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夜に聴きたいジョビン

ボサノバはカフェで流れているから、昼に聴くイメージだろうか。でも実は夜に聴きたくなるようなしっとりした曲も沢山。特にジョビンには。

まずは「Inútil Paisagem」。この邦題がたまらなく好きだ。あなたが戻らないなら、見るものすべて「無意味な風景」。

Mas pra quê? Pra que tanto céu? Pra que tanto mar? Pra quê?
De que serve esta onda que quebra?
E o vento da tarde? De que serve a tarde? Inútil paisagem
なぜ?こんなに空は広いの?海は深いの?
砕け散る波が何の役に立つというの?
午後の風は?夕日は?無意味な風景

JOBIM ANTONIO CARLOS, DE OLIVEIRA ALOYSIO, OLIVEIRA LOUIS, Inútil Paisagem

続いて「Por Causa de Você」。邦題は「あなたのせいで」。でも歌詞を読むと「あなたのおかげで」というニュアンスもあるように思う。あなたのせいで、残された私は悲しみに暮れている。けれど、あなたのおかげで、楽しかった日々もここにはあった。現在と過去。今あるのは思い出。

A nossa casa querido, já estava acostumada guardando vocêAs flores na janela sorriam, cantavam por causa de você
私たちの家は あなたがいることが当たり前だったし
窓際の花たちは 微笑んだり歌ったりしていた あなたのおかげで

JOBIM ANTONIO CARLOS, DURAN DOLORES, Por Causa de Você

最後は「Ligia」。屈折した歌詞が、リジアという女性への真っ直ぐな想いを際立たせる。

E quando eu me apaixonei, não passou de ilusão, o seu nome rasguei
Fiz um samba canção das mentiras de amor que aprendí com você
É … Lígia Lígia
君に恋に落ちたなんて ただの幻想 だから君の名前は破り捨てた
サンバカンソンを作ったよ 君から学んだ愛の嘘を歌にして リジア

JOBIM ANTONIO CARLOS, Ligia


これらはジョビンの中でも、ボサノバというよりサンバカンソンに近い曲かもしれない。サンバカンソンとは、ボサノバより以前からあった、主に失恋を歌った歌謡曲の類。だからか、私はジョビンにはもの悲しさを感じるし、歌詞に太陽という言葉が出てきても、目に浮かぶのはなぜか、夜の海に光る月。

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