小説【252字】電流の迷宮
『電流の迷宮』
都心のカフェ。
携帯の充電をしようとコンセントに手を伸ばす。
瞬間、電流が全身を駆け抜ける。
目覚めると見知らぬ廃墟。
そこかしこにコンセント。
差し込むたび、別の場所へ。
図書館、遊園地、美術館…
全て人気のない廃墟。
やがて、見覚えのある部屋に。
そこには『私』が……でも、少しずつ違う。
「本当の私はどれ?」
問いかけると、全てのコンセントが光る。
恐る恐る手を伸ばす……すると、世界が溶解。
目覚めるとカフェ、テーブルに一冊の本。
『電流の迷宮』著者は私。
最後のページには『全ての可能性が現実』と書かれていた。