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夜に聴きたいジョビン
ボサノバはカフェで流れているから、昼に聴くイメージだろうか。でも実は夜に聴きたくなるようなしっとりした曲も沢山。特にジョビンには。
まずは「Inútil Paisagem」。この邦題がたまらなく好きだ。あなたが戻らないなら、見るものすべて「無意味な風景」。
Mas pra quê? Pra que tanto céu? Pra que tanto mar? Pra quê?
De que serve esta onda que quebra?
E o vento da tarde? De que serve a tarde? Inútil paisagem
なぜ?こんなに空は広いの?海は深いの?
砕け散る波が何の役に立つというの?
午後の風は?夕日は?無意味な風景
続いて「Por Causa de Você」。邦題は「あなたのせいで」。でも歌詞を読むと「あなたのおかげで」というニュアンスもあるように思う。あなたのせいで、残された私は悲しみに暮れている。けれど、あなたのおかげで、楽しかった日々もここにはあった。現在と過去。今あるのは思い出。
A nossa casa querido, já estava acostumada guardando vocêAs flores na janela sorriam, cantavam por causa de você
私たちの家は あなたがいることが当たり前だったし
窓際の花たちは 微笑んだり歌ったりしていた あなたのおかげで
最後は「Ligia」。屈折した歌詞が、リジアという女性への真っ直ぐな想いを際立たせる。
E quando eu me apaixonei, não passou de ilusão, o seu nome rasguei
Fiz um samba canção das mentiras de amor que aprendí com você
É … Lígia Lígia
君に恋に落ちたなんて ただの幻想 だから君の名前は破り捨てた
サンバカンソンを作ったよ 君から学んだ愛の嘘を歌にして リジア
これらはジョビンの中でも、ボサノバというよりサンバカンソンに近い曲かもしれない。サンバカンソンとは、ボサノバより以前からあった、主に失恋を歌った歌謡曲の類。だからか、私はジョビンにはもの悲しさを感じるし、歌詞に太陽という言葉が出てきても、目に浮かぶのはなぜか、夜の海に光る月。