最近のお気に入りとかニュースとか。(テッド・チャン『あなたの人生の物語』、FVCの株主提案の件、『スイス・アーミー・マン』)
6月になったら暇になるかと思ったら全然ならない。やたらと時間が足りないので、最近触れて面白かったものを少々。以下のほかで言うと、ザ・ボーイズのシーズン3は今のところ面白い気がする。
■ テッド・チャン『あなたの人生の物語』がセールで207円
表題作は映画『メッセージ』の原作。異星人との交流を通じて、異なる言語を理解していくうちに、異なる時間の概念を体感していくというSF作品。他、ネビュラ賞を受賞したデビュー作、天(その世界には天井があるらしい)まで届く塔を建設する物語「バビロンの塔」など8作を収録した短編集。200円は安いのでマストバイ。自分はたまたまセール前に買ってしまったので、みんなかたきをとって欲しい。
収録作は、全体的に、ストーリーがどうこうというより、異なる世界の情感を味わうようなもの。センス・オブ・ワンダー的なものを楽しむ作品。わかろうとするとさっぱりわからないと思うので、読み方には注意したい。
ちなみに、映画『メッセージ』は、作品の趣旨は損なわないままに、多少エンタメ成分多めの脚本となっており、これはこれでおすすめ。・・・なんだけど、プライム特典からは外れてしまった模様。
■ FVC異例の株主提案可決、ラクオリアに続いて?
先日、フューチャーベンチャーキャピタルの株主総会において、現経営陣でもない、個人アクティビストが勝利。株主提案を行ったのは、個人株主の金氏。同氏は、自身が代表であるマンティス・アクティビスト投資1号株式会社と合わせて、2.5%ほどの株式しか保有していなかったにも関わらず、プロキシに勝ったと話題に。
昨年のラクオリアの一件から1年。単純な持ち株数だけではない経営権争いは今後もスタンダードになっていくのだろうか。
本件においては、金氏が筆頭株主をはじめとする他の株主に働きかけることによって、票集めに成功したようだ。見ていると、Yahoo掲示板等で他の株主と交流しながら、全国行脚して個別に面談をしていく、という活動を行っていた模様。youtubeでも発信していたが、Viewはかなりすくなかったので、功を奏したかどうかは不明。でも、方向性としては十分ありそうよね。
もちろん、FVCがベンチャーキャピタルを名乗っておきながらローリスク・ローリターンの謎な方向に向かっていたとか、そういう株主の不満という土壌があったことを忘れてはいけないだろう。ただ、経営にタラレバはつきもの。何とでもいえてしまいそうなところはなくはない。
大口の株主がいない企業では、なんとかかんとか定足数を確保しているようなところもある。多くの上場会社の役員選任議案の定足数である3分の1の過半数は17%。上場会社の経営権を確保するのに必要な議決権割合は、状況によっては思ったより少ないということは頭に入れておきたい。
株主提案権さえ確保しておけば、あとはネット等を通じて他の株主に働きかけて、経営権を奪取することができる時代が来ている。インフルエンサーアクティビストみたいなのが台頭してきてもおかしくない。いまのところ、狙い目は機関投資家比率が低くて大株主がいない企業。探せば案外あるんだよなあ。もともと影響力のある人なら半年も準備すれば十分だろう。
■ ダニエル・ラドクリフが十徳死体になる謎映画『スイス・アーミー・マン』
アマプラで、このイカした作品紹介を見て視聴。なかなかの怪作であった。
幼き日を魔法学校で過ごしたからか、ダニエル・ラドクリフ扮する謎の死体メニーは、ガスで異動したり、口から浄水を吹き出したり、硬直した手足で火をおこしたりと、「スイス・アーミー・ナイフ」ばりに多機能である。コンパスにもなるし、会話もできる。そんな、明らかに様子がおかしい死体と、なんでかよくわからないが、人生に敗れてそうな青年が、心を通わせながら、一緒に街に帰ることを目指す物語。
理解しようとしてもなんのことだか結局はわからないのだが、笑いあり、悲しみありの二人の珍道中(まあまあ下品)に心温まる・・・ような気がする。言葉ではうまくとられられないような情の世界をファンタジックに描いたような作品とでも言っておこう。難解と言えば難解だけどバカバカしい。
ぶっ飛んだものが好きな人はぜひどうぞ。