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リハビリテーション・ジャーナル──リハビリ編:プールで毎日2時間歩いて飽きないためのスパイス|濱野智史

批評家の濱野智史さんによる連載「リハビリテーション・ジャーナル」です。指定難病「特発性大腿骨頭壊死症」にかかり、人工股関節を入れる手術を受けるため、約1ヶ月間の入院生活を送ることとなった濱野さん。人生初の経験となる長期にわたる入院生活、そしてその後のリハビリ生活の中で見えてきたノウハウやメソッドを紹介しながら、「健康」と「身体」を見つめ直していきます。第4回では、前回の記事で濱野さんが熱く魅力を語ったプールを「飽きない」ためのデバイスやメソッドについて紹介します。


スポーツにおける最大の課題にして敵、それは「飽きる」問題

 私はここまで、「プール・ウォーキングは毎日2時間、無理なく続けられるのでダイエット効果も高い」と連呼してきたが、「そもそも2時間もスマホも触らずにただ歩くなんて退屈なはずだし、飽きてしまって続かないのではないか」という疑問を抱く方もいるだろう。

 実はかくいう私も、この「飽きる」問題はスポーツや運動を日常的に継続していく上で非常に重要なポイントだと考えている。実際、私のこれまでのスポーツ半生は「飽き」との闘いだったといっても過言ではない。
 たとえばかつてジムに通っていた30代前半の頃は、最初こそ目新しくて飽きることはないのだが、すぐに筋トレマシンやエアロバイクの無味乾燥感に耐えられず、数回も行くころには飽きて行かなくなってしまった。えんえんと景色が変わらない単調さのなかで運動し続けることが、自分の場合どうしてもできないのである。

 同時期にジョギングも半年ほどやっていた。これも最初こそ楽しいのだが、5km・10km・15kmと距離を伸ばし、自宅の周りのルートをあらかた走り尽くしてしまうと、その光景の変わらなさにやはり飽きが来てしまう。移動手段を変えても結局は同じで、サイクリングも同じ結果になってしまった。私の場合、荒川沿いをロードバイクで10回程度は走ったことがあるが、これも最初の数回はきわめて楽しいのだが、結局は毎度変わらぬ光景にうんざりしていつしか乗らなくなってしまったのである。

 そこで私は最終的に「登山」に行き着くことになる。自分がまだ登ったことのない山というのは日本中に無数とあるし、山道というのはその光景・路面といい常刻々と変化を絶やすことがない。その意味で登山は自分にとって最高の「飽きない」アクティビティである。しかし、残念ながら登山は(都市部に住んでいる限り)毎日のようにやるわけにはいかないスポーツだ。よって私は、何か自宅のそばで毎日飽きずに続けられるスポーツやアクティビティがないか、常に探し求めてきた。

 結論から言うと、プール・ウォーキングはおそらく私にとって、現時点で最もこの「飽き」問題を高いレベルでクリアしているアクティビティである。実際、この半年で私なりにいろいろな対策(飽きないためのデジタル・アイテムの導入やオリジナル・メソッドの開発)を試して習慣として定着させることにも成功している。ここでは、ぜひそのノウハウを余すことなく紹介したい。

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