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#2 贈与について

今日は、霞始靆(かすみはじめてたなびく)ですね
春霞がたなびき、遠くに見える山や景色がぼんやりとかすんで見える頃合いを示した72候。

どうも、wakuraba HOUSEのぼんやりです。
今日はある朝の僕(ぼんやり)とルームメイトの1人(おしゃべり)との朝のやりとりを紹介したいと思います。

毎朝、僕ぼんやりは弁当を作る。
といってもおしゃべりが職場に行く日だけなのだが、ある時から作りはじめた。
弁当箱に2〜3品のおかずと白米をつめて、ふりかけをかけて完成だ。
おしゃべりは8時半に家を出る。
弁当は30分もあれば出来上がるのだけれど、大体7時半からもぞもぞと起きだし、
キッチンの野菜、冷蔵庫を眺めて、これにしようか、あれにしようかとレシピが浮かぶのを待つ。
その間に昨晩の洗ってある食器を片付ける。。キッチンをゼロの状態に戻す。。
作りはじめるとおしゃべりが朝ごはんを食べはじめる。基本ご飯と卵かけ、納豆、みそ汁というところ。僕らは料理研究家の土井善晴さんが好きで、おしゃべりは朝に自分でみそ汁を作ることが多い。

お弁当のおかずを作り終えると、食卓でおしゃべりと話す。まあ実際は料理しながら話しながらなのだけれど、

今日の話題は、おしゃべりが昨日見た映画『ペイフォワード』だった。

ペイフォワードは1人の少年から始まるギフトの物語。
彼は1人が3人に自分ができるギフト(有形、無形関わらず)を贈り、ギフトを受けた人はまた違う3人に自分ができるギフトをするという運動を思いつき、実行する。
『自分が受けた善意や思いやりを、その相手に返すのではなく、別の3人に渡す。』
ここがこの活動の重要なポイントだ。
そして物語は進んでいく。
僕たちの関心は贈与とは何か、、、というところに行く。

ー以下ネタバレを含みますー

おしゃべり
『ペイフォワード、めちゃくちゃハートフルな映画だったよ。』

ぼんやり
『へえ、何を感じたの?』

おしゃべり
『いやあ、1人の悩める少年が主人公なんだけど、
ある社会科の授業で、世界を変えるために何ができるか?っていう問いがあって、
その少年が、ペイフォワードっていう活動を思いつくんだ。ペイフォワードっていうのは〜〜〜〜〜〜〜ていう活動なんだけど、
その中でめちゃくちゃギフトが失敗したりするんだよね。
うまくギフトできなかったりするんだ。
贈った側はうまくいかなかったと思って落ち込む。
だけど、実は受け取った側は次の人に何か働きかけていたりするわけ、』

ぼんやり
『あー、面白いね』

おしゃべり
『まあそもそも、世界を変えようとか、客観的に見て困っている人を救おうとかというのもどうなんだろうかとも思うけれどねえ』

ぼんやり
『そうねえ』

おしゃべり
『でも自殺しようとする人を咄嗟に止めたり、何か内側からその人も気づかないところからの善意の行為はうまくいったりするのかもね』

ぼんやり
『ああ〜、おもしろい、
そういえば近内悠太さんが[世界は贈与で出来ている]っていう本で、ペイフォワードを取り上げてたな
 そこでは贈与の失敗例として取り上げられてたんだけど』

おしゃべり
『へえ、失敗例ってどんなことを言ってたの?』

ぼんやり
『贈与の起点になってはいけないっていう話なんだけど』

おしゃべり
『ああ、そういえばこの前も人は受けたものしか与えられないって言ってたよね、
あれ、残ってるなあ』

ぼんやり
『そうなんだよね、受けたものしか与えられないんだよ、その少年以外の人は受けた善意を自分なりの形で次の人に渡すわけ、でもその少年はギフトの起点になってしまった、、
受けたものの自覚がないままに贈与を始めてしまったんだ。
でも渡せるっていうことは自分もまたそれを受けているってことなんだけど、、、
とにかくその自覚がなかった。
それは人間ではなく、神の立場に立ってしまっているんだと近内さんは言うわけ、、』

おしゃべり
『ゼロから生み出すっていうところは神の立場か、、、
この朝ごはんも、この納豆も、すでにこうして受けているっていうことをまったく忘れちゃうよなあ。
ずっとプレゼントを受け続けている。必要な時に必要なものを。
そしてなにか渡せるものがある時、それは自分が受け取った証拠ってことか、
そこに立てたらめちゃくちゃ豊かだよねえ、、、、、
あ、もうこんな時間だ。』

こんな話をしながらおしゃべりは僕にコーヒーを淹れてくれる。
僕はお弁当を包み、キッチンの片付けをする。
おしゃべりは歯を磨いて出勤の準備。。
僕はお弁当を渡しながら、僕の母のことを思う。。
この弁当も母さんがずっと僕にやってくれていたことなのだなと、、
今この瞬間まで自分が作ったと思っていたけれども、
これも受けたものの現れなのだなと、
つくづく人間は不思議な生き物だと、
そんなことを思う。。


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