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夢くいバク
私の見る夢は いつも色がついている
見たことのない景色も
行ったことのない場所も
会ったことのない人も
すべてカラーだ
テレビを見ているような感覚が多いけれど
私もその場に登場していることも多い
同じ場所が
内容を変えて出てくることもある
あ、この場所はこの間夢に出てきたなと思うが
コントロールすることは出来ない
夢をコントロールすることが出来る人も
いるみたいなので とてもうらやましい
見たくないストーリーも
ハッピーなものに変えられるのだとしたら
コントロールしてみたい気がするが
眠りながら疲れてしまうのではないかとも思う
子どものころは 夢を見るのが大嫌いだった
一番嫌いだったのは
大木が何度も私の周りを囲むように現れる夢
木版画の荒削りをした時のような ごつごつした質感と
不穏なリズムで 何度も現れる映像は 恐怖さえ感じた
それから
青いじゃがいもを食べてしまう夢
思わず目が覚めたが
じゃがいもの味覚が残ったままで
とても気持ちが悪かった
夢を見ているはずなのに
手をつないだ感覚や
蹴られた感覚
ペットをだっこする感覚も
鮮明に感じることも多い
あまりにリアルなものだから
現実と夢との境界線が
薄いなと感じる時もある
実際に ついに見てしまったと感じたのは
ざしきわらし
夜中に目が覚めた時
子どもが かがんで こちらを見つめていた
赤い膝までの着物姿で
ショートカットの 整った可愛い顔をしていた
私は夢だろうと 目をとじた
そしてそのまま眠ってしまったので
何が夢だったのか 現実だったのか
判別が今もつけられないでいる
あまり良い夢を見ないものだから
夢に対する期待はなかったのだけれど
ある時
ものすごく素敵な夢を見た
もう一度見たいと思うほどの
幸福感のある夢
これだけ面白いのだから
朝目覚める時まで 覚えているだろうと
また眠った
これが間違いだった
全てを忘れてしまった
夢のかけらも憶えていない
どうしてメモしておかなかったのだろう
長いストーリーではあったことは
何となく感じていたが
内容を忘れてしまったのだから
なす術がない
あー もう
こんな事なら 常に枕元に
ペンと紙を置いておくべきだった
夢をバクに食べられてしまった気分
どうにか もう一度
あの夢を見ることは出来ないだろうか
そう思いながら もう一年以上が経過した
もしも見れたら
今度はメモしよう
そうだ 絵も描こう
絵本にしてみよう
今度はバクに負けない
食われたりするものかと
夢うつつの世界を楽しみにしている
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