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九品仏

「九品仏浄眞寺」は東京都世田谷区奥沢七丁目にある浄土宗(宗祖 法然)の
お寺です。山号は「九品山」、正式名は「九品山唯在念佛院淨眞寺」。
「九品仏」とは、同寺に安置されている九体の阿弥陀如来像のことで、
それが通称となっています。

参道

今から48年前に卒業した多摩芸術学園写真科の卒業制作の私のテーマは
「九品仏」でした。とは言っても本堂や仏像を撮影するのではなく、
境内に集う幼稚園児や鳩といった日常的な光景をモノクロで表現しました。
出来上がった作品に対する先生たちの評価は「老成」の一言でしたが、
若い自分も同じように感じたのを記憶しています。

九品仏浄眞寺総門

今にして思えば学生の私は仏教について何も学ばず、ただただ四季を通じて
好きな被写体を境内で追っていただけでしたが、反面、高校時代から菩提寺への
墓参等を通じて私自身に少なからず仏教に対して興味はあったのも事実でした。

閻魔様

その後、25歳でフリーの写真家になり旅企画等で名刹を含めお寺を撮ることも
ありましたが、それはあくまでも企画の中の1イメージに過ぎませんでした。

お地蔵様

そんな私に初めてお寺だけの撮影を依頼されたのが、今から10年前の2014年の
秋のことでした。媒体は曹洞宗の「禅の風」、撮影対象が私の故郷/静岡県浜松市のお寺だったことに大変驚きました。これがご縁なのかもしれません。
この時は、日帰り取材だったのですが、私ひとりだけ残り、高校時代の友人と
酒席を共にしたのは楽しい思い出です。

観音堂

その2年後の2016年、編集部から表紙を含めた「禅の風45号 良寛 特集」の撮影を依頼され、良寛さんに縁の深い新潟県出雲崎町周辺と岡山県倉敷市を巡りました。この頃、若い知人の死や叔父の法事もあり私的にも仏教に関する興味がわき、
自然に浜松の菩提寺で読まされた「花の経」と言われる「般若心経」を主に仏教について調べ始めました。

山門

その数年後のコロナ禍の暇な時間も重なり仏教を調べ続けると、
その深さと広がりに驚き、今日まで興味が途切れることがありませんでした。


本堂の釈迦如来像

そして、今春の「禅の風54号」でお役御免なったのをきっかけに、
これまでに私が撮影したお寺の写真を公表することにし、
その最初を「九品仏浄眞寺」に決めました。


本堂の窓

48年の時を経て、九品仏境内の様子も変化しましたが、心落ち着く空間である
ことは変わりません。その雰囲気が写真で伝わることを祈っています。


本堂と外の境に下がる紐

*撮影日:2024年8月31日(土) カメラ:NIKON Z5  レンズ:24~200mm   


仏足石

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