要はマリルイ。「スティーブン・ユニバース: アンリーシュ・ザ・ライト、光を放て!」
アニメのゲーム化は数多くあるが、原作終了後の世界観でプレイするゲームは稀有だろう。
原作『スティーブン・ユニバース』とは、
レベッカ・シュガー原作および監督を務めたアメリカはカートゥーンネットワーク発のアニメーションシリーズ。主人公のスティーブンが、宇宙の宝石と呼ばれる異星人のクリスタル・ジェムと「クリスタルジェムズ」を結成し冒険する、とばっさり言ってしまえば簡単だが、キャラクターたちの複雑な感情や過去、紆余曲折の関係性が見どころのひとつ。ゆえに、放映当時、日本にも熱狂的なファンをごく少数生み出したのも、すでにひと昔前のはなし。
スティーブンひとりに絞ってみても、クリスタル・ジェムである母ローズ・クォーツと人間の父グレッグ・ユニバースの間に生まれたがゆえ、亡き母への思慕に憎悪、母の立場と責任を引き受ける上での葛藤、自身が人間とクリスタル・ジェムのハーフであることから生じるアイデンティティの探求、受け入れの苦悩を曝け出す、悩める少年としての描写されることで一貫している。
ここに、一緒に過ごしているガーネット、アメシスト、パールなどのクリスタル・ジェムたちとスティーブンやローズとの関係性、というか愛が、重厚かつドロドロなドラマを生み出している。
そんなキャラクターたちがデフォルメされてかわいらしいグラフィックが目を惹くスティーブン・ユニバース・アンリーシュ・ザ・ライトは
スーパーマリオRPG、ペーパーマリオシリーズ、マリオ&ルイージRPGシリーズ…一連の任天堂製マリオRPGを彷彿とさせる、ターン制だがアクション性の色濃いRPGだ。
遊び方について。
タイミングよくボタンを押すことでダメージ量を増やしたり、ガードできたりするアクションコマンドが存在する点も同じ。中盤からは、ダミーの動きをする敵やフェイントをかけてくる敵も出てくるため、緊張感のある戦いが繰り広げられる点も、同じ。いまは亡きアルファドリームを偲びながら遊ぶと、感慨もひとしおだろう。
ゲームバランスは…不安定というわけではないが、カートゥンネットワークのメイン視聴者層:小学生が放り投げるレベルだな。いくら原作者レベッカ・シュガーがゲーム好きだからと言って、ガチに寄りすぎるのは、ヨクナイ。
本作、2Dマリオを模したワールド・ステージ制なのだが、スティーブン一行が敵地に乗り込んでいるという設定のためか、宿などという気の利いた施設はなく、ストックを機にせずに全回復するタイミングはワールドから別のワールドへと移動したタイミングのみ。回復は基本的にアイテムによる自給自足となる。アクションの腕次第でダメージ量は抑えられても、ゼロには出来ず、一回の戦闘で4体と対峙するのは当たり前、時に5、6体と戦うことになるので、ゴリゴリ道中で体力を削られる。頼みのアイテムもスティーブンしか使えない&1バトル当たりの使用個数制限があるため、スティーブンから味方が一人二人と戦闘不能となり、壊滅することもしばしば。
敵からはそれなりの確率で回復アイテムをドロップできるのが、救いだろうか。
アクションが得意なプレイヤーと苦手なプレイヤーへの配慮についても、どうにも痒いところに手が届かない印象。マリオ&ルイージRPGの軽快さと比較してしまうと、どうしても細かい粗が見えてしまう。
歯ごたえがあるのは確かなので、大人がプレイする分には申し分ないクオリティだ。
さて、本作では9人のプレイアブルキャラクターから4体を選んでパーティを組み立てる。といってもスティーブンは固定なので、他3体を決める形だ。
スティーブン、ガーネット、パール、アメジスト、ラピス・ラズリ、ビスマス、ペリドット、コニー、グレッグ。ここから、それぞれの
キャラクターについて
語ってみよう。未見の人だと全員仲良しという印象を与えかねないので、軽くその人となりも説明しておく。
スティーブン(我らが主人公)
キャラ説明は上記の通り。
原作アニメと違って闇がないので、ただのいい子。一緒に暮らしているジェム3体はともかく、かつての敵ジェムに対してもフレンドリーな姿勢を忘れない、気配り上手。
盾を装備、キャプテン・アメリカよろしく投擲して攻撃も可能だが雀の涙。バリアや回復を仲間に対して行い、味方の生存率を少しでも上げるのが彼の仕事。
ガーネット(クリスタルジェムズ)
見た目副島淳。キャラはジュン・サンダース。
同性の恋人同士であるルビーとサファイアが融合した存在だ。冷静で理性的な一面と温かさを持ち合わせていることが、劇中の台詞からも伺いしれよう。
劇中、スティーブンのメンターとして、スティーブンの苦悩に寄り添い、彼を支える存在であったためか、もっぱら盾役として頼りになる。HPの伸びが良く、挑発やカウンターも使えるため、最初から最後まで使うことができるだろう。
反面、ガタイが良い割に左右一対の巨大なガントレットは、攻撃においてパワー不足。ワン・ツーしか技がないのも痛い。
しかしパールだけでは心もとなく、他2体は非力。ガーネットをもアタッカーとして運用せざるを得ない…盾役に徹することができないのがプレイ序盤の辛いところ。
アメシスト(クリスタルジェムズ)
薄紫の長い髪と紫色のぽっちゃりした体が特徴。力強く陽気なクリスタル・ジェムで、スティーブンの同年代の親しい友人として描かれている。コミカルでがさつなキャラだが、原作で明かされる彼女の生まれは陰惨だ。
タバスコによる単体へのヤケド付与、エネルギー製の鞭による複数体への攻撃、防御時は石板に変身と、トリッキーなキャラで、使って楽しくはあるのだが、いかんせん攻撃力も防御力もステータス全般が低め。ドラゴンクエストの「遊び人」よろしく決め手に欠け、後半になるにつれいらない子と化す。
パール(クリスタルジェムズ)
背が高く華奢な白い体と淡いオレンジピンクの短髪が特徴。
ローズ・クォーツに忠実なクリスタル・ジェムで、彼女の遺産とスティーブンへの深い愛情から彼に寄り添う。つまり原作においてはスティーブンに過保護気味で、愛が1番重いひと。
光の刃がついた白い槍を振るったり、投げたり、見ていて楽しく美しい優雅な戦闘スタイルが魅力。攻撃力の伸びが良くアタッカーとして最後まで使うことになるだろう。防御面において比較的柔らかいのと、序盤から出現する対トゲトゲの敵に対する有効打をなかなか覚えない(そしてトゲキラーを装備できない)点だけは、注意。
ビスマス (スティーブンと敵対)
虹色のドレッドヘアと大きな青い体の持ち主で、陽気な武器職人。見た目ジャイアンの母ちゃん。
(シーズン3#98–99のネタバレだが)同志だったはずのローズと意見が食い違い、長年封印されていたジェム。封印解除後、見た目イイ人が激昂してローズの子供であるスティーブンに襲い掛かる様は、軽くホラー。ローズもローズで問題ありなジェムなので「哀しい悪役」という言葉が似合う姉御だ。
手をハンマーに変化させることができ、直接敵を殴ってデバフを与えたり、武器を錬成して味方にバフを与えたり。素の攻撃値・防御値も高水準ゆえ、アタッカーにしても盾役に仕立ててもサポート役として運用してもおいしいキャラだ。積極的に使っていこう。
ラピスラズリ(スティーブンに友好的)
青い華奢な体とワンピースに素足の姿が特徴の、見た目からしておそらくいちばん日本人好みするであろうジェム。冷静で神秘的な存在だが、彼女を待つ運命は過酷で、地球を行ったり来たり。他のジェムと違って争いを好まないがゆえに、感情的に苦悩、苦悩を経た成長を遂げる、製作陣にも相当愛されたであろうジェムだ。
パールと合わせて貴重なアタッカー。水を操った攻撃は随一の威力を誇るが、「魔法使い」の例に違わず防御は紙。様々工夫して、戦闘不能にするのはなんとしても避けたいところ。
彼女がパーティにいる場合、味方を動かす度に得られるゲージ(サムネ画面下方向のピンクの横バー参照)で、敵全体を攻撃・抹殺できる「ふぶき」を発動できる。本作におけるチート。少なくとも道中の雑魚戦では必ずパーティに加えておきたい。
ゲージ技は他スティーブンの味方パーティ全回復+バフ付与が優秀なため、雑魚戦ではラピスラズリ、ボス戦ではスティーブンと、ゲージ技を使い分けていきたい。
ペリドット(スティーブンと当初敵対、のちクリスタルジェムズの一員)
緑色の肌にひし形の黄色い髪と透明のバイザーが特徴。強化パーツを付けた状態だとパールくらいの長身だが、外すとスティーブンと同じくらいの大きさになる。古いが、例えるとすれば、ポケットモンスターSPECIALのエメラルドくんだ。
元々は敵だったが、物語が進むにつれて変化し、クリスタル・ジェム側に加わる。原作でもゲームでも変わらない、彼女?の偉そうで子供じみた性格・言動(そして珍竹林な外見)を好きになれるかどうかは、ヒトを選ぶだろう。ラスボスに挑戦する直前でいきなり仲間に加わる=戦力になるか見極める間もないのも、悪印象。
指パーツから光球を発射したり、対象を閉じ込めて動かしたり、ビットを置いたり。トリッキーな技は多いものの、育てると臨機応変な運用が可能となるジェム。さすが最新テクノロジーの申し子。パーツを外す前の髪型クロワッサンなエメラルドを見守る感覚で、運用してあげよう。なお、自分はパーツを外した後のショタ・エメラルドくんのほうが、好みである。
コニーとライオン(クリスタルジェムズ)
コニーは元眼鏡っ子だったスティーブンのガールフレンド。ライオンはローズ・クォーツ(スティーブンの母)のペット。
コニーはスティーブンを守ろうとパールに剣術と格闘術を教わり、身体能力を飛躍的に向上させた恐るべきニンゲン。原作や本ゲームでパールの剣を振るう姿を見れば、スティーブン・ユニバースが「少女革命ウテナ」の影響をモロに受けているとわかるだろう。ピッと凛々しいのだ、この少女は。
性能はアタッカー一本槍。ペリドットよりもさらに遅れて、ラスボスクリア後に参戦するため、使用するタイミングはさらに失われることだろう。
グレッグ(スティーブンの父親)
使ったことないんだよなあ…。
結論。
アクション性を活かした作り、丁寧なキャラクターの作りが評価できる王道のアクションRPGだ。少し辛口な評価にはなったが、マリオ&ルイージ RPGレベルの感覚で遊べるのは、ほんとにうれしい。プレイする価値があるゲーム、といえるだろう。
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