学年末に思い出す心の傷
もうすぐ2年生になる娘が、折り紙を繋げて大きな紙にして、せっせとハートの形を折り始めた。大事にしているシールをたくさん貼って、ありがとうのお手紙に自分の顔まで書いて、中に入れた。
担任の先生に渡すらしい。
「きっと先生喜ぶと思うよ。大事なシールをこんなにたくさん貼って、先生のことが大好きだったんだね。」
と私は言った。少し不安もあったが。。。
私が小学生だった時のことを思い出した。私の小学校は3年生がクラス替えなので、2年生の終わり頃の話になる。担任のI先生とお別れになると思い、悲しかった。
I先生はベテランの女性の先生で、とても面白くて、でも親が心配するほど勉強には厳しくて、メリハリがしっかりした先生だった。
私は厳しい祖父と同居していたせいか、神経質で自分に自身がなく、自分は何か間違ったことをしているのではないかと、いつもおどおどしていた。
I先生は、おそらく私の性格を心配していて(後で親から聞いたのだが)、学年末の学年集会で生徒代表としてみんなの前で発表するようにと、放課後1人でいた私に言った。
「できないと思う。」と先生に言ってみたけれど、先生はテストの丸付けをしながら「大丈夫だよ。できるよ。」と言った。先生、私の言うことは聞いてないなと思い、渋々発表することにした。
話す言葉を考え、紙に書き、みんなの前で発表。すごく緊張したけれど、やってみたら意外と呆気なく、「簡単」と感じた。
これが、今後の人生の自信に繋がった。この経験で、自分なりに勇気を出して色々な挑戦ができるようになったのは間違いない。
I先生は、次の年から違う学校に転勤になった。離任式では、大泣きしたのを覚えている。
あれっと思ったけれど、他の先生が涙を拭う中、I先生には一粒の涙もなかった。
翌年のお正月、先生から毎年届いていた年賀状の返事が届かなかった。私はこんなに感謝していて、大好きなのに。
過去に高校の家庭科教師をしていた祖母に話すと、
「あの先生はプロだからね。過去の生徒ではなく、今の生徒に責任があるのよ。仕事が終わったら、スッパリ切る。そうしないと、今の生徒にも失礼だし、全て中途半端になるからね。」
と言った。
小さい頃に観た「銀河鉄道999」の最後でメーテルが違う男の子を連れているシーンがよぎった。
確かに、私はもう大丈夫と思われたんだと、今となればわかるけれども、当時の私はかなり傷ついた。先生は見捨てる人じゃないと。
今の娘の先生もベテラン先生なので、スパッと切られそうな気がする。
今せっせと愛を込めたお手紙をしたためているけれど、私と同じ経験をしたとき、どう伝えようか。
今から考えておく必要があるかもしれない。