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ハマスホイさんを訪ねて
9月の半分を旅して過ごしました。主な目的は北ドイツで音楽ユニットの相方さんと音楽をすること。でも久しぶりのヨーロッパ、せっかくだからもう一か国、飛行機が乗り継ぎやすいという理由で立ち寄ったコペンハーゲンで、素晴らしい画家を知ることになりました。ヴィルヘルム・ハマスホイです。
出発前、コペンハーゲンについて知らなすぎる私が、ネットの観光ガイド的な記事を読みあさっていた時、ふと目に留まり、瞬時に心奪われてしまった画像がハマスホイの絵でした。さらに彼を題材にした書籍を読み進め、コペンハーゲンの旅の目的を「ハマスホイさんを訪ねて」とすることにしました。
記念すべき私の「ファースト・ハマスホイさん」はニュ・カールスベア美術館の「ルーブル美術館の古代ギリシャのレリーフ」と「ロンドン・モンダギューストリート」でした。決して色鮮やかとは言えない色味ですが、角度を違えると、光を掴んで仄かな輝きを帯びました。
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次に訪れた美術館、デーヴィス・コレクションは閉館1時間前でした。私は受付の方に「ハマスホイの絵は何階にありますか?」と聞きたかったのに、焦って彼の名前が出てきません。
「えっと、彼の絵を見たいのです。名前がえっと・・・」
「ハマスホイね。2階よ」
「ありがとうございます!」
階段を一つ登ったのにハマスホイは現れません。守衛の方に「ここは何階ですか?」と尋ねると「1階だよ」。はい、ここは0階があるパターンですね。
1階を足早に2階に向かうと、辿り着いたのは「ハマスホイさんのお部屋」。「ハマスホイと言えば」と言える「部屋の絵」が「ハマスホイさんのお部屋」に沢山並んでいました。この閉館間際の美術館で、ハマスホイの絵が醸す静けさを一層感じた時間でした。
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次の日は朝からコペンハーゲン国立美術館を訪ねました。こちらも「ハマスホイさんのお部屋」がありましたが、人物画が多く並んでいました。どれも表情は少ないのですが、それがかえって自然で、ハマスホイとの親密さを感じます。
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そして今回の「ハマスホイさんを訪ねて」のメインイベントは、「ハマスホイさんのお宅訪問」です。なんと、ちょうど私が訪ねる数日前にnote先輩のSさんが、ハマスホイが暮らした家「ストランゲーゼ30番地」を訪ねていらっしゃいました。施錠されていて中に入れなかったけれど、隣の洋服店に「秘密の地下通路」があり、そこから中に入れるかも、という情報を下さっていたのです。
私は頭の中で「洋服屋さん、洋服屋さん」と口ずさみながら、ストランゲーゼ通りを進みました。足取りは少しスキップになっていたかもしれません。そして洋服屋さんを発見!いえいえ、お洋服を買いに来たのではありません。中に入り、失礼ながら単刀直入に、店員さんに伺いました。
「すみません。ハマスホイのお宅を探しているのですが」
「ここは28番地で、彼のお宅は30番地。隣なので行ってみて」
素敵な店員さんは左を指さしたので、左に向かいました。
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S先輩、にわかハマスホイファンより、現場からは以上です。
最後に、実はもう一か所、とても行きたかった場所がありました。ヒアシュプロング美術館です。こちらはハマスホイの絵が数点と、彼の使っていたパレットが所蔵されているのですが、ちょうどクローズ中。私がもう数日コペンハーゲンにいれば開館していたようでした。彼の色彩を象徴する様々な灰色が幾重にも重なるパレット。そのグレーのグラデーションを、近くで確かめてみたかった!だから私は、必ずまたコペンハーゲンを訪れることに決めました。その時の旅の目的は「ハマスホイさんのパレットを探して」です。