市民が法律を〈つくる〉方法 | 隅屋輝佳
宇野常寛が火曜日のキャスターを担当する番組「NewsX」(dTVチャンネルにて放送中)の書き起こしをお届けします。4月2日に放送されたvol.29のテーマは「市民が法律を〈つくる〉方法」。Pnika(プニカ)代表理事の隅屋輝佳さんをゲストに迎え、民間のニーズに応える法律の改正を可能にするには、どのような仕組みが求められるのか。インターネットを活用した海外の事例の紹介を交えながら、あるべき法律と社会の関係について考えていきます。(構成:籔 和馬)
NewsX vol.29 「市民が法律を〈つくる〉方法」
2019年4月2日放送
ゲスト:隅屋輝佳(Pnika代表理事)
アシスタント:得能絵里子
現在の市民生活の障壁となる法律の問題
得能 NewsX火曜日、今日のゲストは一般社団法人Pnika代表理事の隅屋輝佳です。宇野さんと隅屋さんはどのようにしてお知り合いになったんですか?
宇野 Yahoo! JAPANの安宅和人さんという有名なデータサイエンティストがいるんだけれど、彼が主催している勉強会で一緒で、そこで知り合ったという感じ。
得能 隅屋さんはどういう活動をしていらっしゃるんでしょうか?
隅屋 社会のルールである法律を限られた人だけではなくて、いろんな立場の人、マルチセクターで一緒に考えて一緒につくることを可能にする新しい仕組みをつくりたいと思って活動している団体が、一般社団法人Pnikaです。
得能 今日のテーマは「市民が法律を〈つくる〉方法」です。
宇野 法律は立法府でつくられるし、もう少しレベルが低い政令や省令などは行政が定めるんだけど、僕ら市民がそれに直接コミットすることは難しいイメージがあると思うんですよ。でも隅屋さんたちは、今のインターネットや情報テクノロジーを使って、それを可能にしていく、市民と法律との距離を近づける活動をしようとしている。選挙で立法府に自分たちの代弁者を送り込んで世の中を変える。あるいは市民運動やデモなどで時の政権に圧力を加える。または、ある種のコネ政治的なロビイングなど、いろんな政治参加の方法はあるんだけれど、今までにない新しい方法をテクノロジーを背景につくろうとしている運動だと思うんですよ。
得能 最初のキーワードは「法律の『壁』 法律の『ハードル』」です。
宇野 今の日本に限らず、法律は常にアップデートされないといけないんだけれど、現行の民主主義の制度では変えるのに時間がかかったりする。法律が僕らの市民生活やビジネスの現場のイノベーションの邪魔をしているケースもあるんだよね。法律の内容もそうなんだけど、法律のあり方に問題がある。法律と市民との距離が、僕らの市民生活やビジネスを難しくしている側面があるはずなんですよ。そういうところに注目して、隅屋さんたちのPnikaは活動しているので、そこの問題整理から始めてみたいと思っています。
隅屋 イノベーションがこんなに必要とされる時代もないし、いろんな新しい文化やIoTのような、今までの業種の枠組みにとらわれない新しいプラットフォームビジネスがたくさん起こってきていると思うんです。でも、それを前提としていない法律が邪魔してしまっている。そういう事例がたくさん起こってしまっています。だから、法律の内容やプロセスを変えていく必要があると思って活動しています。実際にどういうところの法律が、自分たちの市民生活と乖離しているんだろうというところを、具体例としてお見せしたほうがいいと思うので、いくつかの例を持ってきました。
Fight for the Japanese Tatto culture
隅屋 たとえば、あまり私も馴染みがないんですけど、一部アートとして海外では認められているタトゥー、それに対して、クラウドファンディング等で裁判費用を集めるのが話題になっています。タトゥーの彫り師が全員医師か。○か×かという、そういうようなことで。
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