原因にアプローチするのか、症状にアプローチするのか?
腰痛は症状、原因は別にある
整体院に来る多くの患者さんは、痛みが無くなれば腰痛は治ったと思います。腰痛のメカニズムを知らなければそう思って当たり前だと思います。
しかし、原因を改善しないと何かのキッカケでまた痛めてしまいます。
ここで前提として理解しておいていただきたいのが、腰痛は症状ということです。腰が痛くなるような原因があって、症状として腰の痛みが出ているということです。
花粉症に置き換えて考える
花粉症でくしゃみが連発するような人は、花粉に対するアレルギーを持っています。これが原因です。ここに花粉が飛んできて吸い込むと、症状としてくしゃみが出ます。
花粉アレルギー(原因) + 花粉 = くしゃみ(症状)
花粉アレルギーを持っていなければ、花粉がとんできてもくしゃみは出ません。
アレルギー無し + 花粉 = くしゃみ無し
マスクをすることで、花粉を吸い込まないようにする
花粉アレルギー + マスク =くしゃみ無し
重いものを持つと痛くなる腰痛
腰の背骨である腰椎が不安定で、重いものを持つと腰が痛くなってしまうような患者さんの場合だと・・・
腰椎が不安定という原因があって、そこに重いものを持つという要素が加わり、結果として腰の痛みという症状が出ています。
ここで、多くの人は原因を無くさないまま、重いものを持たないなど、腰に負担を掛けないことで腰痛を避けようとします。
しかし、根本的に痛みを無くすためには、重いものを持っても痛くならないように、原因を無くすことが重要です。
腰椎不安定(原因)+ 重いもの(腰への負担)⇒ 腰痛
腰椎不安定(原因)+ 重いものを持たない(腰に負担をかけない)⇒ 痛くはならない
原因無し(腰椎安定) + 腰への負担(重いもの) ⇒ 腰痛にならない
症状にアプローチするのか、原因にアプローチするのか?
整体院で記入してもらうカルテに、花粉症を鼻の病気と記入する人もいます。実際、花粉症は、くしゃみや鼻水の症状が辛い人には鼻の病気ですし、目のかゆみが辛ければ目の病気です。
また、くしゃみや鼻水が出ないようにマスクでの対策をしていると、花粉に対するアレルギーが原因だと頭では理解していても、花粉の飛ぶ時期が来るとくしゃみが止まらなくなるから、花粉が悪者だと勘違いしてしまいます。
鼻の薬を使ったり目薬をさせば症状は抑えることができます。しかし根本的にはアレルギー体質を改善しないと、毎年その時期になるとくしゃみ鼻水、目のかゆみに悩まされることになります。
腰の痛みは症状です
患者さんは腰の痛み(症状)を無くしたくて、整体を受けにきます。
症状をとることがリクエストなので、対症療法として、痛みをとることは最低限おこなうべきこととして考えています。
特に初めて来院いただいた患者さんには、症状をとってあげることを優先しておこないます。そのうえで平行して原因を改善する原因療法もおこないます。対症療法だけでは痛みのぶり返しも起こりやすくなりますし、原因を取ることで症状(痛み)も取れやすくなるからです。
症状の痛みを取ることと、痛みが出ないようにすることは似ているようで違うことも多いです。
整体をおこなうときには痛みが出ないようにすること(原因療法)を心がけて施術しています。
子供がナイフで手を怪我したとしたら・・・
子供がナイフで手を切ってしまいました。
まずは出血を止めて傷の手当をします。
傷が治ればもう平気です。
そのあと子供は怖いからと、ナイフに触らなくなるかもしれません。
しかし今後のことを考えればナイフを使えたほうが便利です。
ナイフの安全な使い方を説明してナイフを使う練習をさせます。
練習の結果、怪我する心配をすることもなく、便利に安全にナイフを使えるようになります。
ナイフを使えば全員が怪我をするわけではなく、使い方が悪いから怪我をするのです。
<怪我の原因>
*ナイフの使い方に慣れていなくて使い方が未熟だから
<症状にアプローチする>
*バンソウコウを貼るなど、傷の手当をします。
<次に怪我をしないための対策>
*怪我をしないように、二度とナイフには触らない(ナイフを使わない)
*手を切らないようなナイフの使い方の練習をする
肩こりによる頭痛なら・・・
頭痛を我慢できないようであれば、頭痛薬で痛みを抑えますが、原因が肩こりにあるならば肩こりを治療すれば頭痛も改善します。
<痛みの原因>
*肩こりが原因の頭痛
<症状にアプローチする>
*鎮痛剤を使って、頭痛を感じないようにする
<今後痛みが出ないための対策>
*肩こりを治療する
*肩こりにならないようにする。
虫歯で歯が痛い場合は、歯医者に行って虫歯を治療してもらいます。
「虫歯イコール歯の痛み」で症状と原因が同じ場所にあります。
だから、虫歯を治療すれば歯の痛みは治まります。
しかし、肩こりのせいで頭が痛いならば、根本原因は肩こりです。
頭痛薬で痛みを抑えても肩こりは無くなるわけではありません。
症状と原因が別のところにあるからです。
重いものを持って腰を痛めたら・・・
何人かで作業をしていて、重い荷物を持ち上げたら自分だけ腰を痛めてしまいました。
数日様子をみていましたが痛みが取れないので、近所の整体院に駆け込み、痛みを取ってもらって動けるようになりました。それ以降は重いものを持つときは気をつけるようにしています。
<怪我の原因>
*重いものを持つことに慣れていなくて、変な体の使い方をした。
<症状にアプローチする>
*自分の自然治癒力を信じて様子をみる
*整体院で痛みを取ってもらう。
<次に怪我をしないための対策>
*痛みがとれれば治ったと思い何もしない。
*重いものを持つときは気をつける
(重いものは持たない、コルセットをする・・・など)
ガンのせいで腰に痛みが出ているなら、ガンの治療をおこないます。
子供がナイフで手を切ったなら、安全に使えるように練習させます。
しかし、多くの人は痛みが取れたイコール治ったと思うので、それ以降の「腰を痛めないための対策」をおこないません。
症状にアプローチするのが対症療法で、原因にアプローチするのが原因療法
整体をおこなう与えられた時間は限られているので、ぎっくり腰で動けないような患者さんには、対症療法で痛みをとって動けるようになってもらうことを優先します。
でも、知らなければこれで治ったと思ってしまうんです。
なので、ぎっくり腰は癖になるって言われます。
筋力不足で腰を支えれれていないならば、火事場の馬鹿力のように、一時的に筋肉の力を出せるようにして痛みを逃がすことはできるのですが、筋肉の量は増やすことが出来ないので筋トレが必要になります。
筋肉を増やしたり、体の使い方を変えるには、患者さんが自分で体を動かしてもらう必要があります。他人に期待をしても無理です。オシッコをしたいときに他人にトイレにいってもらうようなものです。
痛みが無くなったのは、切った傷にバンソウコウを貼って傷が治ったのと同じです。本当は、重いものを持っても腰をいためない体になるように原因を無くすことが正しい対策になります。
重いものを持ったことで説明しましたが、日常生活の中で腰が痛くなる場合だと、痛みが出るたびにバンソウコウを貼り続けることになります。
これが慢性腰痛です。
定期的に整体に通う(バンソウコウを貼り直す)
腰に負担をかけないように注意し続ける。
痛みを我慢する。
体の使い方が悪くて腰痛になっているとしたら、体の使い方を変えないと、腰痛の泥沼から抜けることはできません。
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