【289字】耳飾りの罠
耳飾りの罠
私は都心の雑踏を抜け、古書店に足を運んだ。店主が差し出す一冊。表紙には『耳飾りの秘密』と記されている。
開くと、一枚の写真が挟まっていた。耳たぶに光る銀のピアス。その裏には、謎めいた文字列。
好奇心に駆られ、私は文字を解読しようと没頭した。すると突如、周囲の景色が歪み始める。
目覚めると、見知らぬ部屋。耳元で冷たい感触。鏡を覗くと、あの銀のピアスが。
扉が開き、店主が現れる。
「よくぞ謎を解いた。君こそ、この物語の主人公だ」
私は驚愕する。自分が小説の登場人物だったなど。そして今、物語を飛び出したのだと。
現実と虚構の境界が溶け、新たな冒険が始まろうとしていた。