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免疫の仕組み その8 〜粘膜ワクチン〜

今回はコロナウイルスにも有効ではないかと考えられる次世代ワクチンを紹介します。

「粘膜ワクチン」
現行ワクチンのほとんどが皮下注射・筋肉注射により投与されます。しかし、本来の疾患としての病原体感染は気道や腸管を代表とした粘膜を経由して起こるものが多いという事が分かっています。こうした粘膜をターゲットとしてワクチン投与を行い、予防効果の向上を目指そうとしているものを粘膜ワクチンと呼びます。現在、経口・経鼻・経膣・経肛門・舌下ワクチンなどが研究されています。粘膜ワクチンの利点は大きく2つあります。1つは生理的な経路に投与することにより、粘膜防御を行うIgAを誘導して体内へ侵入する以前での病原体排除を期待できることです。もう一つは針を用いないということは痛みを伴わない利点があるだけでなく、特に発展途上国での使用やコロナなどの緊急事態での使用において大きな意味を持ちます。当然のように用いられている使い捨て型の注射筒や注射針は物質の供給が限られた地域では入手が難しく、また注射を取り扱える医療従事者の不足の問題もあり、ワクチンを広く行き渡らせることが困難です。また、注射針の使い回しによるHIVや肝炎ウイルスの感染問題、医療用廃棄物処理の問題もあります。針を用いない粘膜ワクチンはこれらの問題を同時に解決することが可能です。

IgA・・・「IgA(Immunoglobulin A;免疫グロブリンA)」とは抗体の一種で、体内ではIgGに次いで2番目に多い抗体です。特に、眼・鼻・喉や消化管などの外界と接する粘膜組織において、粘膜表面に分泌される二量体IgAのことを「分泌型IgA」と呼びます。


参考文献:熊ノ郷淳,「免疫ペディア」,株式会社 羊土社,(2017).

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