和光市広沢施設整備・運営事業インタビュー(2) 綜企画設計
広沢複合施設整備・運営事業
民間事業者(2)協力企業
株式会社綜企画設計 田上 雅章さん、斎藤 孝晴さん、植村 嘉仁さん
右側から田上さん、斎藤さん、植村さん
和光市広沢複合施設イメージ
—— 会社の紹介をお願いします。
(田上さん)
弊社は株式会社綜企画設計と申します。建築設計を主に行う会社で東京に本社を置き、全国の主要都市に支店を構える建築設計事務所です。弊社の特徴としては民間よりも官庁案件の比率が高く、例えば国の施設であったり、各自治体、大学などの建物の新築、または、改修の設計を多く手がけています。特に大学などの学校施設を得意としており、建築専門雑誌における学校受注ランキングで全国の上位に入っています。
—— お三方の自己紹介もお願いいたします。
(田上さん)
私は設計・監理業務及び、工事施工も含めた建設全体を総轄、担当しております田上と申します。市民、関係者の皆様の期待に沿うべく、斎藤、植村、工事施工者と共に、より良い建物を建設していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
(斎藤さん)
私は、児童センター・市民プール、保健センターの建物設計を主に行い、現在は、工事監理を担当しております斎藤と申します。
(植村さん)
同じく建物の設計と敷地全体の外構計画を含めた設計とりまとめを担当しました植村と申します。よろしくお願いいたします。
—— 広沢複合施設整備・運用事業のPFI/PPPにおける役割を教えてください。
(田上さん)
弊社は、総合児童センター・市民プール、保健センター建物の設計・監理及び、計画敷地全体での建物計画の取りまとめを担当しております。今回の事業においては和光市さん、PFIコンソーシアム各社さん、南エリアの他の事業者さんなど事業関係者が非常に多く、建設工事においてはその取りまとめに大変苦労しているというのが現状の正直なところです。しかし、それは我々が非常に重要な役割を担っているということでもありますので、それを日々自覚しながら業務を進めている状況です。
現在は設計が完了し、工事監理を行っています。工事監理は一般の方には認識が薄いかも知れませんが、施工者さんが設計図通りに建物を工事しているかどうか技術的にチェックをする仕事で、現在基礎工事の段階です。
—— なぜ今回この和光市の広沢複合施設整備・運用事業のPFI/PPPに応募したのでしょうか?
(田上さん)
そうですね。先ほどのとおり、弊社は、官庁の案件が多いという特徴があります。PFI案件は、民間と官庁の案件としてはちょうど中間ぐらいの感じになるでしょうか。ですので、PFI案件は当社の官庁実績、強みを生かしながら、民間案件にも挑戦できる非常に魅力があるものであり、我々としては、そういうものにどんどん参加していこうと会社の方針を掲げています。
PFI/PPP事業は、今後も多くの自治体で事業化されていくと言われています。そのため、今後も積極的に参加していきたいと考えています。
—— 他にもPFI/PPPプロジェクトがあると思いますが、その中で、和光市の案件を選ばれた理由は何でしょうか?
(植村さん)
正直な話としては、ご縁をいただいて、声をかけていただいたからです。
(田上さん)
そうですね。PFI案件であっても、何でも参加できるというわけではなくて、やはり縁というべきなのでしょうか。今回は知り合いから声が掛かったんです。直接的にはそうなりますね。その上で、先ほど話をしましたとおり、この案件に大きな魅力を感じて参加して行こうということになりました。
(植村さん)
今回参加したことで、ユニアジアキャピタルジャパンさん、ティップネスさん、東京建物リゾートさん、パートナーズワンさんやスーツさんなど皆さんとお会いして、さらに一緒にやっていきたいという気持ちになりましたので、積極的に参加させていただきました。
—— 具体的にどのような業務を行うのでしょうか?
(斎藤さん)
建物の設計はイメージし易いと思いますが、建物の配置・平面、内外観のデザインなど発注者さんの要望、法律等を踏まえて計画していきます。
それから、先程お話しました皆さんの認識が少ない監理業務を説明しますと、具体的には、工事の計画書、施工図面などの工事書類のチェック、施工者さんが設計図どおりに工事を行っているかどうかを、質疑応答も繰り返しながら進めていきます。次に検査ですね。杭が支持層まで達しているか、鉄骨の長さが足りているかなどの検査を、スケールとか検査装置等を使いながら行っていきます。
(植村さん)
建物の品質がきちんと、設計図どおりになっているかどうかを、第三者目線ではないですけれども、確認しながら調整していく。あとは現場で、細かい「納まり」をどうするかだったり、図面で表現できない部分を、施工者さんと一緒に考えながら建物を作っていくのが監理の仕事かなと思います。
(田上さん)
建物の品質だとか技術的なところをチェックし、担保していくのが、我々の重要な仕事です。
—— 市民の方にも分かるように、業務のポイントを教えていただけませんでしょうか?
(植村さん)
設計については市民の皆様が使いやすく、親しみやすい施設にするには如何すればよいかを、和光市さん、運営者さんと何度も議論し進めてきました。また、実際に設計を進めるに当たっては、構造や設備との調整、建築基準法や和光市条例などの法令に合致させるなど多くの要素を複合的に組み立てていく必要があります。大きくは敷地全体の配置から、細かいところでは、手摺の高さや床材の厚さなどといった部分に及びます。
監理については、基礎が想定の深さにまで達しているか、建物の高さがちゃんと図面通りの高さになっているかなど、例えば柱のサイズだったり、間隔だったり、鉄筋の大きさや本数までコツコツと確認しています。実際は地味なんですよね(笑)。
(田上さん)
でも構造というのは基本なので、地味ですけど非常に大切な仕事なんです。
—— 御社の強みはどのように活かされているのでしょうか?
(田上さん)
何度も同じ話になってしまいますが、我々には、官庁案件を多く経験してきたという強みがあります。民間が雑っていうわけではないですけれども、官庁案件というのは、なかなか書類も多く、検査も細かく、きちんとチェックしなければなりません。この経験は有利に働くのかなと思います。
(植村さん)
私たちは、日本全国の支店で、多くの建物を設計してきています。今回の案件でも、プールだったり保健センターであったりの設計実績は多くありますので、会社全体での設計実績、情報を活かしながら対応出来ることは当社の強みなのではないかと思います。
—— 和光市広沢PFIではどのような施設を目指されるのでしょうか?
(植村さん)
市民の皆さんに「開かれた施設」というのが全体の大きなコンセプトです。例えば、中央の広場を使いながら、市民の皆さんが自由に、自分の好きなところで、自分の好きな活動ができるような、そういった施設になって、にぎわいが生まれればいいかなと思います。建物は建ってから、どのように使われていくかが、大切だと考えています。施設のイメージや価値は、建った後から生まれてくるものだと思います。そういう意味で、建物が出来てから市民の皆様、運営者さんで育てていただける、かわいがってもらえる施設を目指しています。
—— 市民の方へのメッセージをお三方からぜひお願いします。
(田上さん)
先ほどありましたとおり「開かれた施設」として、皆さんに積極的に使っていただける施設を目指していますので、オープン後は、月並みな言い方になりますけれども、市民、周辺の方々にぜひとも使っていただいて、周辺を含めたエリア全体が活性化されていくことを願っています。和光市を発展というと大げさかもしれませんが、一緒に盛り立てていければ、設計者としては幸せなことかなと思います。
(斎藤さん)
今後、いろいろな用途の建物が連携を取りながら、この場所で様々なイベントが開催されると思いますので、多くの人がお越しいただき、よりにぎやかに使っていただければ幸いです。
(植村さん)
今回の複合施設は公共施設も含まれているわけですけれども、「公共 =(イコール)堅い」みたいなイメージではなくて、もっと「身近な公共施設」になるように設計したつもりなので、もっとフランクに、気軽に立ち寄ってみようとか、そういった感じで使ってもらえればと思います。皆様にはぜひとも完成を楽しみにしていただければと思います。
(聞き手:一般社団法人和光市広沢エリアマネジメント 代表理事 小松 裕介)
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