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認知されることと人気になること


「認知」と「人気」、似たような言葉ですが、実は意味合いが違います。飲食業界でも、この二つの違いを理解しておくことはとても重要だと思います。

例えば、話題のレストランがテレビで取り上げられたとします。翌日から予約の電話が鳴り止まなくなるかもしれません。これは“認知”が高まった結果です。しかし、それが“人気”かというと、そうとは限りません。認知されただけで、一度来店して満足してもらえなければ、その店の“人気”は続かないのです。

僕たちの業界でも、「SNSでバズった」「メディアに取り上げられた」といった瞬間的な話題性を得ることは珍しくありません。でも、それは本当に人気があることと同義なのでしょうか?
今日はそんなテーマについて考えてみたいと思います。
#認知と人気

認知は一瞬、人気は積み重ね


認知を得るのは、実はそこまで難しくありません。広告を打つ、インフルエンサーに紹介してもらう、話題の企画を仕掛ける。これらの施策である程度の知名度を獲得することは可能です。

ただ、人気というのはそう簡単に手に入るものではありません。人気のあるお店には、リピートするお客さんがいます。何度も通いたくなる魅力があって、そこには料理のクオリティはもちろん、雰囲気や接客、価格設定まで含まれています。つまり、人気とは「積み重ね」なのです。

この違いを理解しないまま「認知を広げること=人気」と勘違いすると、短期的な集客には成功しても、長続きしない店になってしまいます。新規客を呼び込むのは認知の力、そこからリピーターを生み出すのが人気の力です。
#一瞬で飽きられる

人気店に共通するもの


長く人気を維持しているお店には共通点があります。それは「変わらない価値」と「適度な進化」です。

例えば、老舗の名店には「変わらない価値」があります。変わらぬ味、変わらぬ接客、変わらぬ雰囲気。これが多くのファンを惹きつけます。一方で、時代に合わせて変化する店も人気を得ることができます。例えば、メニューの一部を時代に合わせて変える、SNSでの発信を工夫する、デリバリー対応を強化するなど。

「うちは昔ながらのやり方を守る!」と頑なすぎても、「流行に乗ってどんどん変えていく!」と変化が激しすぎても、どちらも難しいです。人気店は、このバランスを見極めています。ブームに乗るのではなく、長く愛される本質を大事にすることが大切です。
#老舗

認知を人気につなげる方法


では、認知を獲得した後、どうすればそれを人気へとつなげられるのでしょうか? いくつかのポイントを挙げてみます。

1. 期待を超える

メディアで取り上げられたとき、お客様は「きっとすごい店なんだろう」と期待してやってきます。その期待を超えるサービスや料理を提供できれば、リピートにつながります。しかし、逆に「期待外れだった」と思われたら、もう来てもらえません。

2. コミュニティを作る

人気店は「お店とお客さんとの関係性」を大切にしています。ただ料理を提供するだけでなく、スタッフとの交流があったり、常連さんが心地よく過ごせる空間を作ったり。SNSを活用するのも一つの方法です。

3. 体験価値を向上させる

料理が美味しいだけではなく、お店で過ごす時間自体が特別なものになるように工夫することが大切です。例えば、シェフが直接料理の説明をする、季節ごとの特別メニューを提供する、スタッフがお客様の好みを覚えておくなど、小さな積み重ねがリピーターを生み出します。

4. フィードバックを活かす

お客様の声に耳を傾け、改善を続けることで、お店はより良くなっていきます。口コミをチェックするのはもちろん、直接感想を聞くことも大切です。人気店ほど、お客様の声を大事にしています。

認知の先にあるもの


一時的に話題になるのは簡単です。でも、本当に価値があるのは、その後にお客様が戻ってきてくれるかどうかです。認知を得たことで満足するのではなく、それをどう人気につなげるかを考えることが重要です。

料理のクオリティ、接客、空間、価格設定、全てが絡み合って「また来たい」と思わせるものになります。それができたとき、初めて「人気店」と呼べるのかもしれません。

話題性を求めるのもいいですが、認知だけで終わらせないために、地道な積み重ねを大事にしていきたいです。その先に、本当の人気があるのですから。

「一時の快楽に走らないことが大切。」これは飲食業界にも当てはまる言葉です。目先の流行にとらわれず、長く愛されるための努力を続けていくことが、真の人気店への道なのです。
#また来たいと思わせる店

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菅野 大輔 (ワインテイスター/食クリエーター:かんの だいすけ)
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