おれはIKEAがあつ森でカタログを再現することに可能性を感じ、「怪しさだけは保証する」ムー・ブランドの強力さを思い、東スポにはガセを極めて欲しいという気持ちになった。(ネットサーフィン記2020/8/23)
おれは最初フジロックの過去動画配信放送のことを完全にナメてたが、見たらめっちゃ楽しかったので、今は反省している。色々活動が制限されている人は厳しいだろうけど、来年、再来年に向けて今できること、今しかできないこと、で盛り上げて期待感を高めておくことは重要だよね。たぶん。
台湾のIKEA、森でカタログ
台湾のイケアが、2021年のインテリアカタログを『あつ森』内で再現。
『あつ森』では、米国ゲティ美術館が世界の名画をインポートできるツールを公開するなど、クリエイティブ要素には色々と期待が持たれるところ。
コミュニケーションも可能で、「マイデザイン」機能でクリエイティブも可能。そして世界で2000万本以上売れている。
任天堂が果たしてどこまで積極的にコラボとかに踏み出すのかはちょっとわからないが、ゲームをメディアと見たてた場合の可能性を十分感じさせる。今後はこういう使い方を想定したゲームみたいなものも増えてきそう。
まあでも、まず中身が面白くないとみんなやらんから、そこらへんうまくやれるかどうかだろうな。
ムーという比類なきブランド
言わずと知れた「世界の謎と不思議に挑戦するスーパーミステリーマガジン」ムー。何気に40年続いている歴史ある雑誌である。
そんなムーは、手広く色々なコラボを手掛ける印象があるが、ムーPLUSの記事にこう書かれていた。
「どこと組んでも何を作っても怪しさだけは保証するブランドとして手広く展開しています。」
これを読んで、やはり、戦略がしっかりしているとこは強いんだなと思った。ムーは、単にあやしい記事を作っている雑誌なのではなく、ムー的な「あやしさ」を様々な媒体に載せて提供するブランドなのだ。それはテキストであってもグッズであっても変わらない。我々は「あやしさ」を「ムー的なもの」として売るのだ、ということだろう。
確かに考えてみると、もっぱら「あやしさ」を扱っているクリエイティブ企業は少ない。そして「あやしさ」の需要は手堅くそこそこ見込める。例えば陰謀論的なものなど、ネットではなかなか盛況なわけなのだ。
しかし、企業としては、本当にヤバいやつとはコラボできない。しかし、「ムー」なら、「あやしさ」を提供しつつも、ほんとにヤバいことにはならないという、老舗ならではの信頼感も同時に提供できる。今更だが、ムーのブランドの強力さには驚くばかりである。
そんな、「あやしい業界」で言えば、90年代ごろは「東スポ」も相当強かったように思う。一時は「“ガセ”の東スポ」「日付以外は全部ガセ」と言われるほどのブランド力を誇っており、当時はさまざまな場面で「いい加減な情報」の代表として「東スポ」が引き合いに出されることが多かったように感じている。ロス疑惑の裁判では、「東スポの記事を信用する人間はいない」と主張して一審を勝ったこともある。(二審では負けた)
しかし、時は流れ、今となっては、何なら「東スポのほうがまとも」と言われるぐらい、マスメディアの信頼が揺らいでしまい、また、東スポもかつてのように、とことん娯楽性を追求するスタンスというわけではないように思われる。
仮に、2000年代以降も、おれたちは「ガセ」のリーディングカンパニーだ、として活動していたらどうだっただろうか、そんなことを思った。
虚構新聞みたいにウソしか書かないってわけでもなく、たまにはスクープもするし、ナゾのUMAの記事も書くし、みたいなバランスの難しさもある。適当なことを言いつつも、取材対象に徹底的に嫌われても困るし、読者にも愛されないといけない。微妙なかじ取りが要求される困難な仕事なのかもしれない。しかし、だからこそ、「東スポ的ガセネタ」というブランドを作り上げる余地があるようにも思う。