返事をしないということ
「何か返事して!反応がないと馬鹿にされてる気がするから!」と夫が娘によく怒る。
娘は、テレビや読書、遊びに夢中で聞こえていないときも多いのだが、聞こえているのに何も言わないことがある。
なぜなのだろうと、ちょっと注意して観察してみた。答えに困っているとき、納得していないからハイと言えないとき。そんなときに、返事をしていないように見えた。選んで返事をしているんだ。うちの娘、賢いじゃないか!
そんな夫、結婚して一緒に暮らし始めたとき、返事をしない人だなと思っていた。他人を巻き込む大事なことですら、伝えても返事もしないし、関係ないと思うことは約束さえ忘れてしまう。
そんなふうに育ってきてしまったから仕方がない。私は、祖父母に返事を必ずするよう厳しく躾けられてきたから、なぜ返事をしないのか理解できなかったが、したくないときは返事をしなくてもいいのかもしれない。それは楽かもしれないと思い、私も試すことにした。
楽だった。考えたくないこと、わからないこと、関わりたくないことには、返事をしない。なんて楽なんだろう!夫もしているのだから、私もこの習慣を採用することにした。
もちろん、厳しく育てられた私は、外で使う勇気はない。
また夫が「何か返事して!」と娘を怒り始めた。萎縮してしまった娘をみて、とうとう言ってしまった。
「あなたも返事しないよね。」
空気が固まった。やってしまった!
娘も、固まった。お母さん、またやってしまったね。と娘からテレパシーのようなものが感じ取れる。
怒りの矛先は私へ。「そんなこと言われたら、僕の立場がないでしょう。僕の言うこと間違ってますか?どうしたい訳?」と。
「返事をしなければいけないことは正しいけど、もしかして、自分も返事しない事に気づいてないのかなと思って。」
夫も固まり、ビールを持つ手がプルプルしていたが、これ以上のやり取りを思いとどまったらしい。夫、よく我慢した。
食後にロイヤルミルクティーの作り方を教えてあげて、体が温まっていいよ。と伝えたときは普通だった。
納得したのか?やっぱり返事はない。