い腕を水平に広げ、花道を歩き始めた。白線をなぞる足元がスクリーンに映る。
サビになると右手をポケットに突っ込み、ジャンパーの裾が歌に合わせて上下左右にひらひらぱたぱた動き出した。パペット人形を激しく扱ってるみたいに。
“ぼくらのストーリーライン”で客席のひとりひとりをにこやかに見渡していた。天使。
6.『Azalea』
LADYの軽快なピアノリフから流れるように、Azaleaのしっとりとした前奏に移行した。青、白、紫色の花がスクリーンに映し出される。
“せーので黙って何もしないでいてみない?”と米津さんが歌うものだから時が止まってしまった(初めての生Azaleaに没入しすぎて記憶が無くなっていた)。
7.『ゆめうつつ』
舞台の上で大きな白い布がふわりと揺めきながら泳いでいる(CGのようにも見える)。優しい浮遊感のある演出。時折、ジャンパーの裾をギュッと握りしめ、祈りを込めるように歌う。“君が安らかな夢の中 眠り続けられますように”の君で、客席ひとりひとりを指差し、“また明日”でバイバイと手を振る。ひとりひとりに届けるような歌い方だった。
8.『さよーならまたいつか!』
『ゆめうつつ』の“また明日”の流れで『さよーならまたいつか!』。右手を腰にあてながら歌い、時折笑顔を見せる。“空に唾を吐く”はがなり声で、“さよーならまたいつか!”は艶やかな高音で。声帯を変幻自在に操っていた。
“貫け狙い定め”あたりからいつの間にか花びら(紙製)が落ちてきた。
最後の“さよーならまたいつか!”でちょっとタイミングを置いてから、悪戯な笑顔で横ピース。
ぎゃーという声(私)が大きな拍手でかき消された。
MC②
「ありがとぉぉぉー!!!米津玄師ですアハァァッッ!!」
「あちーっっ!!まだ花びら降ってるねぇ」「元気してた?名古屋駅ーまた来たなぁ」「最近わたくし名古屋にお世話になってましてね、紅白歌合戦の中継ね、あとメダリストの舞台ですよね」「不思議なことに立て続いててすごく縁があるなと(ニコっと笑う)」
「今日という日は大事だけれど 忘れてしまうかもしれないけど でもこの先 遠い未来で振り返ったときに 意味のあるような そんな一日になればと思います」
9.『地球儀』
バグパイプの音。スクリーには月日の移ろいと共に、木と少年が成長する様子が描かれていた。
“僕が愛したあの人は 誰も知らないところへ行った”の
“誰も知らない”という部分が、そっと背中を撫でるような優しく柔らかく丁寧な歌い方だった。
“ひとつ寂しさを抱え 僕は道を曲がる” という歌詞が個人的に大好きだ。大切なものを失いながらも進み続ける、米津さんの強さを感じる。
10.『POST HUMAN』
照明で舞台が真っ赤に染まる。スタンドのマイクを両手で握りしめながら歌う。
この曲はAIをモチーフにしているが、人間自身の歌のようにも聴こえてくる。米津さんの影が壁に映っている。影すらも美しい。
しかし影は人間の形でも、心のなかは外から見てもわからない。「自分はロボットのようだ」と感じている人もいるかもしれないと思いながら聴いていた(私がそうだから)。歪んだ電子音のループと金具がぶつかるような冷たい音、掠れてざらついた歌声が、とても心地よかった。
11.『M八七』
青と緑の照明。スクリーンに映る車が、夜空に吸い込まれて行く。その先には銀河があるのだろうか。
『M八七』はウルトラマンの歌というよりは、私にとっては米津玄師の歌だ。“痛みを知るただひとりであれ” このフレーズを目の前で聴けることの幸せ。痛みを知り、強さを獲得してきた人の説得力。
12.『Lemon』
ダンサーさんひとりひとりが、黄色の光を灯した蝋燭(ランプ?)を持っていた。米津さんの手から放れて飛び立ったこの曲は、今はそれぞれの喪失感に寄り添いながら、この蝋燭のような光を心に灯しているだろう。
“受け止めきれないものと出会うたび 溢れて止まないのは涙だけ”の部分はメロディアレンジがあった。
13.『海の幽霊』
スクリーンには「海獣の子供」のアニメーションが流れていた。『Lemon』に続く喪失と別れの歌。
“離れ離れても ときめくもの 叫ぼう今は幸せと” などの高音が前回のライブの時よりも、太くて美しい歌声だった。米津さんは失いながらも、進化し続けながら生きている。
MC③
「どうも米津玄師です(目をぱちぱちぱちとする)」
「ちょっとポカリ飲ませてください」
(観客「愛してるよー!」)「え!?あーこちこそ…フッ」「これ!徳島名物ポカリ!ジョージアやってんのにいうことじゃねぇけど…フフフッ」「そんなかしこまった話しはしないよ」
「俺の声ってテンション低いよね…なんかやっぱ眠くなるよね…俺 ちっちゃく跳ねるように動いたり悲しんだりそういう人に憧れるよだよね…(急にいじけモード)」
「俺ずっと一番後ろだったから背の順もあいうえお順も誕生日順もずっと。だからこんなのんびりした人間なのかなーって。ア行の阿部くんがさー………ってなんか令和の漫才みたいになってきたなフッフッフッ」
「紅白歌合戦見ました?工場?じゃねぇわ資料館でやらしてもらったんだけど、31日の夕方に咳が止まんなくなって…いやそんなはずねぇ!筋トレして食べ物管理してんのにそんなはずねぇ!!って。そして寝て起きたら39℃で。ライブまで1週間強しかなくて 嘘だろ!?て…死ぬ気で治してなんとかなった…危なかったー!!!」
「初めての紅白では向かってる飛行機ん中がなんか寒いな…冷房つけてるのかなって…これがいわゆる悪寒ですよ!そんなわけねーよなぁー明日紅白でるしなぁー!ってフッフッフッ」「“紅白出ると高熱が出る”ってジンクスなんですよフッフッフッ」
「ジンクスといえば、今回2サビでマイクを離して一音飛んで…♪だれかと〜♪の“れ”が。服の袖が指先隠れるくらいの長さで、下ろして構えたら、ゔぇぇぃーってなって(引っかかって)一音飛んじゃって…」
「あとLemonの時も、衣装に金具がちゃらちゃら付いていて本番にここ(袖)の金具とここ(服)の金具ががっちゃんこして…右手に拘束物付けながら歌うっていう…落ち込みながらやってました…フフフッ…まぁ後から聞いたら意外に好評だったとか…よかったなって…フッフッフッ」
「次3回目があればいつかわかんないけど、“高熱と袖”にみんな注目してね!」
「こういう話ししたかったんですよフッフッフッ(後ろ向いて笑う)いい具合に繋げたかったけど無理!!そのままいい!?じゃあよろしく!!」
14.『とまれみよ』
“なぁ今じょれくらーい”の“じょれ”を生で聴けた(幸)。
“無事に帰れると思うなよ”でカメラをぐっと睨む。目力強すぎてロキソニンも効かないくらいの頭痛。
“はい さよなら描いてた未来”の“はーい”の部分でまさかのコール&レスポンス。マイク持ち手をぶらぶら〜っと客席に向けてくれたが、急すぎて間に合わない。右手をジャンパーのポケットに突っ込みながら歌うが、手をパタパタ動かしすぎて右肩ガバー!!!っっとなっていた。
無事に帰れない。
15.Flamingo
花道を歩きながらにこっと笑う。無事に帰れない確定。
フラフラ歩くというよりは、マイク片手にふわふわと歩いていた。“氷雨に打たれて鼻垂らし〜”は、腕を組みながら演歌歌手も脱帽のこぶしを利かせるような歌い方。最後のベースリフで、首を左右に動かす姿が人間技ではなかった。
16.毎日
エンジン、足音、踏切、サイレン、クラクション。都会の雑踏音がして、“ダーン”というピアノと同時に、ソファに身を任せて座る米津さんにライトがあたる。
スクリーンには米津さんが描いたであろう“とんがりくん”と、“EVERYDAY BOKU Joly Fight Today GRORY NOT THING” などの文字が描かれ、十字架やコップ、星、電車などの可愛らしいイラストも散りばめられていた。
「毎日毎日の努力の上でしか自分の地獄を救うことができない 破れかぶれの開き直り」とインタビューで言っていたが、このイラストや文字ひとつひとつが米津さんの努力なのだと改めて感動だった。
17.LOSER
前奏で「イヤッハー!!!」と叫び、客席から歓声があがる。舞台全体が真っ赤な照明で染まる。
“長い前髪で前が見えねぇ”で自分の手で前髪をぐしゃぐしゃーとして顔を覆い、“愛されたいならそう言おうぜ〜”でカメラに顔を近づけて悪戯に笑う。舞台後方に建てられた鉄塔を登り、最後はてっぺんで歌い終わった。
この愛知公演後は、ドームのてっぺんから見下ろすのだ。米津さんの遠吠えを聴いたら泣くかもしれない。
18.KICK BACK
ベースリフに合わせて頭をぶんぶん縦に振る。“努力未来BEAUTIFUL STAR”で観客が手を高く上げる。
荒々しくザラついた声、にやりと怪しげな笑み。自撮りの顔が晴々としている。最後の“なんかすごいいいかんじ”は “超超超超いいかんじー!!!”にアレンジされ、大きな歓声と拍手で終わった。
19.ピースサイン
何度も言っているが、人間エッフェル塔。長い脚を開いて長い腕を頭上に掲げ、長い指でピースサイン。会場のいちばん後ろの端からでもくっきりその姿が見える。自分も同じようにピースサインを掲げた。ギターをジャカジャカ掻き鳴らす姿に、米津さんて歌えるだけじゃなくギターも弾けるんだよな…と改めて感動。
20.ドーナツホール
スクリーンには「MVドーナツホール2024」のアニメーションが流れ、ギターを弾きながら米津さんが歌う。
“ドーナツの穴みたいにさ 穴を穴だけ切り取れないように あなたが本当にあること 決して証明できはしないんだな”
ドーナツの穴は「失われたもの」なのか、もしくは最初から穴のある「壊れているもの」なのか。
ドーナツってここではJUNK品なのかもしれない。
21.『がらくた』
照明が薄暗くなり静けさのなか、ひと雫の水滴が落ちる音がした。誰かの涙が落ちているのだろうか。
優しい米津さんの声で始まった『がらくた』。
たとえ大切な人を失ったとしても、自分の一部が失くなったり壊れたり誰かに奪われたとしても、“構わないから僕のそばで生きていてよ”と目を瞑って真剣な表情で歌う。
こんな救いの歌がこの世にあるだろうか。
ロボットみたいな、いや、ロボットよりポンコツな自分でも生きることを肯定してくれる。
「ありがとうございました、米津玄師でした」
大きく両手を広げて深々とお辞儀をした。
(突然のラストに衝撃…)
アンコール1.『BOW AND ARROW』
ニコニコしながら“うんうんうんうん”と頷くようにイントロのリズムをとる(ご機嫌かわい)。シルバーや青色の照明。“行け行け〜”で観客の手拍子が入る。
最後は長い人差し指を上に掲げていた。
アンコール2.『Plazma』
青い照明がキラキラ輝き、舞台を照らす。ハチ時代を彷彿させる電子音と疾走感のある前奏。
「もしもあの時米津玄師の声を聴いていなければ この煌めきも高鳴りも知らずにいただろう」
もしも、もしも、もしも…。
米津さんと出会った刹那、世界が色付いて見えたことを今でも思い出す。
アンコール3.『LOST CORNER』
アルバムジャケットの背景デザインが施されたイエローの車に乗りながら登場。米津さんの晴れやかな表情と、カラッとした軽快なサウンド。“探しに行こうぜ マイフレンド 海が見えるカーブの向こうへ”と観客をドライブへと誘う。
もうすぐライブが終わるという寂しさに蓋をし、米津さんの歌に集中した。米津さんの笑顔を見ると、最後まで全力で楽しみたいと思えた。
途中、車のバンカーに長い脚を使ってポンっと飛び乗り、その上で歌う(筋トレの成果!驚!)。
最後には車からぬいぐるみの猫ちゃん(ベージュ)を掴み取り、客席にポンっと投げた。誰かがキャッチしたのだろう。その人を指してニヤリと笑いながら、うんうんと頷いていた。
「ありがとうございました米津玄師でした」
長い両手を大きく広げ、深くお辞儀をした。
エンドロール.『おはよう』
舞台が暗転し、スクリーンにスタッフやダンサーさんの名前が流れる。最後の“米津玄師”の文字に、観客が盛大な拍手を送り、ライブが終わった。
このツアーのイメージキャラクター、がらくたくんロボットが歌っているのだろうか。少しひんやりとした寂しげな電子音。でもどこか、温かさと優しさのある可愛いらしいメロディだった。
私達はこのがらくたくんロボットのように、“ただのJUNK品” だ。生きてるうちに傷が付き、どこか擦り減り、壊れかけた欠陥品。だからこそ、自分を破壊するものに怯え、“消えろ消えろ”と強く叫ぶ。
けれども米津さんはこのライブで、消えないものがあることをずっと歌い続けてくれた。“なあきっと消えないぜ 目に映るもの全て 煌めく愛も嘘も傷も全て”と。
壊れていても生きる価値がなくなるわけではないと。
ところで、銀テがどの曲のどの部分で飛んだのか、一切記憶もなければ、メモもしていなかった。
遠くでキラキラと輝きながら落ちていく光景だけはしっかりと覚えているのだから、“まあ それはそれで”!!