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グローバルビレッジに見る中東の勢力図 | 鷹鳥屋明

鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』、今回はドバイで万博のような雰囲気を味わえる「グローバルビレッジ」はご紹介します。中東での勢力の縮図を表すかのように世界中の国のブースがひしめき合うなか、日本のブースはというと……?

鷹鳥屋明『中東で一番有名な日本人』
第9回 グローバルビレッジに見る中東の勢力図

ミニ万博、グローバルビレッジとは?

日本では2020年に東京オリンピックが行われることが話題になっていますが、中東で2020年というとドバイ万博の話題が取り上げられます。2018年を迎えた今年から徐々に万博に向けてのドバイ政府や企業も具体的な動きが出てきており、それに連動して日本の企業も徐々に動きが出てきているのを現地に感じます。この2020年に行われるドバイ万博はアラブ首長国連邦初の国際万博であり、同国としては東京オリンピックより力を注いでいると言えます。そんな2年後のドバイ万博前に万博の雰囲気を楽しめる空間がドバイにあります。
その名も「グローバルビレッジ」というテーマパークです。簡単に言いますとこのテーマパークは開催期間中に毎日万博の雰囲気を味わうことができる空間と言えます。(野外テーマパークのため夏季は閉園する)

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▲グローバルビレッジ入り口

このテーマパークについては今まで現地にいる方などによる簡単に紹介記事がたくさんありますが、今回は密度高めに行っても行かなくても楽しめるように詳しく紹介をすることと合わせて、このグローバルビレッジ内での日本のプレゼンスの現状を感じていただければと思います。
このグローバルビレッジはドバイランドというドバイの中心部からバスもしくはタクシーでおおよそ30分ほどの距離にある巨大なテーマパークになります。その歴史は実はかなり古く、1995年企画され1996年にドバイ中心部のクリークサイドに小規模な国別のキオスクが集まった簡単なものから参加国が次々と増え、ワフィ・シティの近くに移転してさらに規模を拡大し、現在の住所に移転しました。現在の規模は160万m2という膨大な敷地に、ある程度作られたブースに、ある程度のデコレーションを行い、それぞれの国別のパビリオンとして機能させています。開催年度により参加国に毎年変動がありますが、ここ最近は毎年コンスタントに60〜70カ国のパビリオンが作られています。
入場料はわずか15ディルハム(450円)ほどですので実に安いと言えます。会場は夕方の4時から夜の11時くらいまでと日が沈んでから賑わうという中東の活動時間の特徴を顕著に捉えていると言えます。

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このグローバルビレッジ内にてそれぞれの国別パビリオンに見るだけで、それぞれの国がドバイの中でどのような立ち位置なのか、どういうものを売り込もうとしているのかを学ぶことができるだけではなく、現地企業の実験場やマーケティングの場として機能している側面もあることから、テストマーケティングの場としては大変面白い空間と言えます。このグローバルビレッジの内情についてレポートしますと、まずドバイの周辺諸国のアラブ諸国のブースは実はそこまで盛況とは言えません。なぜならドバイで日常買えるものはだいたい周辺国で手に入るものと同じものばかりであり、パビリオン内で売っているものは日常買っているもの、見ているものとあまり代わり映えのないものだから、という事情があります。ただ日本人からするとなかなか行くことのできないサウジアラビアやクウェート、バーレーンの国々のブースは魅力的であると言えます。

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▲日本人には見慣れない女性用のニカーブ、ヒジャブの販売店

今なかなか行けない地域の物産の数々

行けない国、という点ですと例えば今内戦で入国がほぼ不可能なイエメンブースではイエメンの伝統的な民族衣装や銀細工などの販売に合わせて多数の蜂蜜屋さんが鎬を削っておりシドルハニー、マウンテンハニーなど様々な蜂蜜を販売しております。ただ残念ながらイエメンの蜂蜜は砂糖添加された水増しされたものが多く、本物の天然の蜂蜜を手に入れるのはイエメン人でも難しいと言われています。また、コムハニーと言われる巣蜜そのものも販売されていますが、その多くは実はトルコやハンガリー産だったりします。ご存知の方もいるかもしれませんが砂糖添加の蜂蜜は簡単な分析ではわからないほど年々加工の手段が巧妙になっており真贋を見分けることは相当難しいですが、舌に自信がある方はぜひお試しいただければと思います。

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▲蜂蜜を瓶詰めするイエメン人とポリタンクに積まれているイエメン蜂蜜

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