【Q&A】共同住宅の排煙検討について
仕事柄多くの確認申請図のような法規チェック図を見る機会が多くあります。平面図には法規チェックの要になる凡例が記載されており、この凡例の書き方は設計事務所さんによってマチマチです。
この凡例をベースに法チェックしているふしもあり、歩行距離や防火区画、階段の各種寸法等が記載されています。
今回、取り上げたいのテーマは凡例にもよく記載されている、「共同住宅の排煙検討」についてです。
排煙検討に関する凡例でよく記載されているのが、『平成12年5月31日建設省告示第1436号』の四号-二の『居室』・『室』の項目。
皆さんが二-(四)、二―(二)とかでよく使われている排煙告示です。
よく凡例には、
〈二〉:建設省告示第1436号ー四ー二(二)適用
〈四〉:建設省告示第1436号ー四ー二(四)適用
の様に書かれております。
共同住宅もこれら排煙告示を活用し、居室・室を検討されている図面をよく見ます。もちろんそれは正しく、間違ってはいません。
ただこれら排煙告示は成立させるには、防煙区画(垂れ壁など)が必要となり、天井高さが取れない案件には非常にハードルが高いケースもあります。
となると、私は令126条の2 第1項第一号ただし書き適用が一番合理的だと考えています。
この但し書きを共同住宅の住戸部分で活用されているケースは多いのですが、別にこのただし書きは住戸に限定しておらず、共用部を含んだ共同住宅全体で利用可能です。また「区画された部分」という書き方のなので、その区画内に複数諸室があっても適用可能です。加え防煙区画にて区画という制限もないため、一般的には垂れ壁までは求められておりません。
もちろん防火区画になりますので、壁の仕様を考えると排煙告示の方がいい場合もあるかと思いますが、共同住宅は消防特例等でも区画要求が多いため、相性がいいかと思います。
スタンダードの考えなのですが、意外に活用されていない、または知られていないのでは、という感想です。
おそらくなのですが、凡例の使いまわしが一因にあるのではないでしょうか。
このような排煙告示の凡例があれば、それを使って検討してしまうということは、非常よくあることだと思います。私も設計時代はそうでした。いわゆる「前にならえ!」的な発想です。そこに排煙告示の凡例があったから、告示にて検討している方も少なからずいるような気がします。
このような凡例もある一定間隔で見直してみるのも、知識の底上げや効率化にもつながっていく気がします。
「今使用している図面の凡例を一度見直してみては如何でしょうか?」
最後にいつも通りの注意書きですが、
排煙の取り扱いはかなり特定行政庁の取り扱いやプランの形状によっては判断が分かれる項目です。必要に応じ、指定確認検査機関等と協議が必要になる項目あるかと思いますので、ご注意下さい。
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