今年の茶の分析
なんだかんだとお茶が終わってからバタバタとしておりました。
遅ればせながら今年の茶の総評を綴って行きたいと思います。
まずは叶迫茶山
ちょうど昨年より1週間程早い4/27日の収穫でした。
芽の出具合も昨年より良く収量も上がるかと思いきやほぼ同じぐらいでした。
「おまえっとこはほんとに摘んだとか?もういっぺん摘めるごとしとるぞ」
と言われるぐらいミル芽(芽の部分を重点的に)で贅沢に摘んだのが原因です。
荒茶(仕上げ前)の時点からすでに"峠"の茶と比べ味わいが深く期待通りでした。
"煎茶叶迫 KANEZAKO"
"日当たりの悪い茶山"という事でもう少し荒っぽいどしっとした味わいを想定していましたが、かなりミル芽で摘採した事もあり甘味、旨味もしっかりと感じながらどしっとした深み、余韻も感じます。日当たりの良い"峠"の茶と比べるとやはり悪条件の中芽吹いた力強さのようなものを感じます。オススメの飲み方は80℃-90℃のお湯100ccに茶葉3-4g、45秒から1分程抽出してお飲み下さい。
煎茶"峠-TOGE-"
峠の煎茶は先述したとおり日当たりが良く風がよく抜ける鰐八の山の頂上に点在する茶山です。
思ったよりもこの"峠"の煎茶の甘い風味と広がりが良く叶迫の茶山を推していきたい私でしたが、ついつい"飲みやすいもの""香りが良いもの"などと言われると迷わず峠の煎茶をオススメしてしまう始末です。
困った事に、、。
昨年から摘採を始めた茶山でしたが、昨年はかぶせ茶を作りましたので、はじめて同じ条件で叶迫の茶山と峠の茶山を煎茶で比較できたのですが、思ったよりも違いが明確にでて、それも
峠 "日当たりが良く風が抜ける"
叶迫 "四方森に囲まれており朝日が遅い"
というイメージをしっかりと彷彿させる味わいの違いがでました。
面白いことに、、。
オススメの飲み方は
茶葉4g
100ml
70-80℃
45秒〜1分
【萎凋煎茶】
さて今年初の試みの萎凋煎茶。 萎凋煎茶の説明は以前のネタで紹介しているのでこちらをご参考に。
求めていた萎凋香なるものが自分のお茶からした時は感動しました。
叶迫の茶山の葉を使ったので香りがしっかり立っているベースにはしっかりと旨味が支えているので通常の茶葉と同じ条件で抽出しても香りから旨味までのグラデーションは楽しんでもらえるかと思います。
しかしやはり"萎凋"の世界もどうやら深く危ない世界のようで、萎凋で大切なのは"時間"では無く"香り"ですのでどれぐらいの時間萎凋したかという事では無く、葉っぱの葉脈を見たり、香りの変わり目を見たりして日干萎凋と日陰萎凋などの切り替わりの精度を上げる事でさらに魅惑の香りへと進化するそうです。。。
沼です。。
オススメの抽出は
茶葉 3g
湯量 130cc
湯温 85℃〜90℃ (湯冷まし一回通し)
時間 2分(香りと旨味) 20-30秒(香り、スッキリ)
2分の抽出での淹れ方は"香り"と"旨味"がグラデーションでは無くしっかりと分かれますのでより八女鰐八の萎凋煎茶という感じがします。
オススメです。
さて今年は全体的に狙い通りに出来て、茶作り3年目にして一年目に見えた"自分だったらこう作る"がかなりの精度で再現されたと思います。
120kgラインから60kgラインを試したりも出来て
我ながら狙い通りの味わいになったと思っております。
しかしすでにその間に様々なお茶に会い、作り手に会い、目指すお茶の幅はすでに増幅しております。
在来の種集めからの種まき、、
山茶の手摘みの釜炒り、、
萎凋のさらなる精度、、
叶迫、峠のさらなる差別化、、
今年から叶追は無施肥、男の味わい。
峠は自家製肥料、旨味信仰の拠り所。
と生育にも思い切って変化を付けていくので味わいにさらに違いが出ると思います。
まだまだキリがないですが追い求めるものがある事は幸せな事ですね。
また来年もご期待ください。