不覚にも、不覚にも

久しぶりのデートに舞い上がっていた。
昨日の夜から寝つきは悪かったし、今日の朝もソワソワして、朝ごはんが喉を通らない。化粧乗りも悪い。やっぱり眠れなかったことが大きいのかな。

同じ職場の人からみんなの前で、1週間前に急にお誘いを受けた。

「遠藤さん、この週末僕とデートしてください。」

直球すぎるだろ。しかもなんでみんなの前で言うのよ。行くのも行かないのもどっちも気がひけるじゃない。そもそも断るのが苦手な性格なのに、こんな状況断れない。なんて言ったらいいかわからない。

「まあ、いいですけど」

そう言うわけでデート当日を迎えていた。

「今日はきてくれてありがとうございます。」

「いえ、こちらこそありがとうございます。」

「暑いですねー」

「うん、とても暑いですねー」

・・・

全然話続かんやん。なんか女の子慣れしとらん感じか?
まあ、すごく流暢に話をされるのもそれはそれで厳しいもんがあるが。

「桜良ちゃんは、何の食べ物が好き?」

えっここでいきなり下の名前?なんか慣れてない感じがすごいやん。先を走りすぎやて。しかも食べ物の好み?そういや今日はどこに行くんだろ?今日まで何にも聞かれんかったな。

「あー特に嫌いなものはあんまりないですけど、あんまり脂っこいものは食べないですかね?」

「じゃイタリアンの店でもいきましょうか?」

「はい」

・・・

また話続かんやん。私もだいぶと重症やな。
そして、おそらくピップアップしてきただろう店に行くのであるが、尽く満席。

「どこもいっぱいですね。予約とかはしてないですもんね?」

「桜良ちゃんの好みがわからなかったから、予約してないんだ」

いや、わからんかったら聞けよ。
立ち飲み屋の炉端店があったので

「真斗さん、立ち飲みでも平気ですか?」

「えっ、俺は全然いいけど桜良ちゃんは平気?」

「私むしろこういうとこの方が好きだったりします。ここいきましょうか。空いてそうですし」

「うん、ありがとう」

ここ店実はちょくちょくきていた。あんまり気を使う雰囲気じゃないのが結構好きである。
店内に入り、いつも通り生とたこわさを注文。

「真斗さん、あんまりカッコよくとかスマートにとか考えなくて大丈夫だと思いますよ。まずは、目の前の人と会話して、目の前の人と心を通わしていかないと。」

「そうだよね、ごめん。じゃもう一回リベンジする。絶対、桜良ちゃんにふさわしい男になってやる。」

大声でいきなり何を言い出すんだ。周りの環境を考えないそんなところが自分の視点からしか景色をみれていないんだって。

でも不覚にも、不覚にもどきっとしてしまった。
ふさわしい男になる、こんなこと言われたことあったけな。


以上。はっはっ今日は何を伝えたかったのでしょう笑

今日も一日ありがとう。

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