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『下級国民A』赤松利市を読んだ感想

白タクの一斉摘発で逮捕されたのは高齢者ばかりだった。
池袋で母子を轢き殺した。”上級国民”とやらは逮捕されなかった。
無謀運転に至った理由は、フレンチレストランの予約に遅れそうだったからだということではないか。
池袋の加害者が”上級国民”というのであれば、当時の私は、紛れもなく”下級国民”だった。

本書p68

本書は、住所不定無職でデビューした大藪賞作家が描く、どす黒エッセイ。と本の帯に書かれてあり、普通に生きてるわれわれが見ることも、知ることもなく一生を終える筆者の体験をリアルに表している内容だった。

中でも、印象に残った場面は、「仙台市/土木作業員宿舎」(p129)の終わりに書かれている内容だ。ここでは、令和元年(2019年)の後半、世間を震撼させた「桜を見る会問題」で、当時の官僚らに対し、正義はないのか、矜持はないのか、などといくら罵られようが、それ以前に、彼らにも守るべき家庭があるのだ。それを人質に取られているのだ。という状況説明のあとに続く

踏まれても耐えるしかない、傷つきながらも、孤独を噛み締めるしかないのだ。正論を振りかざして、責めるべき相手を間違っていないだろうか。

p129

私は、この文を読み、当時の官僚ら(東大や京大などのエリート)の気持ちも理解に努めたいと感じた。誰が、この国の体たらくや首相の体裁を守るために人生の殆どを学問に費やし、自分の好きな時間や家族との時間を犠牲にしたいと思えるのだろうか。
誤解を与えないよう伝えておくが、決して、特定の首相や政治団体を非難する意図は毛頭ない。

ただ、

来週、27日には、日本の未来を決める選挙がある。

23歳の今日、この国の行く末を悲観など私はしたくない。

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