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エジプト旅行で感じた衝撃

普段、私たち家族は列車やレンタカーなどを使って、個人で海外旅行をするのが好きなのですが、今回のエジプト旅行に関してはグループツアーにして良かったと、強く感じずにはいられませんでした。そう思うに至った衝撃の数々を記録に留めたくて、初めてnoteを使ってみることにします。

深夜のカイロで見た光景
我々がエジプトに到着し、市内をバスで通ったのは真夜中。午前3時頃でした。普通なら人々が寝静まった時間です。にもかかわらず、市内のあちこちを大勢の若者(男性)が闊歩していたのです。エジプトでは石油は取れなくはないけど、産出は微量。アラブ諸国で最大の人口を抱え、30歳未満が全体の3分の2を占めます。けれど失業者の8割が29歳未満だというのです。この深夜の活気は、若いエネルギーの行き場がないという事なのかも知れません。イスラム社会では金◦土曜日が休日なのですが、明らかに翌日の仕事に差し支える状況下でこれほどの人出を見るのは、非常に異様な光景でした。

カオスな交通事情
そのうえエジプトの交通事情はまさに「カオス」でした。信号はほとんどなく、カイロ市内で私が見かけたのはわずか2つほどです。交差点では先に進入した方が優先という暗黙のルールがあるようで、バスの寸前を小さなトゥクトゥクがスピードも落とさず横切って行きます。人間でさえも車の間をすり抜けるように横断します。ぶつかったら、ひとたまりもないのに、気にしないかのようです。「絶対に事故った」と思った瞬間が何度もありました。
そして、信じられないことに、歩道があるのに人々は車道を歩いています。道路には大型バス、トラック、乗用車、トゥクトゥク、バイク、馬もしくはロバが引く馬車、ラクダ、そして人…。これらが道路を全く好き勝手に通っていて、いきなりの車線変更、車の直前の横切りは当たり前という、とんでもない道路状況なのです。
どの車もクラクションをならし、運転手たちは窓から怒鳴り声を上げています。無傷の車は一台もなく、すべてが古くて傷だらけ。接触事故が日常茶飯事であると容易に想像できる状況に、私たちはただ唖然とするばかり。なんと列車の線路へトゥクトゥクが侵入して、平気で走って行く光景さえ目撃しました。

目を疑うような高速道路
片側8車線の高速道路でさえ、人が歩き、横断したりします。バイクに乗った人々はヘルメットなし。トラックとも見紛う大きな荷台を引いたバイクが、荷物の上に人を乗せて高速道路の真ん中を走っています。その先では、高速道路のど真ん中で車を停めて人が集会していたりするのです。49ヶ国行った私の家族でさえ、こんなとんでもない交通事情は珍しく映ったようです。

大きな荷台を引いたバイクが、荷物の上に人を乗せて高速道路の真ん中を走っている。

交通事故もきっと多いと思われます。少なくとも20年くらい前まではイスラム諸国の中には、ハムラビ法典を有効とする国があったと聞いています。現在でも適応される国があるかも知れません。被害者が望めば「人を轢いたら轢かれ返される」という恐ろしい刑罰が科せられるハムラビ法典。それを思い出して、背筋が凍る思いがしました。

個人旅行はおすすめできない理由
こんな交通事情ではレンタカーを借りて自分で運転する事は絶対に避けるべきでしょう。タクシーもぼったくりが多いとネットに書いてありました。現地の日本駐在員も、運転手付きの社用車以外には乗らないと聞きます。ギザのピラミッド以外の観光地は全て柵で囲まれ、一般人は入れません。エジプシャンバザールでさえ、観光エリアは柵で囲われ、憲兵達が守っていました。安全である場所はとても限られていると痛感せずにいられません。ツアー用観光地とバスとホテル。それらが数少ない安全地帯である思われる状況で、個人旅行を選ぶのは賢い選択ではないでしょう。

ギザのピラミッド
スフィンクス
エジプシャンバザール
エジプシャンバザールのカフェ

カイロの驚きの風景
そして、カイロは首都だというのに街は膨大な量のゴミで溢れかえっていました。ビルに囲まれた空き地は文字通りゴミの山。そんな場所で羊飼いが羊を放牧をしています。どう考えても餌はゴミだと思われます。イスラム教で嫌われる犬も痩せ細り、ゴミを漁り、川の水などを飲んでいる姿があちこちで見られ、犬好きの私は胸がキリキリ痛みました。

さらに驚いたのが建物。建設中の建物には税金がかからないという税金対策のために「工事中」を装っているのだそうです。鉄筋の束で柱を作り、その間に煉瓦を並べて壁を作っているだけの粗末なビルが、「建設中」である事を誇示するように、屋上に鉄筋の束を露出させたまま並んでいました。あんな状態では鉄筋だって錆びるだろうし、私の目から見たら廃墟にしか見えないけれど、電気がついていて、人の出入りもあるので確かに住居やオフィスのようです。そんな建設中の建物が9割を占めているので、当然街の景観は美しいとは程遠いのです。美しいのはモスクと、ナイル川沿いの外資系企業の社屋とホテルぐらいでしょうか…。

裸の鉄筋を屋上に突き出させたまま立ち並ぶカイロのビル群
人々が暮らしているのに廃墟のようなビル群

大気汚染と粒子の細かい砂
カイロは大気汚染も酷いとのことです。工場や自動車からの排出ガスが主な汚染源とのことですが、砂漠の砂も原因と思われます。ピラミッド近くを歩くと私の靴は真っ白になってしまいました。静電気でなかなか拭き取れないほどの細かい粒子の砂が付着するからです。鼻をかめば茶色くなるほどでした。砂漠と隣り合わせのカイロにはそんな粒子の細かい砂埃が降ってきていると思われ、街中の木は全て粉を被ったように白茶けて全く青々としていません。エジプトでは乳児の呼吸器感染症、下痢症による死亡が多いそうですが、私もたった2日の滞在でその両方の洗礼を受けてしまいました。
エジプトは世界遺産の宝庫であり魅力的な国ですが、個人旅行にはリスクが多過ぎるように思いました。訪れるなら、ツアーを利用する事を強くお勧めします。

オマケ

クフ王ピラミッド内部は別名ピラミッドサウナと呼ばれる
人が多いのに空気の通り抜けがなく酸欠でとても暑い
クフ王ピラミッド内の石棺に辿りつくまでとその帰り道は
坂と梯子が続くとてもハードなアスレチックコース
世界最初の博物館であるエジプト考古学博物館に展示されている
ツタンカーメン王の黄金のマスク
(大エジプト博物館へ近日引っ越し予定)

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