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【Q&A】建築基準法のグレーな項目に関する質問の行い方

設計を行っていると、建築基準法やその地域の建築基準条例等の解釈に悩まれ、設計の手が止まってしまうということを経験されてい方も多くいるかと思います。
例えば東京都建築安全条例の第19条の共同住宅の窓先空地についてなどはその最たる例。
「この窓の位置で道路に面しているのであろうか?」
「避難上有効なバルコニーの形状はこれでいいのか?」
のように。
平成30年に技術的助言が出る前までは、特別区ごとに多様な解釈もWEBで公開されていましたが、一部の区を除いては、その取扱いも公開が取りやめされたりしています。

これら特別区にヒアリングをするとある程度「内規」が定まっているケースも多く、しかし最終的には
「提出される確認機関に拠るんですけどね!」
ということを言われてしまいます。

指定確認検査機関に問い合わせると、王道の手法(10人の人に聞けば10人適合していると判断できるような手法)を使っていれば、問題ありませんが、少し解釈の悩むような内容であると、
「特定行政庁と協議してください」とも言われてしまうケースがあります。
すでに確認申請が提出されていれば、指定確認検査機関から特定行政庁にヒアリングしてくれる場合もありますが、まだ申請されていなかったり、提出までに期間があったりすると、請負ってくれないこともあります。
民間という性質上、契約も結んでないと考えれば仕方がないかなとも思います。

しかし、設計する上で確認申請まで不確定のままで進めることは非常にリスクです。建設費に影響するないようかもしれません。そもそも現状の計画では成立しないようなことがあるかもしれません。

ですので、如何に「言質を取る」かということが重要になります。
ではここからはざっとその流れについて書いていこうと思います。

①事前準備(検索と資料確認)

まず交渉を行う前に、その項目の取扱があるかをWEBをつかって確認しましょう。建築基準法取扱、その地域の建築基準条例の解説があればそれらを検索。建築基準法関係であれば「防火避難規定の解説」、「集団規定の適用事例集」、また「加除式の質疑応答集」も購入できますのでそれら内容を確認してからスタートするとスムーズかと思います。

②特定行政庁へのヒアリング

事前準備でおこなった資料検索で解決方法見つからないようでしたら、次に特定行政庁へのヒアリングです。聞き方としましては、
「確認申請での質問ということでなく、技術的な一般論として聞く」
ということが重要になります。確認申請というキーワードを出した途端、提出先に聞いてください、になってしまいます。
しかしこれは正しい反応かと思います。確認申請の事務手続きは指定確認機関が行えるので、その判断は行えないという理屈は分かります。
しかし、特定行政庁が判断できないことを指定確認検査機関も判断しろということはなかなか困難。ですのでまず技術的に確認するという手法が有効なのです。
もう一つ確認しておきたいことは、
「指定確認検査機関の判断が特定行政庁と判断と相違したときに、どのような措置を講じる可能性があるか」ということを確認した方がいいです。
例えば東京都内であれば道路照会票というものがまわりますので、そこに記入するというケースもあれば、指定確認検査機関が適法と判断するのであれば特段言いません、等まちまちです。要はその特定行政庁がどのようなスタンスなのかを聞くというイメージです。とても物言う行政庁もあれば、そうでもない行政庁もあります。そこを把握したいところです。

③指定確認検査機関へのヒアリング

②でおこなったヒアリング内容を指定確認検査機関に伝え、その内容について判断してもらう流れになります。そこでOKになるケースもあれば、事前に照会をってくれる機関もあるかと思います。もしくは機関自体を変えなければならなくなることもあるかもしれません。
ここで念を押したいのは、
「それら選択をしているのは設計者」であるということです。ここで指定確認検査機関の同意が得られ、確認済証が交付され、たとえばその後何らかの事象で覆ったりする可能性は0ではないということです。それらリスクを踏まえて選択をする、ということが設計者の責務となります。

ただ闇雲にグレーな項目について、それを許容する指定確認検査機関があったとしても、そのリスクをトータルに把握し、選択しなければ、最終的に確認済証が取消等になることもあるのです。もちろん指定確認検査機関もそのリスクを背負っています。

一方、昨今のリスクという考え方が安全側であればいい、という傾向にあるのも確かです。明らかに実況から考えたり、文面から明らかに適合と読める内容でも、今までそうゆう解釈でおろしてなかったから、上司が「うん」というわないから、という理由から却下されるてしまうということもよく聞きます。

今回この記事を書いたのでは、それら適合の余地がある項目について、如何にスムーズにコーディネートできるかについてをイメージしました。
ですので、明らかに不適合なものは、不適合なままですし、それを適法として判断されたとしても結果自分に返ってくる、因果応報的側面もありますので、くれぐれもご注意下さい。

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