マラソンで「苦しくなったら息を吐け」と言われる理由
長距離走では、「苦しくなったら腹から息を吐け」と言います。
意識して息を吐き出すことで、一時的にでも苦しさが楽になります。
この腹から息を吐くと楽になるのは、なぜなのかを考えてみようと思います。
1,新鮮な空気を吸いやすくなるなるから
呼吸が苦しくなると息を吸い込みたくなるものです。
しかし、息は吐き出さないと新しい空気は入ってきません。
意識して吐き出すことで、吐いた反動も利用しながら新鮮な空気を吸い込むことができる。
2,腹圧が高まり体幹が安定するから
腹から息を吐くと、腹横筋が収縮して自前のコルセットが作られます。
すると、地面を蹴った力が体幹部分で逃げること無く、前進する力に変換されます。
3,腰高のフォームが作りやすくなるから
練習不足でのマラソン大会では、スタート直後は、体幹も安定していて腰高のフォームで走り出します。
しかし、ゴール前数キロでは、バテバテで腰も下がり、ドシドシと足音が響くような着地になります。
脚の蹴りは変わらないのに、ゴール前はお腹が緩んでいて、水で満たされた革袋を運んでいるようでチャプチャプと音がしそうです。
息を吐いて、体幹を締めることで内臓が固定されて腰高のフォームが作りやすくなります。
4,足元を踏みしめやすくなるから
息を吐くと、ウエストは絞られることで、胴体の長さは長くなります。
体の上下半分の部分にあるウエストが絞られるのですから、空の方向に伸びるばかりでなく地面の方向にも、上下に体は伸びます。(立位で考えずに、仰向けに寝転がっていると考えると、上下に伸びるのを意識しやすいと思います)
息を吐いて、地面に向かって脚が伸びるので地面を踏みしめやすくなります。
「苦しくなったら腹から息を吐け」と言われますが、強い選手は日常的に息をしっかり吐き出しています。苦しく無って息を吐くのではなくて、息を吐いているから苦しくならないと考えることができます。