仮面の男と一輪の花

　私は、ミステリー小説が大好きな少女。都心の喧騒をよそに、静かな読書の時間を楽しむのが日常だ。しかし、今日の私はいつもと違う道を歩いていた。ふと立ち寄った古本屋で一冊の古い本を見つけた。その表紙には、見覚えのない仮面が描かれている。

「これ、なんだか気になる……」

　本を手に取ると、店主が微笑んだ。

「それは不思議な本ですよ。読むと何かが変わるかもしれませんね。」

　私は家に帰り、その本を開いた。ページをめくるたびに、物語の中の植物や動物たちが生き生きと描かれていた。あるページに差し掛かると、そこに仮面をつけた人物が登場した。その仮面の特徴は、表紙のものと同じだ。

「この仮面……一体何なんだろう？」

　物語が進むにつれ、私自身がその世界に引き込まれていくような感覚を覚えた。まるで現実と物語の境が曖昧になっていくようだ。

　ふと気づくと、私は見知らぬ森の中に立っていた。周囲には植物が茂り、小さな動物たちが顔をのぞかせている。手にはあの本を持っているが、仮面の人物は見当たらない。

「ここは……どこ？」

　その時、草むらの中から仮面の人物が現れた。

「あなたが探していたものは、これですか？」

　彼の手には一輪の花が握られていた。その花は、見たことのない美しい色を放っていた。

「これは……」

　仮面の人物が微笑む。

「この花には、特別な力があります。それを持ち帰れば、現実の世界も変わるかもしれません。」

　私はその花を受け取り、目を覚ました。気づけば自分の部屋に戻っていたが、手には確かにあの花があった。

　そして次の日、街中を歩いていると、何かが変わっていることに気づいた。人々の表情が明るく、街全体が活気に満ちていたのだ。

「もしかして……あの花の力？」

　私はその不思議な出来事に驚きつつも、新たな謎を解くために、本のページを再びめくり始めた。