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はじめに


「白か黒かはっきりさせたい!」そう思うことがあっても、現実の世界はなかなか白黒つけられるものではありません。物事には常に表と裏、両方の側面があり、一面だけでは語れない奥深さがあります。このことを遊びながら実感させてくれる身近なゲームがあるのをご存知でしょうか。そう、ボードゲームの「オセロ」です。

人間関係って、まるでオセロみたいなものだと思うんです。最初は白黒がはっきりしているように見えても、ひとたびコマをひっくり返せば、まったく違った世界が広がっていきます。表と裏、いい面と悪い面、正直と欺瞞。僕たちは意識的にも無意識的にも、さまざまな役割を使い分けて生きています。

今回の記事では、そんな「裏表」に焦点を当て、人間関係の中でどうやってそれを上手に扱うかについて掘り下げていこうと思います。
#オセロ

黒と白、ひっくり返るゲーム


誰もが一度は遊んだことがあるボードゲーム「オセロ」は、表裏が黒と白になった石を使い、相手の石を自分の色にひっくり返して陣地を増やしていくシンプルなルールで知られています。実はこのオセロ、日本生まれのゲームです。茨城県水戸市出身の長谷川五郎氏が中学時代に考案し、後にゲーム会社へ企画を持ち込んで1973年に製品化されました​。

「オセロ」はツクダ(現メガハウス)の登録商標であり、類似のゲームは一般に「リバーシ」と呼ばれています​。名前の由来もユニークで、シェイクスピアの四大悲劇の一つ『オセロ』にちなんでいます。

黒人の将軍と白人の妻が登場し、敵味方がめまぐるしく入れ替わる物語であることから、黒と白の石が次々にひっくり返るこのゲームにその名が付けられたのです​。ちなみに、このネーミングを提案したのは発明者の父で英文学者でもあった長谷川四郎氏だったそうです​。

さらに、長谷川氏はオセロの試作品の駒を牛乳瓶のフタで作ったそうです​。身近な廃材から生まれたゲームが、今や世界大会まで開かれるほど世界中で親しまれていると考えると、なんだか面白いものですね​。

オセロの醍醐味は、盤上の形勢が最後の最後までわからない点です。自分の石(色)が盤面を埋め尽くさんばかりに優勢でも、油断は禁物。終盤に一気に相手に形勢逆転されて負けてしまう…なんて展開はザラにあります。
実際、僕も子供の頃、兄と対戦して大量リードに舞い上がったものの、最終的に一枚残らず自分の石がひっくり返されて呆然とした記憶があります(オセロあるあるですね)。

大逆転を許してしまったときの悔しさは筆舌に尽くしがたいですが、逆に終盤で石をひっくり返して勝利をもぎ取ったときの快感もまた格別です。黒が白に、白が黒に。オセロでは状況が目まぐるしく変化します。この予測不能な逆転劇こそが、単純なルールながらオセロが奥深いゲームであるゆえんです。
#オセロあるある

表裏を持つ人


まず、人間は本当に多面性を持っている生き物だなと、僕は常々思っています。誰もが心の中で、自分の表面と裏面を使い分けて生きているんです。たとえば、職場での「上司」「部下」「同僚」としての自分、家庭での「父親」「母親」「子ども」としての自分。これらはすべて、その時々に最適な自分の顔を使い分けているに過ぎません。

たまに「この人は裏表があるな」と感じる瞬間がありますが、それが一概に悪いことだとは限らないんです。むしろ、そうした役割を使い分ける柔軟性が、人間関係においては大切だと思っています。

問題なのは、表と裏を使い分けるうちに、それが自分でも分からなくなってしまうことです。どの顔が「本当の自分」なのか、迷子になってしまう。そんなことがあると、見ている側も「何を考えているのか分からない」と感じることが増えて、信頼を失うことにつながります。

職場で、上司に対しては愛想よく丁寧なのに、部下には厳しく高圧的に接する人を見かけたことはないでしょうか。たとえば、社長の前では笑顔で「社長、いつもありがとうございます!」と媚びへつらう一方、いなくなった途端に豹変し、部下には「これ、なんでまだ終わってないの?君、やる気あるの?」と威圧的な口調で叱りつけるといった場面です​。

こうした「上にはゴマをすり、下には厳しく当たる」態度は一見すると権力を誇示しているようにも見えます。しかし、その裏にはどのような心理や職場環境の影響があるのでしょうか。

表面的には、部下に厳しく当たる行為は自分の立場の強さを誇示したい欲求から来ているように見えます。実際、このタイプの上司は「自分の方が偉いのだ」「部下は自分の機嫌をうかがうべきだ」という権威主義的な姿勢を持ち、肩書きや権力を盾に振る舞いがちです​。

部下を叱責したり萎縮させたりすることで、自分のほうが優位だと示そうとしているのでしょう。また、他人の成功を妬み「自分が常に優位に立っていたい」という強い欲求から、弱い立場の人を厳しく扱う面もあります​。

しかし一方で、そうした振る舞いの裏には個人の心理的要因が大きく影響している場合があります。彼らは内心では自分に自信がなく、「自分の実力や立場が脅かされているのではないか」という不安を常に抱えていることが多いのです​。

その不安に対する防衛反応として、上司には必死に媚びて自分の評価や地位を守ろうとします。上司に気に入られれば自分のミスが見逃され、昇進のチャンスも増えるかもしれない。そんな打算的な考えが根底にあるのです​。

裏を返せば、心のどこかで「自分は特別優秀なわけではない」と感じているため、上にへつらう戦術で補おうとしているとも言えます​。
#まさにオセロ

さらに、自尊心の低さや承認欲求もこの行動を助長します。自分に自信が持てないために他者からの評価に過度に依存し、特に権力を持つ上司から認められることが自己価値の拠り所になってしまっているからやっかいです。
#こじらせちゃってる

上司から褒められれば自分の存在意義を実感できますが、逆に自分より弱い立場の人に厳しく当たって「自分はまだ上だ」と確認することで、一時的な安心感を得ている面もあります。これは、自分の不安や劣等感を他人に転嫁するかのような心理と言えます。

また、職場環境や組織の文化もこのような態度に影響を与えることがあります。たとえば上下関係が厳しく上司絶対の風土では、部下に厳しく当たる管理職が黙認されたり、「上に従順であること」が評価に直結したりしがちです。その結果、上司に媚びてでも評価を得ようと考える人が出てきます​。

実際、「上にゴマをすり、下に厳しく当たる」行為は組織内の中間管理層でしばしば見られる現象であり、英語圏でも“Kiss up, kick down”と表現されることがあります​。これは自分より上にはへつらい、下には横暴になる行動パターンを指す言葉です。組織としてこのような振る舞いを放置したり、成果だけを重視して部下への接し方を問わなかったりすると、暗黙のうちにこの態度を助長してしまう恐れがあります。
#組織の風土も関係している

噛み付くべき相手


さて、「噛み付くべき相手」というのは、少し挑戦的に聞こえるかもしれませんが、僕はこれが非常に重要だと思っています。社会の中で人々は様々な立場に立ち、いろんな役割を担っています。僕が強調したいのは、立場が下の人に無駄に噛みつくのではなく、立場が上の人にしっかりと意見を言うことの重要性です。

どうして立場が上の人に噛みつくべきなのか?それは、まず立場が下の人に対して意見を言うことは、どうしてもパワーバランスが不公平になりがちだからです。パワーがある側が弱い側に強い態度を取ることは、どうしても不自然な感じがしてしまいます。もちろん、時には部下や後輩に厳しく接する必要もありますが、それが本当にその人のためになるのかどうかは別の話です。

逆に、立場が上の人に意見を言うことには大きな意味があります。上司や経営者は、組織を動かしている立場にあります。そのため、彼らに意見を言うことで、その人だけでなく、周囲の人々にも影響を与えることができる。意見が通れば、自分だけでなく、チーム全体の進化に繋がるんです。少し勇気がいりますが、それができるようになったとき、あなたの信頼性は格段に上がるはずです。

実際、僕も最初は上司に意見を言うことができず、ただ黙って聞いているだけのことが多かったんです。でも、ある時、仕事の進行や方向性についてどうしても納得できない点がありました。そのときに、思い切って意見を言ったんです。最初はすごく緊張しましたが、意外にもその意見が採用されて、結果的に良い方向に進みました。その経験から、「噛み付くべき相手」というのは、ただ立場の下の人ではなく、上に立つ人こそが本当の意味で変化を生み出す存在なんだと確信しました。
#噛み付くべき相手

ダブルフェイスの心理学


「ダブルフェイス」「二重人格」という言葉は、どこかネガティブな印象を持たれることが多いですが、実際には人間関係の中で非常に重要な心理的な側面を持っています。これを理解するためには、心理学の視点を少し取り入れてみると面白いです。

例えば、心理学者エリック・バーンの「交流分析」では、人間の行動を「親」「大人」「子ども」という3つの自我状態に分けて考えます。この考え方を使うと、僕たちがどんな場面でどの顔を見せるかは、無意識のうちに「親」「大人」「子ども」の自我状態を使い分けているということがわかります。

職場で厳しい上司が「親」の役割を果たし、部下として自分が「子ども」のように振る舞うことがあります。一方で、同じ上司がプライベートでは「大人」の面を見せてくれることもあります。このように、人は状況に応じて役割を使い分けるわけですが、もしその使い分けがうまくできないと、相手との関係に摩擦が生まれることになります。

また、ダブルフェイスという言葉は、時に「嘘をついている」「二重性格」とネガティブに捉えられることがありますが、実際にはこれも「適応力」の一種だと考えることができます。状況に応じて自分を変えることができる人は、強い適応力を持っていると言えるからです。ただし、その変化が過度に自己矛盾していると、周囲から信頼されなくなる危険性もあるので、そのバランスを取ることが求められます。
#朝礼暮改

まとめ


オセロのように、物事には常に表と裏、光と影、白と黒が存在します。人間関係においても、表向きの顔と内側の感情、立場による振る舞いの違いなど、多面的な側面を持つのは自然なことです。しかし、その使い方を誤ると、信頼を失い、人間関係が崩れてしまうこともあります。

上には従順で、下には厳しい人。そんな人を見かけると「ずるいな」と思うかもしれませんが、背景には不安や承認欲求、組織文化といったさまざまな要因が絡んでいることがわかります。権力を誇示するためなのか、それとも自己防衛のためなのか。その真意を見極めることが大切です。そして、僕たち自身も、知らず知らずのうちに「裏表」を使い分けていないか、振り返ってみる必要があるかもしれません。

大切なのは、どの場面でも誠実でいること、そして「噛み付くべき相手を間違えないこと」です。立場の弱い人に攻撃的になるのではなく、理不尽なことに対しては堂々と意見を言い、自分の信念を貫く。それができる人は、どんな環境でも信頼され、長期的に見れば強い立場を築いていけると思います。

オセロの盤面が最後の一手までどう転ぶかわからないように、人生もまた、どこでひっくり返るかわかりません。だからこそ、今の状況だけにとらわれず、長い目で見て「どうすればより良い関係が築けるか」を考えながら、日々を過ごしていきたいものです。

次に誰かの裏表を感じたとき、その表面だけに惑わされず、少し立ち止まってその背景を考えてみる。それだけで、新たな視点が生まれ、より良い人間関係へとつながるかもしれません。
#最後の一手

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菅野 大輔 (ワインテイスター/食クリエーター:かんの だいすけ)
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