封印された遺跡の秘密 一
痕跡を追う、はじまりの旅
去年の夏、考古学研究員をしている私の好奇心が、一つの謎を追い求めるきっかけとなった。その日は特に暑く、都心の喧騒から逃れようと、少し遠出することに決めた。旅先の観光名所らしきものもない田舎町には、古びた遺跡があると聞いていた。好奇心に駆られ、カメラを片手にその地へと向かった。
その遺跡は、田んぼに囲まれた小高い丘の上にあった。遠くから見ると、ただの石の塊のようだったが、近づくにつれその異様さに気づいた。石の表面には見たこともない模様が彫られており、その模様は何かを伝えようとしているかのようだった。
遺跡の周囲を歩き回りながら、私はその模様をじっくりと観察した。どう見ても現代の人間の手によるものではない。まるで異星の言語のように見えた。私はその場で写真を何枚も撮り、家に帰ってから詳しく調べることにした。
帰宅後、撮った写真をパソコンに取り込み、インターネットで模様の意味を探り始めた。しかし、どれだけ調べても情報は出てこない。その時、ある掲示板で『レプタリアン』という単語を見かけた。未知の存在、爬虫類のような外見を持つ知的生命体。もしかすると、この遺跡は彼らの痕跡なのではないかと、私は考え始めた。
次の日も、次の次の日も、私はその遺跡のことばかり考えていた。そして、再びその場所に行く決意を固めた。今回もカメラを持ち、もっと詳しく調べるためにノートやペンも用意した。丘に着くと、今度は遺跡の内部に足を踏み入れた。石の間に入り込むと、冷たい風が私を包み込み、不思議な感覚が広がった。
奥へ進むと、一つの小さな部屋にたどり着いた。そこには一冊の古びた本が置かれていた。手に取ると、その本には見慣れない文字がびっしりと書かれていた。どうやら、この本は彼らが残した記録のようだった。
本を手に取りながら、私はふと気づいた。この遺跡、そして本の存在は、ずっと誰も気づかずに見逃していたのではないか。もし、この本を解読できれば、レプタリアンの存在証明につながるのではないかと考えた。
私はその本を持ち帰り、解読に取り組むことにした。何日も、何週間も、その文字を解読することに没頭した。すると、ある日突然、文字の一部が理解できるようになった。どうやら、この本には彼らの歴史が記されているようだった。
彼らは遥か昔、地球にやって来た。そして、自らの存在を隠しながら、人類の進化に密かに関与してきたという。更に驚くべきことに、彼らは今もなお、現代に生き続け、我々の社会に潜んでいるというのだ。
全てが理解できたわけではないが、この本が真実を語っていると確信した。だが、この真実を公にすることができるだろうか。私の中で葛藤が生じた。しかし、真実を知ることは重要だと思い、私はその本の存在を学会に報告することに決めた。
報告の日、私は本を抱え、学会の壇上に立った。緊張で手が震える中、私は本の存在とその内容を説明し始めた。しかし、話が進むにつれ、会場の空気が変わっていくのを感じた。聴衆の中に、不自然なほど冷静で無表情な人物がいることに気づいた。
その瞬間、背筋に寒気が走った。もしかして、彼らが私を見ているのではないか。そして、真実を暴こうとする私を阻止しようとしているのではないか。全てを話し終える前に、私は壇上を降り、その場を離れた。
その夜、私の元に一通の手紙が届いた。手紙には、『あなたは見逃していた』とだけ書かれていた。それが何を意味するのかはわからなかったが、その言葉は私の心に深く刻まれた。
私が知った真実は、まだ全てではないのかもしれない。これからも、私はこの謎を追い求めるだろう。彼らの痕跡を追い続けることが、私の新たな使命となった。