パラレルキャリアによる地方創生 | 瀬崎真広
宇野常寛が火曜日のキャスターを担当する番組「NewsX」(dTVチャンネル・ひかりTVチャンネル+にて放送中)の書き起こしをお届けします。3月19日に放送されたvol.27のテーマは「パラレルキャリアとしての地方創生」。NPO法人ZESDAの瀬崎真広さんをゲストに迎え、東京のプロボノであるZESDAが、石川県能登半島にある「春蘭の里」をいかに盛り上げていったか。その活動の詳細と、地域創生の理想的なあり方についてお話を伺いました。(構成:籔 和馬)
NewsX vol.27 「パラレルキャリアによる地方創生」
2019年3月19日放送
ゲスト:瀬崎真広(NPO法人ZESDA)
アシスタント:得能絵理子
地方創生の成功例、春蘭の里の魅力
得能 NewsX火曜日、今日のゲストはNPO法人 ZESDAの瀬崎真広さんです。瀬崎さんはパラレルキャリアで、プロボノとしての活動と本業がおありなんですよね。
瀬崎 そのとおりです。私は某金融機関に勤めています。そこでの仕事ももちろん楽しいんですけども、それ以外の職域に囚われない、いろんな活動をしてみたいなと思っていまして、家庭と仕事以外の第三の場としてパラレルキャリアという選択肢をとっています。
得能 今日のテーマは「パラレルキャリアによる地方創生」で、最初のキーワードは「ZESDAの取り組み」です。
宇野 ZESDAとは何の略なの?
瀬崎 これは略称で、最初のZがZipangのZですね。
宇野 なんでJじゃないの?
瀬崎 公共団体でよくJを使ってしまっているので、風変わりな代表がZにしようと考えて「Zipang Economic System Design Association」と名づけたと聞いております。
宇野 ZESDAは具体的に何をやっているの?
瀬崎 ZESDAはいわゆるプロボノ系の団体です。プロボノとは、本業の専門知識などを活かした公益性が高いボランティア活動ですね。
宇野 ちなみにどんな人がいるの?
瀬崎 プロボノはアメリカなどでは、弁護士やコンサルが集まって、専門知識を活かして公益性が高い活動をしようという団体なんです。その中でもZESDAは特徴的で、多様性があるんですね。商社マン、銀行員、コンサル、メーカー勤務者、学者の方など、いろんな職種の方がいます。そういう多様性のなかでのかけ合わせから、なにか価値のあるものをつくろうというような理念を持って活動しております。
宇野 僕はZESDAの人たちと縁があって、何年も仲良くさせてもらっていて、その縁で石川県の春蘭の里に取材に行っています。春蘭の里は、ZESDAが関わった地方創生プロジェクトの中でも最大の成功例ですよね。前半は瀬崎さんに春蘭の里の取り組みなどをあらためて紹介してもらい、もう一回プロボノと地方創生というテーマの基礎知識を確認していきながら話していけたらと思っています。
瀬崎 こちらは春蘭の里の場所を表しています。春蘭の里とは、そもそもは石川県の奥能登にある農家民宿群の呼称なんですね。今の流れで少子高齢化が進んでいくと、この地域の村落が消滅してしまうという中で、有志の方々がこの地域を創生していこうと民泊を始めたんです。石川県の奥能登は、遠いように見えるんですけども、実は羽田空港から1時間弱でアクセスできます。
宇野 新幹線で金沢まで行くと、2〜3時間、余裕でかかるでしょ?だから、むしろ近いぐらいなんだよ。
得能 めちゃめちゃ近いじゃないですか。通勤もやろうと思えば、できそうなぐらいの時間ですね。
瀬崎 こちらが春蘭の里の農家民宿群の第一号なんですけども、多田喜一郎さんという全国的にも知られた、地方創生に取り組むリーダー的な存在の方のお家なんですね。
宇野 多田さんは春蘭の里を成功させることによって、地方創生業界で超有名になった人だよね。俺はこの家に泊まった。
得能 どうでした?
宇野 すごくデカくて、中に囲炉裏があって、本当に昔の農家そのものという感じ。
瀬崎 まさにそれがコンセプトです。昔ながらの農家はどこにでもある田舎の景色なんですけど、都会の人からすると新鮮な光景だったりします。また外国人の方からすると「これこそ日本文化」というふうに捉えてくださいます。そういう資源に着目して、この地域の長の多田喜一郎さんが農家民宿として立て直していこうとしたんですね。
宇野 彼がどうやってそのアイデアに至ったかはわからないけど、自分たちで培ってきた生の生活がインバウンドの一番の武器になると彼は気づいたんだよね。彼はそれを自力で気づいたの?それともZESDAと話し合う中で気づいたの?
瀬崎 20年ぐらい前に、多田喜一郎さんを含むその地域の有志の方々で考え出したことですね。
宇野 素晴らしいね。
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