【映画感想】金の国水の国
なんとなく毎週日曜日は「養生の日」として一歩も外に出ずに過ごしたいと思ってきたけれど、今日だけは自分から母を誘って映画に行くことにした。
アニメ映画になった「金の国水の国」を観るためだ。
感想を書く前に原作のことも話しておきたい。
原作は小学館のフラワーコミックスから出ている、岩本ナオさんの全一冊のちょっと厚めの漫画だ。
漫画の方は最初はちょっとふざけた感じで始まるのだが、途中要所要所で泣かせてくる。この本を買ってから何度読み返したかわからないくらい読んだので買った時の価格(593円+税)の分は十分に元を取り切って既にただ同然だし、毎回毎回ページを開くたびに「わかりきっているのに感情がほとばしって泣く」という化け物のような作品だ。
なのに、わたしの周囲の一般認知度はそんなに高くなくて悔しかったり、でもちょっとだけ優越感に浸ったりしていたのだが、それがとうとうアニメ映画化されると聞いた時には嬉しさが0.5、不安の方が9割以上だった。
アニメ映画は、まぁ、実写に比べたら失敗は少ないだろう。
ただし、アニメ映画化がどこまで原作に寄せてくれるのか。
不安要素は多分にあったが、映画化されたならば一度観に行かねばなるまい。あーだこーだ言うのは、観た後だ。観もせず(つまり、財布にも自分の時間的にもダメージを受けず)にグダグダくだを巻くのだけは避けたい。
一人で観に行っても良いが、母が少し前に「何か映画を観に行きたい」と言っていたのを思い出し、前日に声を掛けて二人で観に行くことにした。ちなみに映画館までは息子に送ってもらった。一緒に映画を観せてもよかったが、他の商業施設に行きたかったようなのでそちらに行ってもらっていた。
さて、ここからはアニメ映画の感想に入ろう。
ブログの方ではネタバレの感想の前には十分な余白を用意しておくが、noteではすぐに感想に入らせていただく。ここから先は自己責任なので「ネタバレだと思ってなかった」などの苦情は一切受け付けない。これから熱く、暑苦しく語ろうとしている者の前で「やめてー!!」と騒ぎ立てるのは逆に迷惑行為なので切に切にご容赦願いたい。
では、早速。
まず、ハンカチよりもタオルを用意して映画館に行ってもらいたい。
原作ファンも原作未読であっても泣き所は多く、母が隣にいるので止めようと思っていたにもかかわらず涙がこぼれたので、これが一人で観に行っていたらきっと止められなかっただろうと思う。
心配していた主役の二人の声も全く気にはならず、特にナランバヤル役の賀来賢人さんは最早普通に「ナランバヤル」だったので原作ファンで「声が」「声優じゃない人の演技はちょっと」と思っている方は安心して映画館に足を運んでもらいたい。
原作との乖離箇所や改変部分については「国の名前」「両国の歴史的なところ」等(他にも細々)ありましたが、大筋での流れは変わらず。平坦な紙の上での表現を、動きと声を入れた表現にするためにはある意味必要な改変だったのではないかと思う。
原作ではグッとくるところが多すぎて、最初の方の「クズ男だったらたたききってやる」と震えながら刀を握っているばあや辺りから泣けるが(早すぎ)、王族用の動く箱から外を見た時のナランバヤルの感想とそれに目を細めるライララ、月夜の橋の上のシーン、「もう二度とお嬢さんは置いていかない」からのナランバヤルの独壇場シーン・・・からの二人のハッピーエンディング、サーラが族長との飲み対決を決意した理由、族長ご招待しての歴史的国交が結ばれるシーン、ルクマンとオドンチメグの手足で月日の流れを感じさせるシーン、そして建設中の水路の上に遠く見える二人の姿。
ほとんど泣いとるやないかーい!!というツッコミは、原作を読んでからにして欲しい。
そして同じところで泣けばいい。
アニメではエンドロールに嬉しい驚きがたくさん詰まっていた。
原作でも「そしてみんな幸せになりました」という終わりなのは伝わってきたが、A国もB国もみんなそれぞれ手を取り合って、時には酒を酌み交わしながら交流している様子が描かれていてとても良かった。
1月27日に公開されてから、もう、3週間目。
そろそろ上映回数も減ってくる。
こちらの地方都市ではすでに昼の上映の後は夜の上映しかなくなってしまっていた。
原作ファンも原作未読で賀来賢人さんか浜辺美波さんのファンの方も、皆、上映されているうちに一度映画館に行っておくことを強くお勧めする。
ジブリ映画ならともかく、いくら名作でも上映が終わってしまうと二度と映画館で観るチャンスはない。
後悔のないようにしておいて欲しい。
ナランバヤルとサーヤのように。
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