映画「レナードの朝」続き
この映画、私はほとほと切ない映画だと思うんです。
ずっと目覚める事ができなかった人が目覚め、今まで出来なかった事を、罹患する前のようにやろうとします。
この映画の描かれ方を見ると、しばらくしてレナードが明らかにおかしくなった様子を目の当たりにした他の患者達が「自分もああなるの?」と恐怖します。
このシーン、各他の患者が目覚めるまでそれぞれどんな時間を過ごしていたかが分かります。
それぞれ感じ方は違うにしろ、自分は大変な病気でずっと動けなかった。でも目覚めて、この先は??!という、普段健康に暮らす人からは想像できない思いですね。
主人公がどんなに頑張っても、患者さん達の心に届かない壁を表しています。
その中の一人、ルーシーは主人公に「私をここから連れ出して」と言います。ルーシーは早く退院したくてそう言ったのではありません。急に目が覚め、その喜びと、どこかに大きな不安を隠せないのでしょう。
この病棟の一人一人をよく見ると、凄く切ないですね。
私の周りでこの映画を観た一人が、「いっそのこと目覚めなきゃ良かったのに。そうしたらレナードのお母さんも最後まで彼を看病して、後は病気に託して逝けるのに。目覚めたせいで2回も失望した」と言ってました。
ホントそうなんですが、彼は目覚めた時に恋もして、お母さんに「ママは着いてこなくていいよー」と成長を見せます。
私としては、お母さんの中ではママママ言っていた幼い少年ではなく、もう自分の人生を生きる人間になったのを見届けたのですから、たとえまた元通りの寝たきりになって看病を続けても、お母さんを引き止めるものはなくり、これで良かったんじゃないかな?って思いました。
長々とすみません(^^)