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#566 長崎の不思議な融合文化
長崎に住んでみると、街のそこかしこに「和華蘭(わからん)文化」が息づいているのを実感します。この言葉、聞いたことがない人もいるかもしれませんが、長崎ならではの独特な文化を指すものです。日本(和)、中国(華)、オランダ(蘭)の要素が混ざり合い、長崎の街並みや暮らし、食文化などに影響を与えています。
いま僕は、ちょうどランタンフェスティバルの真っ只中にいます。赤や金の灯りが街を彩り、爆竹の音が響きます。ここにいると、「日本らしさとは何か」という問いに改めて向き合わされる気がします。
皆さんは、長崎に来たことがありますか?
もし訪れたことがあるなら、どこか異国の空気を感じたのではないでしょうか。実際に住んでみると、それが単なる観光地の雰囲気ではなく、日常の中に溶け込んでいることに気づきます。
#和華蘭文化
食に現れる和華蘭文化
食文化ほど、和華蘭文化を象徴するものはありません。長崎の食といえば、すぐに思い浮かぶのが卓袱(しっぽく)料理です。円卓を囲んで、大皿の料理を取り分けるスタイルは、日本料理の一般的な懐石とは異なり、中国やオランダの影響を強く受けています。
卓袱料理には「お鰭(おひれ)」と呼ばれる吸い物から始まり、「豚の角煮」や「東坡煮(とうばに)」といったメニューが並びます。これらの料理は、江戸時代に中国の料理人が持ち込んだレシピを基に、日本人の口に合うようにアレンジされてきたものです。
そして、長崎といえば「ちゃんぽん」も外せません。明治時代に中華料理店が考案したこの麺料理は、中国の影響を受けつつも、日本人向けに進化した一品です。スープのコクと、具材の豊富さが特徴的で、まさに「和・華・蘭」が融合した象徴的な料理といえます。
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さらには「トルコライス」なる、不思議な洋食も長崎発祥です。ピラフ、トンカツ、ナポリタンが一皿に盛られたこの料理は、まさに文化のミックス具合を象徴しています。どこか懐かしく、しかし新鮮な味わいが楽しめます。
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さらに、長崎の皿うどんも興味深い存在です。パリパリの細麺と餡掛けの組み合わせが絶妙で、長崎独自の進化を遂げた中華料理の一つといえます。
また、地元の人々と話していると、それぞれの家庭にちゃんぽんや皿うどんの「こだわりレシピ」があることが分かります。同じ料理でも、作り手や地域ごとに違いが生まれるのが面白いところです。
僕は、長崎の食文化の多様性、歴史、そして食材の豊かさに大きな可能性を感じています。長崎の地魚や地鶏、伝統的な野菜を活かしながら、新たな料理の可能性を探ることも重要だと思っています。この土地ならではの食の魅力をもっと広めていきたいと考えています。
#食文化
デザートも独特な長崎流
甘いもの好きとして、長崎のデザート文化も見逃せません。「ミルクセーキ」と聞くと、飲み物を想像するかもしれませんが、長崎のミルクセーキは食べるタイプです。卵とミルク、砂糖を混ぜて凍らせたもので、シャリシャリとした食感が特徴。暑い夏に食べると最高です。
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さらに、カステラも忘れてはいけません。ポルトガルから伝わりながら、日本独自の進化を遂げた長崎名物で、シンプルながらも奥深い甘みが特徴です。
長崎のスイーツは、どれも伝統を大切にしながらも、地元の人々によって独自の形に進化してきたのが面白いところです。
#砂糖を多用する長崎の食文化
異文化の交差点に住んでみて
これまでいろんな土地に住んできましたが、長崎ほど異文化が入り混じった街はありませんでした。ほかの土地にはない「歴史の重み」と「異国感」が同居しながら、地元の人々が日常として受け入れています。
和華蘭文化は、単に「外来の文化を取り入れた」だけでなく、地元の人々の暮らしに溶け込み、独自の発展を遂げたものです。ここに住んでみて、日本の文化の多様性を改めて感じることができました。
この先、長崎の文化がどのように進化していくのか、引き続き楽しみながら見ていきたいと思います。
長崎の地元の人たちの話をもっと聞いて、さらに深く和華蘭文化を知っていけたら、また新しい発見があるかもしれませんね。そして、長崎の食文化が未来にどう繋がっていくのか、僕自身も関わりながら見届けていきたいと思っています。
#長崎
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![菅野 大輔 (ワインテイスター/食クリエーター:かんの だいすけ)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88959211/profile_5632b618db8d9e5dbe812e0e447b2932.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)